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2009年11月20日 (金)

小池真理子の「無花果の森」を読む(5)

●第10回(11/19)
「無花果の森」は、日経新聞の夕刊に掲載されている小池真理子の連載小説です。版画家・柄澤齊(からさわひとし)が挿絵を描いています。面白いのかどうかはまだよくわかりません。ストリーはどうなっているかというと、

 主人公の新谷泉(38)は映画監督である夫・吉彦(48)の暴力に耐えかねて家出をした

今のところはここまでです。話がなかなか前に進みません。

今どき新聞小説を熱心に読んでいる人というのは、ある意味で奇人変人の親戚かもしれません。でも、娯楽の少なかった明治時代には新聞小説は大モテで大流行していました。夏目漱石は言うに及ばず、明治時代のベストセラー小説のほとんどは新聞小説でした。尾崎紅葉の「金色夜叉」など、続きが読みたくて毎朝朝刊が配達されるのを今か今かと待っていた熱心な読者もいたといいます……古きよき時代でした。

 
さて、第10回です。新谷泉は、どこへ行くというあてもないのに新幹線を利用したり、ネットカフェやカプセルホテルがあるのにビジネスホテルを利用したり、ちょっと金遣いが荒いのではないかと心配になってきます。コインロッカーだってタダではないんだからそうむやみに使ってはいけません。だいたいスタバでコーヒーとサンドイッチなんて贅沢過ぎます。お腹が空いたらコンビニでカップラーメンを買ってお湯を入れてもらって近くの公園で食べなさい。

 逃げることだけを考えるべきだった。これまでいた場所から。これまで過ごした人生から。夫から。これまで積み重ねてきたあらゆる人間関係から。
 逃げて逃げて、「誰でもない誰か」になりたかった。どれほど孤独になってもかまわない。別の人生を送ることだけを考えたかった。

新谷泉はなぜこのように考えるようになったのでしょうか。夫の暴力に耐えかねて今の生活が嫌になったというだけでは説得力がありません。「誰でもない誰か」になりたいと考えるのは、やはり本人の気質が大きく影響していると思います。これは泉の病的な失踪願望です。かりに夫の暴力がなかったとしても、何かをきっかけに結局は現実に背を向けて失踪することになっただろうと思います。失踪は泉にとって人生の宿命のようなものです。そんなわけで、とにかく泉は失踪したのであります。

泉は、東京から新幹線で名古屋まで行き、名古屋で快速列車に乗り換えて岐阜大崖という駅で降りました。岐阜大崖というくらいですから岐阜県にあるのだと思いますが詳しい場所はわかりません。さびれた地方都市です。この岐阜大崖の中心地にあるホテルに、泉は「高田洋子」という偽名を使ってチェックインしました……そろそろ何かが起きそうな予感がします。

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