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2010年12月22日 (水)

二宮和也の「フリーター、家を買う。」・最終回を観る

誠一(竹中直人)が頭金を出して、後は二世代ローンということで武家は家を買って引越すことになりました。最初からそうしていればよかったのにね。実質的には「フリーターの父親、家を買う。」でした。

12月14日(火)の日経新聞に「瀕死の社会保障」という特集記事があって、次のような事例が紹介されていました。

大手小売業に勤める高橋宏太(仮名、32)は釈然としない。宏太の年収は390万円。退職し企業年金も含め504万円の年金を受け取る父(69)よりも少ない。

武家でも(将来誠一が定年退職したとして)誠一の年金収入のほうが誠治の勤労収入よりも多かったりするかもしれません。ふざけた話です。こんなことで二世代ローンなどもってのほかです。誠一に年金で住宅ローンを払い続けてもらおうではありませんか。

同じ日経新聞の記事で、年金や医療の社会保障制度について次のようなことが書かれていました。

40年前は10人で1人を支えていた。少子高齢化で今では3人で1人。10年後は1人で2人を支えなくてはならなくなる。

とんでもない話です。要するに、社会保障の水準を現状のまま維持しようとすれば、現役世代の負担が10年後には現在の6倍になるということです。計算上そうなるとしても、そんなことが現実問題として実現可能であるとは思えません。そのうち耐え切れなくなった現役世代が暴動を起こすのではないでしょうか。

  

話が横道にそれてしまいました。「フリーター、家を買う。」はそういう社会問題をテーマにしたドラマではありません。ひとりのフリーターの成長物語です。

誠治(二宮和也)は大悦土木の職長(大友康平)に見込まれて、正社員として大悦土木に就職することになりました。大悦土木は大手ゼネコンの喜嶋建設の下請け企業です。社長が職長を兼ねているような零細企業で、正社員といっても(たぶん)給料は安いし将来性も期待できません。

建設業はすでに斜陽産業です。今後公共事業が削減されていく中で、大悦土木のような零細企業が淘汰されずに生き残っていくことは至難の業です。それでも誠治は自分を一番必要としてくれている大悦土木に就職することに決めました。尊敬する職長のパートナーとして力一杯仕事のできる大悦土木を選んだのです。

 「仕事にはお金より大切なものがある」

とはいっても、現実はそんなに甘くはありません。でも、ドラマだからいいことにします。

これで誠治の就職も決まったし、ローンで家も買いました。後は引越しをして寿美子(浅野温子)のうつ病がよくなればめでたしめでたしです。でも、何か忘れているような気がします。そうです。千葉真奈美(香里奈)です。

真奈美はせっかく誠治が大悦土木に就職したのに、和歌山の技術センターに転勤してしまいます。2年間は帰ってきません。誠治は真奈美と別れる前にどうしても伝えておきたい事がありました。

誠治は引越しの整理を途中で抜け出して、バスで和歌山に向う真奈美を見送りに行きました。時刻通りに発車してしまう鉄道よりも、「ちょっと待って」といえば待ってくれるバスのほうが別れの場面には適しています。それにしても、優柔不断でぼそぼそ話す煮え切らない若者を演じさせたら二宮和也は最高です。

誠治   「あ、あのさ、やっぱ、送ってもらおうと思って」
真奈美 「えっ?」
誠治   「みかん……和歌山のみかん」
真奈美 「……それだけ?」
誠治   「いや、あの、それと……言っておきたいことがあって……」
真奈美 「……」
誠治   「あっち行っても、不倫、とか、すんなよ」
真奈美 「……じゃあね」

真奈美は馬鹿じゃないのと言わんばかりに誠治を無視して立ち去ろうとします。その真奈美の背後からとうとう誠治は言ってしまいました。

誠治   「好きだから」

誠治はこのひと言を言うのが精一杯でした。

真奈美 「みかん、もう送んないから。食べに来て……じゃあね」

真奈美は素直じゃないです。食べに来てではなく会いに来てでしょうが。真奈美はバスの運転手(?)に誠治のことを「彼氏」と言って話していました。それでも何だか余裕綽々です。切ながっている誠治を掌の上でころがして楽しんでいるみたいな感じです。普通の女性ならここは泣いて別れを惜しむところなんですけど……笑っていました。誠治はほとんど泣きべそ状態だったのに。

誠治が就職先として大悦土木を選ぶことも、土壇場で見送りに来ることも、見送りついでに「好きだ」と言い出すことも、真奈美には全部読まれていたみたいです。真奈美が誠治と結婚したら間違いなくかかあ天下(でんか)になります。

結局真奈美は誠治の家族とは誰とも会わないままドラマが終わってしまいました……。

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コメント

(○`・ェ・)ノ【こ】【ん】【に】【ち】【ゎ】私は最終回を見て気になったんですけど、真奈美って誠治と離れ離れになるのに悲しくなっかんでしょうか???笑顔(*゚▽゚)ノでしたよね・・・。

投稿: リンリン♪ | 2011年4月15日 (金) 20時45分

コメントありがとうございます。ドラマを思い出していろいろ考えてみました。

1.本当は悲しかった 60%
本当は悲しかったけど我慢して笑顔を見せていました。「顔で笑って 腹で泣く」というやつです。女はつらいね。しかし、今後の長い人生を考えると、ここで誠治に弱味を見せるわけにはいきませんでした。
 
 
2.センチメンタルジャーニー 30%
真奈美の転勤には憧れの先輩・山賀亮介に振られた傷心の旅(?)という意味合いもありました。「退職・転勤の陰に失恋あり」です。ドラマでは、あくまでも憧れであって山賀との肉体関係はなかったことになっています。でも本当はどうだったのでしょうか。怪しいものです。

誠治とはまだそれほど深い仲(?)ではないし、真奈美としては和歌山で仕事に専念して、まず山賀亮介のことを忘れてしまうことが先決です。本気で好きになった人に振られたら(≒捨てられたら)、立ち直るのに1年や2年はかかります。

誠治とのことは心の整理がついてからです。誠治はそれまで待っていなくてはなりません。ただ誠治の切ない恋心は真奈美にも伝わりました。あの見送りのシーンの真奈美の笑顔は、誠治にたいする(いろいろな意味での)「ありがとう」という気持の表れだったと思います。
 
 
3.悪女・真奈美 10%
「こいつあたしに惚れてるな」と確信した途端に女性は強くなります。悲しいどころか自信たっぷりの笑顔です。世の中には振るために惚れさせるのが得意な女性もいます。悪女です。水商売の素質があります。もし真奈美がこういうタイプの女性だったとすると、第8話で「辞めんなよ」と言って誠治に絡んだのは、酔ったふりをした演技だったということになります。女は怖いね。

投稿: むぎ | 2011年4月18日 (月) 22時10分

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