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2008年2月24日 (日)

福沢諭吉の「学問のすすめ」を読む・その1

「学問のすすめ」は明治5年から明治9年にかけて断続的に出版された17の小編を一冊に纏めたものです。その内容は、実学を学ぶことの大切さに始まって人生論や家族論、さらには国家論や文明論にまで及んでいます。だからといって堅苦しいわけではなく、実例やたとえ話を取り入れた親しみやすい内容になっています。

明治時代に書かれた「学問のすすめ」を読んでなるほどと納得してしまうところが多々あるというのも何だか情けない気がしますが、たとえば、次のような指摘は一言一句訂正することなく現在でも通用すると思います。

二に曰く、政府人に乏し、有力の人物政府を離れなば官務に差支あるべしと。答云く、決して然らず、今の政府は官員の多きを患うるなり。事を簡にして官員を減ずれば、その事務はよく整理してその人員は世間の用をなすべし、一挙して両得なり。故さらに政府の事務を多端にし、有用の人を取って無用の事をなさしむるは策の拙なるものと言うべし(第4編・付録)。

もちろん、どんな偉い人の教えでも立場の違いや時代の制約というものがあります。その主張をすべて鵜呑みにするわけにはいきません。しかし、そういう事情についてもこの本は先手を打ってきちんと指摘しています。古典の読み方です。

後世の孔子を学ぶものは、時代の考えを勘定の内に入れて取捨せざるべからず。二千年前に行われた教えをそのままに、しき写して明治年間に行わんとする者は、共に事物の相場を談ずべからざる人なり。

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