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2008年5月 4日 (日)

「蟹工船」悲しき再脚光 異例の増刷、売り上げ5倍

小林多喜二の「蟹工船」が5月2日付け読売新聞夕刊の一面トップでとりあげられて話題になっています。「(新潮文庫版が)今年に入って“古典”としては異例の2万7000部を増刷、例年の5倍の勢いで売れている」そうです。「蟹工船」のひそかなブームが大ブームに発展しそうな勢いです。

「ワーキングプア」が社会問題化しつつある格差社会で「蟹工船」が注目されているのはわかるとして、なぜあの「読売新聞」が大々的に取り上げたのでしょうか。「赤旗」でも「朝日新聞」でもなく「読売新聞」というのがなかなか興味深いです。

「蟹工船」の岩波文庫版の解説によると、「蟹工船」が「戦旗」(日本無産者芸術同盟の機関誌)に発表された当時(1929年)、これを一般的文壇の立場から高く評価したのが読売新聞紙上においてだったようです。

『蟹工船』は当時ただに左翼的批評家によってばかりでなく、ひろく一般の文壇からもみとめられ、八月の読売新聞紙上では、この作が一九二九年度上半期の最大傑作として多くの文芸家から推された。(岩波文庫版の解説)

読売新聞には、左翼系機関誌(「戦旗」)に掲載された「蟹工船」の芸術性(?)をいち早く評価したという伝統的自負があったのかもしれません。それに読売新聞のナベツネ(渡辺恒雄)だって学生時代は日本共産党の党員でした。人は見かけによらないものです。今やイメージがすっかり老害の象徴のようになってしまったナベツネですが、独裁者(?)というのは孤独なものです。内心では過ぎ去りし遠い過去にひそかな郷愁を感じているかもしれません。

何はともあれ「蟹工船」再脚光といったような記事を読売新聞が親分(ナベツネ)に無断で一面トップに掲載するというのは考えにくいです。転ばぬ先の杖と思って担当者(?)がお伺いを立てたところ、ナベツネから「大いに結構だ。一面のトップにしろ」なんて檄を飛ばされていたかもしれません(あくまでも推測です)。

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