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2009年12月15日 (火)

「無花果の森」第30回(12/14)

 もし、雇ってもらうことができたら、当分の間、人間らしい暮らしが保証される。給金を貯めておけば、突然解雇されたとしても、なんとか生きていける。目の前に、思ってもみなかった光が射してきたような気がした。泉は軽い興奮を覚えた。

まさに「地獄で仏」です。でも、まだ採用が決まったわけではありません。「光が射してきた」と思うのはちょっと気が早いです。「獲らぬ狸の皮算用」になるかもしれません。それに心配なこともあります。

 かつて金持ちの友達の家に住み込んでいた、くだんの家政婦は、その後しばらくたってから解雇された。
 大人たちはひそひそと、「ご主人のお手つきがあって、奥さんが怒り狂ったらしい」と噂した。「お手つき」という言葉の意味を泉が知ったのは、少し後のことになる。

小学生の泉が「お手つき」などという言葉の意味を知っていたら大変です。でも、今どきの小学生なら、マセているから、なんとなくわかってしまうかもしれません。「大辞泉」には、「(「お手付き」の形で)主人が侍女・女中などと肉体関係を結ぶこと」という意味が載っていました。カルタの「お手つき」以外にこんな意味があったとは初めて知りました。

自称「何の取り柄もない、地味な女」の泉が、三十八歳にもなって「お手つき」の心配をするというのは、ちょっと自意識過剰ではないかという気もします。もっとも世間には泉と同じ三十八歳でもそれなりにフェロモンが出ている人もいます。

  

今年の6月1日現在、三十八歳だった有名人をピックアップしてみました(知っている範囲で)。誰がどうとは言いませんが、まだまだ色っぽい人もいるし、もうダメな人もいます。

 伊達公子  テニス選手  1970年  9月28日生れ
 永作博美  女優  1970年  10月14日生れ
 渡辺満里奈  おニャン子クラブ  1970年  11月18日生れ
 和久井映見  女優  1970年  12月8日生れ
 西村知美  タレント  1970年  12月17日生れ
 丸川珠代  参議院議員  1971年  1月19日生れ 
 酒井法子  女優・歌手  1971年  2月14日生れ
 西川史子  医師  1971年  4月5日生れ
 光浦靖子  タレント  1971年  5月20日生れ

  

軽食喫茶・ガーベラの店主によれば、貼り紙にある「天坊」というのは人の名前で、「てんぼう」と読むのだそうです。お手伝いの雇い主は「天坊八重子」という大崖に住んでいる画家でした。お店の常連客なのかもしれません。なにはともあれ雇い主は女性です。これで泉にとって「お手つき」の心配はなくなりました。

あとは保証人をどうするかです。泉の夫の吉彦は有名な映画監督です。失踪に至った事情を正直に話せば保証人なしでも雇ってもらえるかも知れません。ただ、泉はすべての過去と縁を切ったつもりになっています。この期に及んで夫の名前に頼りたくないと思っているかもしれません。

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