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2006年10月24日 (火)

吾妻ひでお・「失踪日記」

新宿の紀伊国屋に行ったら平積みされていました。ビニールカバーがしてあって立ち読みできなくされていましたが、購入してレシートをみると、「評論・随筆・詩歌」の分類になっていました。ところが、パラパラめくってみるとやっぱりマンガでした。マンガで描いた私小説といった感じです。随筆でマンガは書けないし、小説でもマンガは書けません。ところが、マンガなら、マンガで随筆も描けるし、日記も描けるし、自伝も描けるし、小説も描けます。これがマンガの恐ろしいところだと思います。

この「失踪日記」は3部構成になっています。

その1・仕事を投げ出してホームレスになった話
深刻で悲惨な話なのになぜか笑えてきます。ホームレス生活のディテールが実に具体的でリアルです。実際に体験しないとここまでは描けないですね。冬の寒さと夏の暑さ以外に、雨もけっこうホームレス生活には大敵なんだということを学びました。

その2・配管工になって勤労に目覚めていく話
肉体労働によってもたらされた健康的生活の記録です。どんな仕事でも仕事の中に面白さや楽しさを見つけてしまわずにはいられない人間のサガのようなものが描かれています。額に汗して働くと、メシがうまい、夜よく眠れる、朝の目覚めもスッキリ、健康的で規則正しい生活が送れます。

その3・アル中になって入院する話
禁断症状に苦しむアル中の人が読むと身につまされるのではないでしょうか。アル中病棟の患者は大人の幼稚園児のようです。ここでの集団生活は看護婦さんが美人でなかったら地獄です。酒は飲んでも飲まれるな。

この三部作のどれを一番興味深く感じるかによって、その人の人生観や価値観を占うことができると思います。わたしはホームレスの話が一番好きでした。

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