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2011年2月28日 (月)

角田光代の「空の拳」・第51回(2/21)~第55回(2/25)

第51回

7月に初めて生の試合を観戦した時、空也は興奮して訳もわからず洟をたらして泣いていました。そんな空也も、地味で模範演技のようなボクシングには退屈を感じるようになっていました。生意気になったものです。

お互いに相手を倒すつもりで(殺すつもりで?)激しく打ち合っているボクシングと、テクニックは優れていても適当にポイントを稼いで判定に持ち込もうとしているボクシングとでは迫力が違います。目が慣れてくるとその迫力の違いを感じるようになります。
 

第52回

 新人王準決勝を二日続けて見た翌土曜、十時過ぎに起きた空也は残りもので炒飯とスープの朝食兼昼食をすませ、そそくさとジムにいく用意をした。なんだか急に強くなったような気がしていた。

タイガー立花の試合が空也に勇気を与えてくれました。「よし、ボクも頑張ろう!!」という気になったようです。空也はこれまでジム共用のグローブを借りていましたが、一大決心をして自分専用のグローブを買うことにしました。グローブはジムで売っているらしいです(まいど)。
 
 
第53回

鉄槌ジムの事務所では、立花と有田と丸尾夫妻の4人が、立花の試合のビデオを見ていました。新人王決定戦も決勝になるとテレビ中継があるらしいですが、一昨日の試合はまだ準決勝です。有田たちが見ていたのはテレビ中継の録画ではなく独自に撮影したビデオです。

事務所に顔を出した空也はいっしょにビデオを見せてもらいました。スローで観ると空也にも試合の細かい展開が理解できます。

有田が指摘する立花の弱点は、「スタミナがないことと、ボディと首」です。決勝戦に向けて効果的な練習メニュウを考えるのはトレーナーの有田の仕事です。おそらく決勝戦の相手の選手も立花のボクシングを徹底的に研究してくるはずです。ボクシングはトレーナーと選手がタッグを組んだ知恵と技術の総力戦ですね。
 
 
第54回

空也は立花のビデオに気を取られてグローブを買うのを忘れてしまいました。帰りは坂本といっしょです。坂本の友人の中神はもうすぐ試合だというのに練習に来ていません。生活費を稼がなくてはいけないのでバイトです。空也は坂本に誘われて中神が働いているバイト先の居酒屋に行くことにしました。ジムの近くです。

坂本と中神は仲が良すぎるので有田からはホモだちではないかと疑われています。ホモだちというのは冗談だと思いますが、仲のいい双子の兄弟みたいな感じです。空也はなぜかこの二人とは気が合います。
 
 
第55回

中神は居酒屋の店名の書かれた黒いトレーナーを着て元気に働いていました。試合が近いというのにバイトをしなくてはいけないのは気の毒ですが、中神自身はいつも明るく笑顔です。空也と坂本がビールとつまみを注文すると、頼んでいない鉄鍋餃子をサービスしてくれました。サービス精神も旺盛です。

試合を控えている中神の様子について緊張していないかどうか、空也が坂本に訊くと、中神のことをよく知っている坂本は次のように答えました。

「うーんどうだろう、あいつは気、つかうから、よくわかんないですよね。ほら、ぴりぴりしているとみんなナーバスになっちゃうから、そういうのいやなんだ、あいつは。だからもしかして緊張してるのかもしれないけど、してないふりすると思う」

中神は自分の気持を抑えて周囲に気を遣うタイプの人みたいです。目立つのが苦手で遠慮がちの人生が好きなんですね、たぶん。

「中神くん、勝つといいねえ」気がつくと空也はそんなことを言っていた。
「だいじょうぶですよ、ぜったい」坂本が言う。
 十一時に中神の姿はフロアから消えて、十分後、ジャージ姿であらわれた。会計をすませていっしょに外に出ると、これからロードワークがわりに走って次のバイト先までいくと中神は言う。遠ざかる背中を空也は坂本と並んで見送った。

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