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2009年12月 9日 (水)

「無花果の森」第25回(12/8)

 当時、新谷監督は三十七歳。個性派監督として名を馳せ、彼の撮った映画には熱心な固定ファンがついていた。すでに、「新谷組」と名づけられた熱狂的信奉者がスタッフとして彼の周囲を固めていた。若手にもかかわらず、早くもおいそれとは近づけない雰囲気を醸しだしている監督だった。

こういう設定は俗っぽくて軽薄です。だいたい時代の寵児のような映画監督が、何の取柄もない駆け出しのスクリプターの泉に好きだなんて言いますかね。

その監督から、好きだ、とい言われ、身体の関係を持ち、短期間のうちに結婚することになろうとは、そのころの泉には夢にも想像できないことだった。

そりゃあ想像できませんよ、現実問題としてありえない話ですから。

いくら小説とはいえ、吉彦を今を時めくカリスマ的映画監督にしてしまうのは興醒めです。できれば、厳しい現実の中で虚勢を張って悪戦苦闘しているごく普通の男にして欲しかったです。映画監督というのは、何か副業でもしないと監督業だけでは食べていけない貧乏な人が一般的だと思います。そういう、うだつの上がらない監督でないと、吉彦が泉を好きになるという展開が不自然です。あまりにも現実離れしています。

吉彦が泉という女性の気質や性格を深く理解してそれで好きになった、などというのはおとぎ話です。

あくまでも好きになったことにするなら、泉が交通事故で亡くなった最愛の母親に似ていたとか、子供のころに病気で他界した妹にそっくりだったとか、吉彦が泉を好きになってしまう何か特殊な事情がないと……。

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