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2008年2月 7日 (木)

芥川龍之介の「或阿呆の一生」を読む

僕は今最も不幸な幸福の中に暮らしている。しかし不思議にも後悔していない。唯僕の如き悪夫、悪子、悪親を持ったものたちを如何にも気の毒に感じている。ではさようなら。僕はこの原稿の中では少なくとも意識的には自己弁護をしなかったつもりだ。

「或阿呆の一生」は芥川龍之介の遺稿です。自らの人生の断面が51の断章に綴られています。わかる人にはわかるけどわからない人にはわからないような婉曲な表現が多く、読者に熟読することを強いるといった感じの作品です。非常に難解です。

     「僕のことをどこまで理解しているか、テストするぞ」

なんだかそんなふうに言われているような気がします。この作品は事前に評伝か何かを読んで予備知識を仕入れておかないととても太刀打ちできません。芥川龍之介のファンの人なら、どこまで熱心なファンかをチェックするバロメーターになると思います。

カンニングをしないで、一般の読者が独立した作品として「或阿呆の一生」を読むとしたら、熟読玩味して謎解きのように各断章からキーフレーズを探すといった読み方がいいのではないかと思います(そこまでして読まなくてもいいか・・・)。

 1 時代    人生は一行のボオドレエルにも若かない
 2 母     彼は彼等(=狂人たち)の臭気に彼の母の臭気を感じた
 3 家     彼は彼の叔母に誰よりも愛(=親近感)を感じていた
 4 東京    桜・襤褸・憂鬱・自分・時代遅れ
 5 我     神々に近い「我」の世界へ彼自身を解放した 
 6 病     しかしそれは痰ではなかった
 7 画     耳を切った和蘭人
 8 花火    命と取り換えてもつかまえたかった
 9 死体    「己は死体に不足すれば、何の悪意もなしに人殺しするがね」
10 先生    樫の木は秋の日の光の中に1枚の葉さえ動かさなかった
11 夜明け   空には丁度彼の真上に星が一つ輝いていた
12 軍港    和蘭芹
13 先生の死 安堵に似た歓びが彼を苦しめた
14 結婚    叔母の「言え」と云う小言
15 彼等    彼等は平和に生活した
16 枕     懐疑主義・半身半馬神
17 蝶     彼の唇の上にいつか擦って行った翅の粉
18 月     偶然彼女に遭遇した。今まで知らなかった寂しさを感じた。
19 人工の翼 太陽に向う翼
20 枷     養父母との同居。新聞社との契約。

断章は51章までありますが、もうやめます。

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