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2007年5月14日 (月)

「昭和33年」(布施克彦・ちくま新書)

この本の主張を乱暴に要約すると、

政治の泥仕合は今に始まったことではないし、昔の下流社会(バタヤ部落)を考えれば今の「格差社会」なんてへそが茶をわかす。昔を美化するのもいい加減にしませんか?

こんなところだと思います。

たとえば、教育の荒廃といった問題について、布施克彦は自らの体験を次のように述べています。

当時の教師がみんなしっかりしていたというのは嘘だ。わたしの記憶でも、ダメな教師、ヘンな教師はかなりいた。みんなでからかったら、立ち往生してしまう教師がいた。生徒が教師の話を聞かず、事実上崩壊している授業もあった。生徒を置き去りにして、先生同士が駆け落ちする事件も起きた。

えこひいきの激しい担任教師のクラスで、えこひいきされない生徒は惨めだった。ガキ大将の命令は絶対で、サダム・フセイン圧政下のイラク状態の弱い子供たちは、常にビクビク、オドオドしていた。下校途中の街角には、頭のおかしいオヤジとか、他校のいじめっこ上級生が待ち伏せしていた。

「あのころの子供たちは今より幸せだったか」という問題に、この著者は遠慮がちに「簡単に答えは出ない」としています。しかし、昔と今とどちらがいいかを直接子供たちに選ばせれば今がいいというに決まっています。タイムマシーンで昭和33年の子どもが現代にやってきたとしたら、「夢のようだ」と泣いて喜ぶのではないでしょうか。

この本に掲載されている「一般刑法犯罪発生件数」や「道路交通事故死亡者数」の比較表を眺めるだけでも、「昔はよかった症候群」や「未来心配性」は相当眉唾であることがわかります。

一般刑法犯罪発生件数
                        昭和33年    平成16年
件数(単位:千件)              1513        380
人口10万人当り                16.4        3

道路交通事故死亡者数
                        昭和33年    平成16年
死亡者数                    8248       7358
自動車一万台当り               35.4        0.8
人口10万人当り                  9          5.8

注)「交通事故死亡者数の減少は医療技術の進歩による」という説もある。

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