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2008年5月21日 (水)

織田作之助の「猿飛佐助」を読む

信州上田の郷士鷲塚佐太夫にドラ息子がいました。名前を佐助といいます。武骨でむさ苦しい身の丈6尺3寸(191cm)の大男でしたが、和歌などを詠み上品典雅のみやび男を気取っていました。しかし残念なことに佐助の顔は醜いアバタ面でした。さすがの佐助もこの顔では女にモテないと悟ったのか、世をはかなんで山奥の洞窟の中に身を隠してしまいました。

ある日のことです。佐助が鹿も通わぬ山奥で剣術の稽古に励んでいると、佐助の前に戸沢白雲斎が現れました。白雲斎はヨボヨボのお爺さんです。しかし、三町四方の蚤の飛ぶ音も聴こえるという甲賀忍法の達人でもあります(1町は約109メートル)。また、仙人のような風貌にも似合わず白雲斎は少し食い意地が張っているところがあって蝮蛇の頭が大好物でした。その蝮蛇の頭が佐助の洞窟にはたくさんあります。そこで手持ちの蝮蛇の頭を白雲斎に食べさせてあげたところ、佐助はすっかり白雲斎に気に入られてしまいました。そんなわけで佐助は白雲斎から鳥人の術を教えてもらえることになったのです。

鳥人の術というのは、飛行の術、それに火遁、水遁、木遁、金遁、土遁の忍術のことです。特に飛行の術は甲賀忍法の中でも戸沢家だけに伝わる秘法中の秘法です。この術をマスターすれば超高速で空が飛べるようになります。その日のうちに江戸の仇を長崎で討つこともできます。

戸沢白雲斎の訓導のもと3年の月日が流れて佐助は鳥人の術の極意を会得します。

「人と交わるや、人しばしばその長所を喜ばず、その短所を喜ぶものと心得べし。即ち、汝のアバタ面は人に喜ばれようが、鳥人の術は喜ばれざる故に、心して用うべし。さらばじゃ」

別れ際にこんな言葉を残して白雲斎は去っていきました。かくして佐助は鳥人の術の免許皆伝となり、山奥暮らしに別れを告げて下界に下りていきました。やがて佐助はその鳥人の術が認められて真田幸村の家来になり、猿飛の姓を賜わって猿飛佐助と名乗るようになります。

さて、お城勤めにも慣れ白雲斎の教えを守って城中で人気も出てきた猿飛佐助ですが、この武骨な大男には楓(かえで)ちゃんという幼馴染みの美少女がいました。楓ちゃんは佐助のアバタ面などものともせずにひたすら佐助を恋い慕っていました。佐助も楓ちゃんだけにはなぜかモテるのです。しかし、佐助は自分の醜いアバタ面を恥じていました。真田幸村に仕えるようになったものの上田の城中に楓ちゃんがいることを知ると、佐助は楓ちゃんにアバタ面を見られたくないばっかりに城中を飛び出してしまいました。大男のくせにナイーブなんですね。

特に行く当てのなかった佐助は日本全国武者修行の旅をすることにしました。そんな佐助を楓ちゃんはどこまでも追いかけていきます・・・。

この織田作之助の「猿飛佐助」は、真田十勇士も出てきますが、間抜けな大泥棒の石川五右衛門と鳥人の術を使う猿飛佐助との対決がメインになっています。増長した佐助が師匠の白雲斎に術を封じられてしまったり、五右衛門の手下に捕まって囚われの身となった佐助を楓ちゃんが救出したり、「大興奮の忍者活劇」です。原典(?)を読んでいないのでどのあたりが織田作之助の創作なのかわかりませんが、とにかく文章が軽妙洒脱で面白いです。特にダジャレの好きな人におススメです。

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