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2007年9月18日 (火)

「断腸亭日乗」の戦中記事について

ようやく「断腸亭日乗」から解放されました。読了。

「断腸亭日乗」の戦中記事はまさに体験記ということで、空襲の恐怖や日常生活のこまごまとした感想などが詳細に綴られていて読み応えがあります。
でも、冷徹な個人主義者が、空襲にあって逃げ惑い、人の情けに感謝したり、人と助け合って生きていく姿はどこか滑稽でもあります。
戦後、千葉県の市川に移り住んでからの永井荷風は何か虚脱してしまったようで、偏狭な個人主義者というよりも単なる孤独な独居老人といった感じがします。空襲による偏奇館の焼失とともに「永井荷風」も燃え尽きてしまったようです。精神的に。

ところで、「断腸亭日乗」の中に「すみだ川」についての面白い記事を発見しました。ちょっと現代語に訳してみます。

昭和15年12月27日。好天気。午後に起き出して夕暮に土州橋から浅草に行きオペラ館の楽屋で遊んだ。踊り子の一人が私の小説「すみだ川」の一節をとって流行歌にしたものがレコード屋にあるという。国際劇場前のレコード屋とのこと。近くなので幕間(まくあい)の休みに一緒に行ってこれを購入した。A面は「すみだ川」B面は森先生の「高瀬舟」である。だれがこんなものを作ったのか。驚くべき悪ふざけである。

「悪戯」と非難しながらも、森鴎外大先生がB面で自分の「すみだ川」がA面だったことは、荷風先生もまんざら悪い気はしなかったのではなかろうか。今だったら著作権問題で大変なことになっていたかもしれません。

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