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2010年12月 5日 (日)

小池真理子の「無花果の森」・第316回(12/4)まで

泉は天坊八重子のはからいで、ワンルームマンションを「相場の半額以下」で借りられるようになりました。やはり亀の甲より年の功です。八重子は泉が極貧生活に陥らないように家賃の心配までしてくれていました。家賃が相場の半額以下で済めば薄給でもビールぐらいは飲めそうです。

泉が住むことになるワンルームマンションは、空室になる前は横浜の大学に通う男子学生が住んでいました。この「横浜の大学」とはどこのことでしょうか。一般的に考えれば、横浜国立大学か横浜市立大学です。でも、これだと泉のアルバイト先を川崎市多摩区とするのは無理です。同じ川崎市でも、もっと多摩川の下流のほうでないと通学に不便です。

しかしです。横浜市には桐蔭横浜大学という大学もあります。桐蔭横浜大学だって(所在地が)横浜市の大学であることに変わりはありません。桐蔭横浜大学なら川崎市の多摩区からでも楽に通学できます。向ヶ丘遊園(または生田)から小田急線の下り各駅停車に乗って柿生で降ります。柿生からバスに乗れば桐蔭横浜大学に行けます。通学時間は乗り継ぎを考慮しても40分程度です(柿生からはバスで約20分)。

まあ、全国的に広く流布している川崎市のイメージというのは、東京と横浜に挟まれた京浜工業地帯といったところだと思います。また、特に断りがなければ、川崎市=JRの川崎駅周辺と考えるのが普通です。泉のアルバイト先について「川崎市多摩区説」は残念な結果(つまりはずれ)になってしまう可能性が濃厚になってきました。

 泉が引っ越し先を訊ねても、八重子は頑として教えようとはしなかった。
 残り少ない人生を、無駄な人間関係に邪魔されながら生きるつもりはない、あたしは絵を描くことだけに時間を使う、というのがその理由だった。

八重子が引っ越し先を頑として教えなかったのは、「調べて訪ねて来い」という意味です。泉が訪ねて行けば、「どこで調べたんだい、まったく。邪魔するんじゃないよ」などと言いながら、内心では嬉しくてしょうがなかったりします。へそ曲がりの本音を知るには、言っていることの反対を考えるといいです。本当は泉が訪ねてきてくれるのを首を長くして待っているんですよ、きっと。

だいたい無駄な人間関係に邪魔されたくなかったら、身の回りの世話を泉にまかせて岐阜大崖で暮らすのが一番です。画廊の主・白木正夫の勧めで東京に引っ越してしまえば、白木正夫の家族といっしょに暮らすことになります。これまでのように言いたい放題の憎まれ口を叩くことも難しくなります。まさにわずらわしい人間関係に身を投じるようなものです。「お寒うございます」とか「今日はよいお天気で」とか、めんどくさい挨拶もしなくてはいけなくなります。絵を描くことに専念するどころか余計なストレスを抱え込むことになるのではないでしょうか。天坊八重子のストレス解消とリフレッシュのためにも泉には是非訪ねていってあげて欲しいです。そして天坊八重子の罵詈雑言をニコニコしながら聞いてやってください。

 一人で大晦日を過ごし、正月を迎え、三日の朝から早速、大型スーパーの中にあるクリーニング店での仕事を始めた。

いよいよ泉の川崎での生活が始まりました。それにしても気になるのは鉄治のその後です。冤罪が晴れていればとっくに釈放されているはずです。そうでなくても泉に何の連絡もないのはおかしいです(鉄治は泉の携帯の電話番号を知っている)。

たとえば、覚せい剤取締法違反で逮捕された酒井法子のケースを考えてみます。

2009年 8月 4日 任意同行を拒否して失踪
      8月 8日 出頭
      8月28日 覚せい剤取締法違反(所持)で起訴
      9月11日 覚せい剤取締法違反(使用)で追起訴
      9月17日 保釈(保釈金500万円)
     10月26日 初公判
     11月 9日 判決(懲役1年6月 執行猶予3年)

酒井法子のケースでは、8月8日に出頭して11月9日にはすでに判決が出ています(検察側・弁護側とも控訴せず刑が確定)。出頭から判決まで約3ヶ月です。鉄治の場合、冤罪が晴れなかったとしても、4ヶ月も5ヶ月も勾留されたままというのは変です。もし保釈になっているとしたら、泉にまったく連絡がないというのはどういうことなんでしょうか。

1.泉のことはもう忘れてしまった
2.泉に迷惑がかかるのでわざと連絡してこない
3.なんらかの理由でまだ勾留されている

いくつかの可能性が考えられますが、泉は鉄治についてどうして「週刊時代」の編集部に問い合せないのでしょうか。嘱託とはいえ鉄治は「週刊時代」の記者でした。編集部が鉄治の消息について何も知らないということはないと思います。

一月末の或る朝のことです。三浜プロ所属のタレント、水沢なつみが逮捕されたというニュースがテレビのワイドショーで流れました。覚せい剤取締法違反の容疑です。

鉄治が警察に事情を説明していれば、その段階で水沢なつみは参考人として警察の取調べを受けているはずです。水沢なつみは政治家の秘書みたいに根性がありません(たぶん)。警察で厳しく取調べられれば簡単に本当のことをしゃべってしまいそうな気がします。それでも一月末まで無事でいられたということは、案外根性があったのかもしれません。逆にいうと鉄治の冤罪は晴れなかったということです。

二月になった。鉄治に関する噂は相変わらず何も耳に入ってこなかったが、仕事にもなれ、生活は少し落ち着いてきた。泉は意を決し、携帯を非通知設定にしてから、新谷の携帯に電話をかけた。

泉は電話に出た吉彦に離婚したい旨を告げました。あんなに恐れていた吉彦に泉のほうから電話をするとは意外です。離婚の申し出は当然ですが、泉はなにか重大な決意をしたのに違いありません。

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