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2007年11月23日 (金)

倉田百三の「出家とその弟子」を読む

「出家とその弟子」は戯曲です。発表された当時(1917年)は大反響を呼び、空前のベストセラーになったそうです。その後に起きた宗教ブームの起爆剤になったともいわれています。

英訳された「出家とその弟子」を読んだフランスの文豪ロマン・ロランは、仏教とキリスト教の調和が素晴らしいということでこの作品に最大級の賛辞を贈っています。ところが日本の仏教界(浄土真宗)からは親鸞の教えとキリスト教の教えをごちゃ混ぜにするのはけしからんといった抗議の声が上がったそうです。教義に対する独自の解釈が歓迎されなかったのかもしれません。

「出家とその弟子」は今でも青少年の愛読書(そこそこ売れている)らしいですが、罰当りの悪ガキには読むに耐えない駄本です。いや、殺人や強盗に手を染めるような本格的罰当りなら「出家とその弟子」を読んで改心するということがあるのかもしれません。いずれにしてもこういう本は十代のころに読まないと「賞味期限切れ」です。比較的面白く読めるのは第一幕だけで、第二幕、第三幕と続くにしたがって、「もういいよ」という気になってきます。

 かえで  (涙ぐむ)まあ、それほどまでに私を愛してくださいますの。
 唯 円  (痙攣的にかえでを抱く)永久にあなたを愛します。あなたは私のいのちです。

第四幕になる大真面目でこんなセリフが出てきます。墓場で忍び逢いをする遊女(かえで)とお坊さん(唯円)の会話です(面白そうだと思う人は読んでみるのも一興かもしれません)。

倉田百三は「出家とその弟子」を発表後求道者的人生を歩みますが、晩年はなぜか暴力を肯定する超国家主義者になってしまいました。南無阿弥陀仏です。

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