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2010年5月 5日 (水)

小池真理子の「無花果の森」第139回(5/1)まで

塚本鉄治の年齢が判明しました。四十二歳です。泉は年下が好きなので(勝手に決める)三十五歳ぐらいがいいのではないかと思っていました。予想がはずれてしまいました。泉が三十八歳、鉄治が四十二歳……常識的で無難な線だと思います。

しかし、いきなりぶっきらぼうに「年はおいくつなんですか」と聞くというのもなんだか不粋です。泉の作戦としては、思いやりのある優しい人なんだと思わせるために、「東京にご家族はいらっしゃらないのですか」などと、さも鉄治の身の上を心配しているような質問をするのがよかったと思います。

鉄治が泉のことを本当は優しい人なんだと考えるようになければ、いろいろ身の上話をしてくれると思います。たとえば、「ずっと一人暮らしをしていました。仕事が忙しくて結婚を考えている暇がありませんでした。もう四十二なんですけどね」(あくまでもたとえばの話です)……自然と年齢もわかろうというものです。

もっとも、不自然な質問をすることによって、「あなたに興味があります」という暗黙の意思表示にはなっていたかもしれません。興味も関心もない人には、間違ってもいきなり年齢を聞いたりはしないものです。
  

ところで、年収ラボというサイトに「新聞記者・雑誌記者の平均年収」というのが紹介されていました。

このサイトよると平成20年の新聞記者・雑誌記者の平均年収は772.5万円(平均年齢36.9歳、平均勤続年数11.9年)だそうです。記者としての活躍の場は、放送局、新聞社、出版社、フリーと分けられますが、最も稼げるのが大手放送記者で、30代後半で年収1500万円超、続いて大手新聞社・出版社の800~1000万円台(30代前半)と言われています。この業界は各メディアとも大手と中小の格差が激しいのが特徴で、「中小のメディアでは、大手の4~7割、350~600万円くらいが相場」だそうです。フリーライターになるとさらに厳しく、「原稿料1枚の相場が1000~5000円で、年収300~500万円当たりがボリュームゾーン」だとか。

詳しくは → http://nensyu-labo.com/syokugyou_kisya.htm

塚本鉄治がごく平均的なフリーランスの週刊誌記者だったとすると、貧乏暇なしで結婚どころではなかったかもしれません。

   

泉が鉄治のところを訪れて、話し合いが始まったのは、4月14日の第125回あたりからです。それから5月1日の第139回まで延々とふたりの話し合いが続いています。挿絵を担当している柄澤齊画伯もどんな挿絵を描けばいいのか困っているらしく、同じシルエットの人物像を使い回してなんとか凌いでいる感じです。内心、「先へ進んでもらわないと挿絵の描きようがない」とボヤいているのではないでしょうか。

でも、この間、小説の中の時間はたばこを1、2本吸う程度の時間しか流れていません。この話し合いのシーンはまだまだ続きそうです。

鉄治としては、無実の罪を着せられて逃亡していることを泉に伝えて、「お互いのことを絶対に他言しない」という約束に同意してもらえれば、泉と会った目的は達せられたことになります。しかし、泉としては、まだ鉄治に聞いておかなくてはならないことがあります。

1.なぜ新谷吉彦のDVに関心を持ったのか
2.新谷組のカメラマンだった曾我一郎は今どうしているのか

新谷吉彦のDVに関して、マスコミ関係者で初めて泉に接触してきたのは塚本鉄治です。第48回で、鉄治は泉に次のように話しています。

「いつになるかはわかりませんが、監督のことは間違いなくそのうち、どこかのメディアが取り上げると思います。その記事をご覧になって、もしも何かご意見やご批判があるようでしたら、その時は僕に連絡ください。僕はできる範囲で再取材をして、真実を報道したいと考えていますので」

当時の泉は、マスコミに対する不信感が強く、鉄治が何を言っても、取材対象に取り入るための方便としか考えていませんでした。当然聞く耳は持ちません。それにしてもあのときに泉が見せた態度はあまりにもヒステリックで無礼千万だったと思います。読者としても一気に印象が悪くなりました。

鉄治にしてみれば、取材対象から塩を撒かれるなんて日常茶飯事で別に気にしていなかったかもしれません。でも、泉としてはこのこの機会にあのときの無礼をしっかりと謝っておいたほうがいいです。泉が赤面の至りで謝れば、「商売柄馴れていますから気にしないでください」ということで、いい笑い話になると思います(第46回から第48回までを泉に朗読してあげたい)。

鉄治が本当のことを知ろうとして取材をしていれば、取材対象としてカメラマンの曾我一郎が必ず浮上していたはずです。泉としては、半分は自分のせいで新谷組を追い出されてしまった曾我一郎の消息が気になっていると思います。鉄治なら曾我一郎のことを知っているかもしれません。

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