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2010年4月 8日 (木)

小池真理子の「無花果の森」第119回(4/7)まで

泉が番外地横丁の『ブルー・ベルベット』に行ったのは六月最後の水曜日でした。その後しばらくは何ごともなく、塚本鉄治からの手紙が玄関ドアに挟んであったのは金曜日でした。この金曜日は、しばらく何ごともなくてやって来た金曜日ですから、翌々日の金曜日では早すぎます。少なくとも翌週の金曜日です。そうだとすれば、間違いなく月が替わっていることになります。今はもう七月です。

泉の給料は月の初めに5万円が貰えることになっています。泉が家政婦として働き始めたのは六月の途中からですが、天坊八重子は泉にいくら給料を払ったでしょうか(天坊八重子の人格占い)。

1.大サービスで5万円満額支給した    80%  太っ腹
2.日割り計算で2万円程度支給した    15%  セコイ
3.給料は来月からで支給はなし         5%  鬼

  

さて、泉は翌々日の日曜日の午後2時に塚本鉄治に会うことになりました。場所は塚本の住んでいるマンションです。

 「番外地横丁の前に着いたら、この携帯に電話ください。そこから歩いてすぐのマンションなんですが、ちょっと入口がわかりにくいかと思うので、僕が電話で指示します」

マンションといえば、廃屋のような荒れ果てたマンションが立ち並んでいる界隈を泉が散策する場面がありました。第85回です。あの老朽化したマンションのどこかに塚本鉄治が住んでいるような気がします。

どのマンションも、人が住んでいるのは全世帯の三割か、それ以下だった。マンションの、埃のたまったエントランス付近には、乾いた蘆のような、いかにも凶暴そうな雑草がみっしりと生えていた。あたりには錆びた空き缶が転がり、階段ホールのすりガラスにはいちめん、ひびが入ったままになっていた。

かつてはニュータウンなどといってもてはやされていたマンションも、老朽化が進みやがては取り残された高齢者だけが住むゴーストタウンに変貌してゆきます。「無花果の森」に出てきた荒れ果てたマンションの描写にもその片鱗が窺えます。まるで俺の住んでいるマンションそっくりだと思った人もいるのではないでしょうか。
  
 
なにはともあれ、泉は早く塚本鉄治から事情を訊いてモヤモヤした不透明感を払拭したほうがいいです。謎が解けて疑心暗鬼がなくなれば、似たような境遇のふたりです。すぐに仲良くなれます。毎週日曜日に会う約束をして、お互いにそれだけが唯一の楽しみになっていくかもしれません。

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