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2007年10月15日 (月)

江戸時代最大のベストセラー小説は何か?

日経新聞というと無味乾燥な経済新聞のようなイメージがありますが、実際はそうでもありません。文化面や経済と関係のないコラムなどが充実していてなかなか面白いです。各界の著名人が若き日の悪事や過ちや自慢話を披露する半生の自叙伝「私の履歴書」にも、小松左京や水木しげるなどが登場したりします。「私の履歴書」はひとり一ヶ月間の連載なので読み応えがあります。ただし、人物が変わっても文体が一定しているので文章そのものは本人が書いているわけではないと思います。

最近、楽しみにしているのは日曜日の[美の美」というシリーズです。今は「戯作の時代」というタイトルで江戸時代の戯作にまつわる極彩色の錦絵が解説文とともに紹介されています。

極彩色の錦絵を見ていると、かつて(1960年代後半)世界的に流行したサイケデリック・アートを連想します。あのサイケデリック・アートも所詮は錦絵の二番せんじだったのではないかという気がします。ゴッホが浮世絵を熱心に模写していたことはあまりにも有名ですが、錦絵を見ていると確かに狂気と紙一重の色彩感覚が漂っています。日常的な風景でもなぜか幻想的です。

この「戯作の時代」ですが、第1回で滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」がとりあげられていました。何となく知っていて、でも実際に原作を読んだ人は少ないというのがこの「南総里見八犬伝」だと思います。

「南総里見八犬伝」は坪内逍遥に罵倒され、文学史的には著しく低い評価しか与えられていないそうです。「戯作の時代」の解説文を書いている宝玉正彦氏は、文学史上の評価に一定の理解を示しつつも、「南総里見八犬伝」は浮世の辛酸をなめた戯作者・滝沢馬琴が歴史の姿を借りて理想(の世界観)を表した作品であると指摘しています。

「戯作の世界では焼き直し二番せんじも日常茶飯事であり、強力な小説作法である」(宝玉正彦)とすれば、そのこと自体を非難するのは的外れです。問われるべきはその小説作法によってなにをなしたかです。

小説というのは読まれて何ぼの世界ですから、大家がいかに非難しようと、200年の時を超えて平成の今日にまで及んでいる「南総里見八犬伝」の影響力と生命力は無視でないものがあります。かつては「旧時代の遺物」という烙印を押された「南総里見八犬伝」ですが、ちょっと視点を変えてみると、「馬琴を目の敵にした近代の文学(≒純文学)は八犬伝を超えられたかという疑問」(宝玉正彦)も沸いてこようというものです。

「戯作の時代」は絵画を紹介するシリーズですが、解説の名文に誘われてなぜか小説のほうも読んでみたくなってきます。ちなみに、江戸時代最大のベストセラーは柳亭種彦の「偐紫田舎源氏」だそうです。

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>島根県松江市のアルバイト巴里和亮さん(28)なんて読むの???それに28でアルバイトで、こんなことして、自由な人だ。>今回は「全国和牛能力共進会」と同時開催のため、例年の倍を超す観光客ら約千五百人が参加。和牛能力共進会???何する会??世の中にはいろんなものがありますね。>女性記録を争った境港市の会社員浜田かおりさん(31)は地元の女子サッカー部に所属。「げた飛ばしはシュートに似ている。記録を狙っていた」と話した。かおりさんwwwwwww本気だ!!31歳で、どんな人か気にな...... [続きを読む]

受信: 2007年10月15日 (月) 23時49分

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