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2009年11月15日 (日)

小池真理子の「無花果の森」を読む(1)

日経新聞の夕刊に小池真理子の「無花果の森」という連載小説が始まりました。新聞の連載小説などほとんど読むことはありませんが、この「無花果の森」はどうも相性がいいです。なんとなく読んでしまった第1回のさびれた地方都市の描写がよかったです。以後、毎回読み続けて、いつのまにか愛読者になってしまいました。今後の展開が楽しみです。

とりあえず第1回(11月9日)から第6回(11月14日)までのあらすじを紹介しておきます。

●第1回
主人公は新谷泉という既婚の女性です。夫は映画監督です。

新谷泉はなんらかの事情で現在失踪中です。新幹線で東京から名古屋まで来ました。知り合いと偶然出会ってしまうことを極端に恐れていて、京都や大阪方面には行かずに、「岐阜大崖」という見知らぬ駅で降りて、今はその駅の近くのホテルに身を潜めています。

●第2回
「岐阜大崖」という駅名はネットで検索してもヒットしません。おそらくは架空の駅なんだと思います。ただ、主人公の新谷泉は名古屋から快速列車に乗って「岐阜大崖」に着いたことになっています。この快速列車はおそらく豊橋と名鉄岐阜を結んでいる名古屋本線です。したがって終点の名鉄岐阜の手前に架空の駅「岐阜大崖」があることになります。
  
失踪中の新谷泉は「苦悩の果てに自分が選んだ行動に、今ごろになって強い不安を抱き始め」ています。神経性胃炎なのか、胃の奥のほうがちりちりと痛みだしたりもしています。

●第3回
なぜ新谷泉は目黒の自宅を飛び出したのか、その理由はまだはっきりしません。ただ、「ここ数か月、泉がぐっすり眠ることができた日は数えるほどしかなかった」というくらいですから、夫の浮気かDVかあるいは仕事や金銭上のドラブルか、とにかく妻としてどうにも我慢のならない何かがあったのだろうと推測されます。真相は不明です。

家を飛び出すにあたって、泉が引き出して携帯した現金は約68万円です。これは結婚前に貯めていたへそくりです。

●第4回
新谷泉の夫は映画監督です。「自宅に映画関係者を連れてきて大盤振る舞いをする」のが好きでした。そのため新谷家の家計はいつも火の車でした。

泉は夫からわずかな生活費を渡されるだけで残りのお金はすべて夫が管理していました。夫にどれくらいお金があるのか、あるいは借金などがあるのかないのか、夫の懐具合について泉は何も知らされていませんでした。

●第5回
泉はどんなことがあっても、天によって死が与えられる瞬間まで、自ら死を選ぶまいと決心しています。ただ、このままではやがて自分が路上生活者になるのではないかとも考えています。

なにはともあれ失踪中の泉に自由になるお金は約68万円です。このお金が尽きれば泉は路頭に迷うことになります。今は「とりあえずの隠れ場所を見つけ、今後のことを考えよう」と思っています。

●第6回
失踪した当日の話です。泉は目黒駅から山手線で東京駅に出て、東京駅周辺の安いビジネスホテルに泊まりました。煙草の匂いと黴の匂いが付着した安ホテルの狭い部屋で、泉は「ベッドに仰向けになり、身体を休めながら、今後のことを考えよう」としました。しかし、「興奮と恐怖、不安が押し寄せてきて」何も考えられませんでした。

映画監督である夫と泉の間に何があったのか、詳しいことはまだ不明です。

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コメント

無花果の森の舞台は
岐阜県大垣市の郭(くるわ)町と言う実在の町なんですよ。

投稿: | 2010年1月10日 (日) 20時38分

コメントありがとうございます。

大崖市は大垣市のもじりだろうと思っていましたが、なるほど大垣市の郭町の道路って、片側2車線で中央分離帯に並木が植えてありますね。

Yahooの地図です → http://map.yahoo.co.jp/pl?p=%C2%E7%B3%C0%BB%D4%B3%D4%C4%AE&lat=35.35746278&lon=136.61831889&type=&ei=euc-jp&v=2&sc=3&gov=21202.96

あと、歩道だけアーケードがある道路ということで名鉄岐阜駅前の長住町通りもミックスされているのではないでしょうか。

写真です → http://mikkagashi.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-9aaa.html

投稿: むぎ | 2010年1月10日 (日) 23時56分

第2回で泉が乗った快速列車は、名鉄名古屋本線ではなくてJRの東海道本線でした。そうでないと大垣駅には行けません。地図で確認すると、名鉄名古屋駅のホームは地下になっていてJRの名古屋駅とは少し離れているようです。遅ればせながら訂正しておきます。

さて、「無花果の森」の舞台となっている大崖市(大垣市)を新谷泉になったつもりで歩いてみましょう。

大崖駅(大垣駅)南口(たぶん)から美濃路を歩いていくと前方右手に大崖城が見えてきます(お城はすでに駅からでも見えてるかもしれません)。さらに南に進むと県道237号線との交差点に出ます。郭町(くるわまち)の交差点です。この交差点を右に曲がると県道沿いに大垣城ホールがあります。大垣城ホールの先は大垣公園になっています。なかなか緑の豊かなところです(たぶん)。このあたりに天坊八重子の住居(元大崖服装学院)があったのではないかと推測されます。そういえば、途中にコンビニ(ファミリーマート)もありました。

投稿: むぎ | 2010年2月 7日 (日) 12時16分

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