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2009年11月29日 (日)

小池真理子の「無花果の森」を読む・第17回(11/28)

「初老」という言葉が意味する年齢は非常に曖昧です。40歳代を初老と考えている人もいれば、60歳代でもまだ若いと考えている人もいます。「初老」といわれただけでは、「あんたの初老は何歳やねん?」と聞きたくなります。

で、「軽食喫茶・ガーベラ」の店主も初老の男でした。間違っていたら訂正することにして、とりあえず60歳ぐらいということにしておきます。

白髪まじりの、つやを失った髪の毛を伸ばしてボブカットにし、メタルフレームのメガネをかけている痩せた男だった。赤と白の格子縞のシャツに、胸当てのついた黒いエプロンをしていた。店主のようだった。

ボブカットというのは、アニメのちびまる子ちゃんのようなおかっぱ頭のことをいうらしいです。ショートボブとかグラデーションボブとか、いろいろバリエーションがあります。バナナマンの日村や南海キャンディーズの山ちゃんのようなマッシュルームカットもマッシュボブといってボブカットの一種だそうです。

ヘアスタイルから服装まで、通りすがりの喫茶店の店主にもかかわらず、この初老の男についてはその雰囲気がかなり丁寧に描写されています。泉などは主人公だというのに、その容姿についての具体的描写はほとんどありません。読者に知らされているのは年齢(38歳)だけです。服装についても、Tシャツにデニム、これでおしまいです。

 

「軽食喫茶・ガーベラ」は何だか薄汚い感じのお店です。ボックス席は荷物置き場になっているし、埃だらけでほとんど掃除をしている気配がありません。カウンター席だけで細々と営業しています。もちろん泉以外に客はいません。

この店の店主は必要なこと以外はしゃべりたがらない無愛想な人です。商売っ気がまったくありません。本当の事は話したくないし、かといって作り話をするのもめんどうだと考えている泉にとっては、店主がむっつりと押し黙っていてくれたほうがむしろ好都合です。世間話などには興味のない似たもの同士(?)の間に流れる沈黙は、「気まずい沈黙」ではなくて、「心地よい沈黙」といえるかもしれません。

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