« 小池真理子の「無花果の森」を読む(3) | トップページ | 小池真理子の「無花果の森」を読む(5) »

2009年11月19日 (木)

小池真理子の「無花果の森」を読む(4)

●第9回(11/18)
去年の夏のことです。新宿の中央公園の近くで、女性の路上生活者を見かけたことがありました。一見すると上品でいかにも育ちのよさそうな顔をしていて路上生活者という感じはまったくありません。でも、大きな荷物を引きずっているその出で立ちは明らかに路上生活者でした。ギャップの大きさが印象的でした。「無花果の森」を読んでいたら、かつてそんな女性の路上生活者を見かけたことをなぜか思い出していました。

さて、第9回です。新谷泉はこれまでの携帯電話を解約することによって、夫だけでなく肉親や友人・知人ともすっかり縁が切れてしまったことを実感します。

夫の暴力だけが問題なら、誰かに相談するなり、匿って貰うなりして、なにも失踪して世捨て人にならなくてもそれなりの対処法はあったはずです。泉にはもともと「孤独な虫けらのように」だれにも知られずにひっそりと生きていこうとする暗い厭世癖のようなものがあったのかもしれません。

泉は、自分からどこかに連絡をとろうとする時の通信手段だけは残しておきたいと考えました。そこで、GPS機能のない高齢者向けのシンプルな携帯電話を新たに契約しました。でも、世間と縁が切れてしまってそれをよしとするなら、自分からどこかに連絡を取ろうとする必要はまず生じないと思います。

仕事を探すでもなく、病気になっても医者にかかるでもなく、先方からのいかなる連絡も拒絶するのであれば、放浪生活に携帯など必要ありません。これはしばらく暮らしてみればわかります。

泉の所持金は約68万円です。1日1万円で暮らせば約2か月、1日5千円で暮らしても約4か月でお金はなくなってしまいます。その後は路上生活です……どうなってしまうのでしょうか。

|

« 小池真理子の「無花果の森」を読む(3) | トップページ | 小池真理子の「無花果の森」を読む(5) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/122218/32270834

この記事へのトラックバック一覧です: 小池真理子の「無花果の森」を読む(4):

« 小池真理子の「無花果の森」を読む(3) | トップページ | 小池真理子の「無花果の森」を読む(5) »