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2011年2月21日 (月)

角田光代の「空の拳」・第44回(2/12)~第50回(2/19)

第44回

空也はなんとか有田正宗のいないところで立花望と話がしたいと考えて、隙を狙って立花と二人だけで話す機会をつくりました。それでも立花は有田から何か言われているらしく、何を訊いても言葉少なにあいまいな返事しかしてもらえません。鉄槌ジムはタイガー立花を傲慢不遜の悪役キャラとして売り出そうとしているみたいです。そんなときに、「タイガー立花は好青年である」みたいな記事を空也に書かれては困るのです(たぶん)。

 

第45回

 新人王準決勝戦の直前に二度目の校了があった。八月末に大阪で行われたWBCスーパー・フライ級の世界タイトルマッチが巻頭を飾った。担当は橋爪雅人、記事を書いたのはスポーツライターである。

このスーパーフライ級の世界タイトルマッチは、2000年8月27日に大阪府立体育会館で行われたチャンピオン曺仁柱(チョ・インジュ)と徳山昌守の試合です。結果は12回判定勝ちで徳山昌守が王座を奪取しています。その後、徳山は8度の防衛に成功していて、連続防衛8回は、日本ジム所属の選手としては、歴代4位の記録です。なお、徳山昌守は在日朝鮮人3世です。

徳山は通名(徳山昌守)を通しつつ、出自と本名(在日朝鮮人・洪昌守)を隠していない。

また、リング上で統一旗を振ったり、トランクスに「ONE KOREA」と刺繍するなどの徳山の行動が「政治パフォーマンス」ととられ、コリアンにおける旧来の対立構図、すなわち「北朝鮮 vs 韓国」、あるいは「コリアン vs 日本人」を越えているなどという主張がある。これらをもって、徳山を新世代の在日韓国・朝鮮人における象徴的存在として支持するファンもいる一方で、「スポーツに政治を持ち込んでいる」と批判的な意見もある。

前述したことに加え、2002年9月17日の小泉純一郎総理大臣の北朝鮮訪問をきっかけに、北朝鮮による日本人拉致問題に関する話題が日本の各メディアによって報道された。結果、北朝鮮を擁護し続けてきた自身の公式サイトの掲示板に批判的な書き込みが頻発し、一時閉鎖した経緯がある。

また北朝鮮郵政当局は、2002年に徳山によるタイトル奪取を機に記念切手(小型シート)を発行しており、北朝鮮もまた「祖国の英雄」の扱いをしていたともいえる。なお、小型シートの余白にある楽譜は前述の「海岸砲兵の歌」と思われる。

詳しくは → http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%B3%E5%B1%B1%E6%98%8C%E5%AE%88

空也も準々決勝戦の記事を書いたのですが、空也の文章は「(表現が)暑苦しい」ということで、鹿野編集長によって勝手に削られたり表現を変えられたりしてしまいました。せっかく書いた空也にしてみれば心外だったかもしれませんが、前号のときのように「書き直せ」と怒鳴られなかっただけ進歩したといえます。
 

第46回

準決勝が迫っているというのになぜか鉄槌ジムには緊張感がありません。空也が担当している他のジムは、「通う足が重くなるほど毎日緊張感が満ち満ちて」いたり、そうかと思えば弱小ジムで人数が少ないため、「準決勝に出る選手のプレッシャーが狭いジムいっぱいに伝染していて、全体的にぴりぴりして」いたりで、その雰囲気はのんびりした鉄槌ジムとはまるで違います。

何が勝利の条件なのかわからない空也には、はりつめた空気もそれを左右するようにどうしても感じてしまう。だから、エアロバイクを漕ぎながら談笑する立花や、インターバルにリング下の練習生と軽口を交わしている中神を見て、オイオイ大丈夫かよ、と思ってしまうのだった。

 

第47回~第50回

第47回から第50回までは、新人王戦準決勝です。マンガだと1試合の打ち合いが延々と数週間に渡って描かれていても読者は熱中して読んでくれます。小説だとさすがにそういうわけにはいかないかもしれません。でも、ものは試しです。実験的に1試合の打ち合いを数十ページに渡って描写してみるのもいいかもしれません。読者がいい加減にしろと怒り出すまで。

 新人王戦準決勝は九月二十八日と二十九日だった。二十八日、空也は鹿野編集長と会場で落ち合い、リング真下の取材者席に着いた。倉田真喜は今日はこず、橋爪雅人が遅れてくるそうである。

タイガー立花の試合は九試合目でしたが、八試合目の最中にやっと橋爪雅人がやってきました(橋爪雅人はいつも暇なはずなのに何をしていたのでしょうか?)。

試合は2ラウンドタイガー立花のKO勝ちでした。

「今、最後はアッパーでしたよね」空也は鹿野に確認してみた。
「アッパーときてフックだね、フックが入った」鹿野はリングを見上げたまま、言った。
「ちょっとお茶目な選手なんだね、彼」鹿野越しに橋爪が顔を出し、にっこり笑っていった。

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