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2009年11月18日 (水)

小池真理子の「無花果の森」を読む(3)

●第8回(11/17)
「映画監督の新谷吉彦さん(48)の妻、泉さん(38)の行方がわからなくなり、新谷さんから警察に捜索願いが出されていた」

新谷泉はこんな記事がスポーツ紙のどこかに出ているのではないかと恐れていました。隣の席の男が立ち去ってから泉は男が置いていった新聞をそっと引き寄せて開いてみました。しかし、泉が恐れていたような記事はどこにも載っていませんでした。

捜索願の記事は泉の妄想でした。この妄想記事のおかげでようやく読者にも泉が38歳であり、夫の映画監督が吉彦という名前で48歳であることがわかりました。ふたりはいわゆる年の差カップルです。しかし、ふたりが結婚して何年になるのかとか、お互いに初婚なのかどうかとか、子どもはいるのかなど、名前と年齢以外の詳しいことは依然として謎のままです(早く教えてね)。

泉の携帯電話には電源を入れるだけで現在地が確認されてしまうGPS機能がついています。そのため泉はできることなら携帯電話を捨ててしまいたいと考えました。でもその一方で「携帯がないと不便だわ」とも考えています。

世を捨てる覚悟を決めているはずなのに便利だの不便だのという感覚にとらわれているのは、まだ泉の心のどこかに迷いがあるのかもしれません。

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