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2011年7月29日 (金)

脚本・坂元裕二の「それでも、生きてゆく」第4話を観る

草間ファームという果樹農園は東京の八王子あたりにあります(たぶん)。この果樹農園の主(あるじ)・草間五郎(小野武彦)は、少年院出の少年少女を積極的に受け入れて彼らの社会復帰を支援している篤志家です。殺人事件を起こした三崎文哉(風間俊介)についてもその過去を知りながら受け入れてくれました。

少年院出身といっても殺人事件の加害者は別格です。さすがの草間五郎も最初は文哉(=雨宮健二)の受け入れに躊躇しました。しかし、いざ文哉を雇ってみると、真面目でよく働くので今ではすっかり文哉のことが気に入っています(この農園では文哉は健二と呼ばれている)。

草間五郎には真岐(佐藤江梨子)という出戻りの一人娘がいます。真岐は(「バクマン。」の見吉香耶のような)巨乳です。ひそかに(堂々と?)文哉に想いを寄せていて、巨乳を武器に文哉を誘惑しようとします。

草間五郎は「うちの娘(=真岐)に手を出さないように」と、遠まわしに文哉にクギをさします。今はどんなに更生していても殺人の過去を持つ男(文哉)と自分の娘(真岐)をいっしょにするわけにはいかないというのが草間五郎の率直な気持です。

心の狭い人間ならこういうときに逆恨みするのですが、文哉は草間五郎の親心を十分に理解しています。草間五郎に心配は無用であることをハッキリと告げます。

  「自分は人を想ったり、想われたりすることは、もう一生ないと思っています」

「それでも、生きてゆく」というこのドラマのタイトルは、虚無的な文哉にこそピッタリです。

真岐は文哉に拒絶されても未練たらしく次の機会を狙っています。「この男、なんとしても得てしがな」と思っているみたいです。
 
 
さて、草間ファームに新人が雇われることになりました。臼井紗歩(安藤サクラ)という性格の悪そうな女です。この果樹園で文哉は雨宮健二という偽名で働いていますが、紗歩はなぜか文哉の過去を知っていました。雨宮健二のはずの文哉に向かって意味ありげな目つきでいきなり「三崎文哉さん」などと呼びかけてきます。本物のワルみたいです。怖いよ~。
 
 

さて、第4話です。

響子(大竹しのぶ)が遠山家(=三崎家)に出かけていったのは、これまでのいやがらせを謝りにいったのだと勝手に思い込んでいました。しかし勘違いでした。そうではなかったです。響子の心にはまだ憎しみの炎が燃えていました。だとすると、いったい何をしに行ったのでしょうか?加害者家族の暮らしぶりを知りたくなったのでしょうか?

これまで駿輔(時任三郎)はわが子である文哉を捜そうともしませんでした。現在の家族を守るために、文哉を捨てたのです。双葉(満島ひかり)は文哉を捜していっしょに暮らしたいと思っています。双葉にとって文哉は大切な家族だからです。

双葉は父・駿輔のことを洋貴(瑛太)に次のように語っていました。

  「人って、逃げてばっかりいると、命より先に目が死ぬんだなって」
 
死んだような目をしながら駿輔が何に耐えていたのか、何に引け目を感じていたのか、そのことを双葉はまだ知りません。

駿輔は双葉の気持を受け入れて文哉を捜そうと決心します。しかし、駿輔が文哉を捜していっしょに暮らしたいと思っても、隆美(風吹ジュン)が同意してくれなければ埒が明きません。

  「この家に、人殺しは入れません」

隆美はあくまでも文哉を拒絶します。駿輔と口論となり、感情が激してきた隆美はとうとう言ってはならないことを口走ってしまいます。

  「母さんの子供じゃないの。あの子はね、母さんが産んだ子供じゃないの」

長年伏せられていた三崎家(遠山家)の秘密が明らかになりました。文哉と双葉は隆美が産んだ子どもではありませんでした。駿輔が文哉と双葉を連れて隆美と結婚したのです(たぶん)。そして、15年前の事件の後、灯里(福田麻由子)が生まれました。灯里だけは隆美がお腹を痛めて生んだ子どもです。隆美は灯里のことを心配するあまり、文哉と関わりあうことを極度に恐れていました。

 
隆美が自分の本当の母親ではないという事実は双葉にとっては寝耳に水です。本当の母親は今どこでどうしているのか、まだ生きているのか、どんな人なのか……初めて聞かされた事実に双葉は混乱します。

お互いに鬱積していた感情が噴き出して三崎家(遠山家)はもはや崩壊寸前です。ただ、灯里が見かけによらず意外としっかりしています。いざとなったら、血の繋がり云々を超えた真っ当な正論を主張しそうです。灯里が崩壊寸前の三崎家(遠山家)を救ってくれるかもしれません。
 
 
洋貴は加害者の家族であっても双葉のことはもうすっかり許している感じです。ちょっとピントがずれていて、それでも前を向いて必死に生きようとしている双葉のことをそろそろ愛おしく感じはじめているのではないでしょうか。しかし洋貴は文哉を殺すことをまだ完全に諦めたわけではありません。文哉の居場所を突き止めようとしています。文哉の出方次第では、洋貴に再び殺意が芽生えるかもしれません。
 
  
ところで、双葉の家族がかつて住んでいた跡地に日向夏(ひゅうがなつ)が置かれていました。文哉が置いたのです。八王子近辺で日向夏を栽培している果樹農園というのはそう多くはないと思います(日向夏の原産地は宮崎県)。詳しい住所はわからなくても、八王子近辺の日向夏を栽培している果樹農園を当たっていけば、案外簡単に草間ファームに辿り着けるのではないでしょうか。

文哉が置いた日向夏には、

  「俺はここにいる」

という無意識のメッセージが込められていると思います。駿輔や双葉に捜しに来て欲しいと思っているかどうかはわかりません。

続きは → http://mugigicat.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-5a29.html

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2011年7月26日 (火)

予約期間中にAC電源が抜けていた

集合住宅に住んでいます。テレビ放送はケーブルテレビ(J:COM)経由です。
 
2007年12月から Panasonic の品番DMR-XP21VのDVDレコーダーを使っています。最近どうも調子が悪くて頻繁に予約録画に失敗します。

予約した時間の約1分前になると、本体表示窓の赤い「録画」のマークが点滅して、この点滅が点灯に変わると録画が始まるのですが、失敗する時というのは、赤い「録画」のマークが点滅を始めた後、予約録画の赤い時計のマークが消えてしまいます。同時に点滅していた「録画」のマークも消えます。

① 電源を入れると、次のようなメッセージが表示されます。

  動作を継続できませんでした。
  自動で電源を切り、自動診断を
  始めます。
  決定ボタンを押してください。

② 決定ボタンを押すと、しばらくしてから次のようなメッセージが表示されます。

  自動診断が正常に完了しました。
  自動で電源を切ります。
  しばらくお待ちください。
  電源が切れましたら、電源ボタンを
  押してください。

③ 電源が切れてから電源ボタンを押しても何の反応もありません。しばらくすると自動で電源が入ります。そして再び①のメッセージが表示されます。予約期間中は無限ループのように延々と①と②のメッセージが繰り返されます。
 
 
予約期間が過ぎてから、未実行だった予約番組の実行結果をチェックすると、次のようなメッセージが表示されています。

  □予約の無効
  予約期間に実行を開始できない状態であったため録画できませんでし
  た。
  以下の現象が予想されます。
  ・予約期間中にAC電源が抜けていた。

  《詳細》
  (録画モード)SP
  (その他)0000

この「AC電源が抜けていた」というのはほとんどありえない現象です。そこで、

  「予約期間中にAC電源が抜けていた」

と入力してネットで検索したところ、機種は違いますが、やはり同じトラブルで録画に失敗している人がいました。
    ↓
http://bbs.kakaku.com/bbs/K0000048391/SortID=10625085/
 
 

チャンネルと時間を指定してアナログ放送を録画していたときは、録画に失敗するというトラブルは皆無でした(チャンネルや指定時間を間違えたことはありますが、そういうのはもちろん自己責任です)。
 
地デジになって録画予約は簡単になりましたが、トラブルが頻発します。試しに地デジでも「番組表」を使わないでチャンネルと時間を指定して録画予約をしてみました。しかしやはりトラブルが起きます。困ってしまいました。アナログ放送が懐かしいです。

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2011年7月24日 (日)

忌野清志郎 ベスト3を聴く

セールスのベスト3でも人気投票のベスト3でもありません。あくまでも個人的趣味によるベスト3です。

3. サントワマミー
youtubeに次のようなコメントがありました。

教育熱心で、厳格な母は越路吹雪のファンだったが
偶然、母の耳にこの曲が入り
“何!?このサン・トワ・マミーは!!”と衝撃を受けていた。
RCの清志郎が歌ってんだよ、と教えてやったら、
“レコード持ってる?テープに録音してよ”と言われ
友達にレコード借りて、ダビングしてあげた。
今は母も清志郎も居なくなっちゃったけど
あの厳格な母をも納得させた、清志郎のパワーは
本当に凄いと、この曲聞く度思う。

                     by PONPOKO07 さん

 

 
2. デイドリームビリーバー 

フジテレビの深夜の生放送(ヒットスタジオR&N)の録画です(1989年10月13日)。変な曲(?)も入っていますが気にしないで「デイドリームビリーバー」を聴いてください。

(若き日の)古舘伊知郎が、当時の「週刊文春」でこの事件(?)についてコメントしています。

「…まいったなぁと。フジテレビも困っちゃって、他の出演者の絵をインサートするんだけど、彼らもウケて喜んじゃってるんです。僕だけですよ、司会としてどうフォローするかと悩んでいたのは」

その後もタイマーズは三曲を堂々と演奏し終了。古舘はすかさず前に飛び出ると「エ~放送上、不適切な発言があったようでございます。お詫びして訂正させていただきます」と頭を下げた。

「半分ムカつきもしたけれど、アッパレというのもあって。オンエアの後で、『古舘サンには迷惑をかけた。ホントに申し訳ない』と謝ってきたんですが、こっちは『もう遅いですよ』なんて言って。

そのうち『古舘サンだから安心してできた』なんてワケのわかんないことを言うし、そうなると怒ってる方がバカみたいになっちゃうじゃないですか」

詳しくは → http://act2furoku.seesaa.net/article/119552612.html

 
  
1. PAINT IT BLACK
ストーンズの"PAINT IT BLACK"の動画ならyoutubeにいくらでもあるのですが、RCサクセッションのとなると必死に探しても唯一これだけでした。しかも途中で切れてます。まあ、感じだけでも聴いてください。

アルバム「カバーズ」に収録されている完成版をアップしてくれた人がいました。感謝です。映像は見ないで目をつぶって聴きましょう。

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「マルモのおきて」の最終回の続き

録画していた「マルモのおきて」をやっと最終回まで観終わりました。面白かったです。
 
このドラマには、人間の言葉をしゃべる犬(ムック)が出てきます。どうしてこんな変な犬が出てくるのだろうと不思議に思っていましたが、あの犬は薫(芦田愛菜)と友樹(鈴木福)が心配で死んでも死にきれなかった笹倉が犬に化けてわが子を見守っていたんですね。最終回になるまで、何でこんな変な犬が出てくるのかわけがわかりませんでした。なるほど、犬のくせにマルモにタメ口で生意気だったのも納得です。
 
最終回のラストで、とりあえずマルモ(阿部サダヲ)のところに薫と友樹が戻ってきました。でも、薫と友樹の心は実の母親とマルモとの間で揺れています。最終回の続きはどうなってしまうのでしょうか。誰もが思いつく簡単なシナリオは、マルモがあゆみさん(鶴田真由)と結婚して薫と友樹の本当のお父さんになってしまうことです。そうすれば手っ取り早く一件落着です。
 
でも、そうなってしまうと彩ちゃん(比嘉愛未)がかわいそうです。そこで考えました。こういうのはどうでしょうか。彩ちゃんとマルモが結婚して、さらに居酒屋の大将(世良公則)とあゆみさんが結婚します。そしてみんなでいっしょに暮らすのです。
 
整理すると、居酒屋の大将があゆみさんと結婚して彩ちゃんに年の離れた妹(薫)と弟(友樹)ができます。その彩ちゃんがマルモと結婚します。したがってマルモにとっても、薫と友樹は義理の妹と弟になります。以後、薫と友樹からマルモはお兄ちゃんと呼ばれることになります。
 
あの東尾修(61)だって東尾理子(35)と結婚した石田純一(57)からお父さんと呼ばれています(たぶん)。世の中いろいろです。マルモが薫と友樹のお兄ちゃんでも不思議はありません。マルモは永遠の少年みたいなところがあります。精神年齢はお兄ちゃんぐらいでピッタリです。また、マルモは年下(と思われる)あゆみさんをお母さんと呼ぶことになります。なにはともあれめでたしめでたしです。

ドラマでの設定年齢

 居酒屋の大将 50歳(世良公則は55歳)
 あゆみさん  35歳くらい(鶴田真由は41歳)
 マルモ    38歳(阿部サダヲは41歳)
 彩ちゃん   25歳(比嘉愛未は25歳)
 薫     6→7歳
 友樹    6→7歳

注)薫と友樹は6歳でしたが、ドラマの途中(第7話)で誕生日が来ました。

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2011年7月23日 (土)

脚本・坂元裕二の「それでも、生きてゆく」第3話を観る

AKB48の前田敦子主演のドラマ「花ざかりの君たちへ」の視聴率が極端に不調で話題になっています(第2回放送は6.0%)。前クールの「マルモのおきて」が快調だっただけに、ある程度の反動はしかたがないとしても6.0%はひどすぎます。何がどうしてこうなってしまったのでしょうか……。
 
脚本・坂元裕二の「それでも、生きてゆく」も視聴率的には苦戦を強いられています(第3回放送は7.4%)。このドラマはもともと地味なドラマで高視聴率は最初からそれほど期待されていなかったと思います。それでも7.4%はちょっと厳しいです。今後5%割れなんてことになったら一大事です。途中で打ち切りになってしまうかもしれません。
 
 
さて、第3話です。
 
洋貴(瑛太)と双葉(満島ひかり)は松見台のお祭りで偶然洋貴の母・響子(大竹しのぶ)に出くわしました。響子は双葉が文哉(風間俊介)の妹だとは知りません。おそらく洋貴の彼女だと勘違いしたと思います。その場は軽く挨拶をしただけで別れましたが、この二人(響子と双葉)は洋貴がいないところで再び出会うことになります。
 
響子は街で偶然双葉を見かけます。双葉は背中にゴリラの顔がプリントされたTシャツを着ていました。双葉はアルバイトの面接がダメだったのか落ち込んでいました。響子は双葉に声をかけてボーリングに誘いました。いまどきボーリングが趣味という人も珍しいですが、響子は気が滅入ったときは気晴らしにボーリングをやっているみたいです(カラオケにすればよかったのにね)。
 
双葉は響子が優しくしてくれるので、つい調子に乗って響子と仲良くなってしまいました。でも、響子は亜季を殺した加害者の家族を憎んでいます。双葉が文哉の妹だと知ったら大変なことになります。双葉は響子に名前を訊かれたとき、アタフタしながらとっさの思いつきでデタラメの名前を口にしました。
 
洋貴と初めて会ったとき、双葉は「遠山双葉」という本名を名乗っていました。響子に本名を名乗っても不思議はないのですが、虫が知らせたのか、双葉が響子に告げたのは「バンドウサク」という偽名でした。以後、双葉は響子からサクちゃんと呼ばれるようになります。
 
すっかり仲良くなってしまった響子と双葉は、「釣船ふかみ」にやって来てトウモロコシを焼きながらはしゃいでいました。そこへ裏で風呂焚き(?)をしていた洋貴が戻ってきました。絶対に会わせたくないふたりが仲良くしている様子を見て、洋貴は呆然とします。いくらなんでもそりゃないだろうという気分だったと思います。
 
 
響子は、4、5年前から興信所を使って加害者家族の動向を調べていました。三崎家と遠山家が同じ家族であることも知っていました。いやがらせの無言電話やビラまきも興信所に依頼して代行してもらっていました。響子にとってはいやがらせを続けることが唯一の生きがいだったのかもしれません。
 
 
15年前に事件があった日、響子は娘の亜季に、座ると膝の出る丈の短いスカートを穿かせていました。短いスカートが原因で亜季はみだらな行為の標的にされて殺されたのではないか、もしそうだとすれば、不注意だった自分にも責任があると響子は考えていました。洋貴が亜季の面倒を見ていなかったことを後悔して今でも自分を責めているように、響子もこの15年間、亜季が殺されたのは自分の責任かもしれないという自責の念に人知れず苛まれていました。
 
もし、亜季が乱暴された挙句に殺されたのだとしたら……響子は考えただけでも気が変になりそうでした。恐ろしくて事実を確かめることもできないまま15年をすごしてきました。亜季は性的ないたずらをされたあとで殺されたのかもしれないし、そうでないかもしれません。もし、そうでなかったとしたら、響子は自分の勝手な妄想に苦しめられていたことになります。
 
娘を殺された悲しみの中で、響子が何に拘っていたのか、何が響子を苦しめていたのかを知った双葉は、洋貴に、今からでも事実を調べて本当のことを響子に伝えて欲しいと懇願します。万が一響子の妄想が事実であったとしても、それでも知った方がいい、本当のことを知らないままでいることのほうがずっと苦しい、というのが双葉の考えでした。
 
事情を理解した洋貴は双葉といっしょに東京に出かけて手がかりを捜しました。相談に訪れた弁護士事務所でたまたま居合わせた藤村五月(倉科カナ)という女性と知り合いになります。五月は洋貴と同じ殺人事件の被害者家族でした。この藤村五月の尽力で洋貴は15年前に殺された亜季の「検視調書」を手に入れることができました。その検視調書には、亜季には姦淫の事実はなかったことがはっきりと明記されていました。
 
検視調書を手に静岡に戻った洋貴は、いやがる響子にむりやり検視調書の内容を読んで聞かせました。響子が恐れていた事実はなかったことを伝えて、洋貴はなんとか響子を励ましたかったのです。
 
逃げないで過去と向き合えば、悲しみは消えなくても悲しみを箱の中に閉じ込めることはできる……これが洋貴が到達した結論でした。この洋貴の思いは響子にも伝わったと思います。
 
響子はしっかり過去と向き合う決心をしました(たぶん)。響子は加害者家族を訪ねることにしました。興信所を使った加害者家族へのいやがらせはもう卒業です。おそらくこれまでのいやがらせを謝りたいと考えたのだと思います。
 
響子が恐る恐る遠山家の様子を伺っていると、家から双葉の妹の灯里(福田麻由子)が出てきました。灯里は、背中にゴリラの顔がプリントされているTシャツを着ていました。双葉が着ていたあのTシャツです。響子は灯里の背中を見つめながら双葉が何者であったかを悟ったと思います。
 
次に双葉の父・三崎駿輔(時任三郎)が出てきました。響子と駿輔はしばし沈黙したまま不思議なものでも見るようにお互いに見詰め合っていました……。

続きは → http://mugigicat.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-1ef9.html

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2011年7月15日 (金)

脚本・坂元裕二の「それでも、生きてゆく」第2話を観る

ワールドカップに興奮して羽目をはずせる人は幸せです。少なくともその瞬間だけは。洋貴(瑛太)と双葉(満島ひかり)は、いつになったら、心の底から大声で笑ったり、体全体で歓喜を表現することができるようになるのでしょうか……もう一生無理でしょうか?
 

 「それでも、生きてゆく」の第2話です。 

深見達彦(柄本明)の葬儀が行われました。身内で出席したのは、息子の洋貴と耕平(田中圭)の二人だけです。ほとんど弔問客の来ない寂しいお葬式だったのだろうと思います。

耕平の婿養子先の主人である日垣誠次(段田安則)は温厚な人です。父・達彦が亡くなってひとりぼっちになってしまった洋貴を心配して、仕事の世話を申し出てくれました。しかし洋貴には人の思いやりや優しさを素直に受け入れるだけ心の余裕がありません。まるで29歳の不良少年です。誰に似たのか意固地なところがあります。決して日垣の家庭に馴染もうとはしません。
 
洋貴は、仕事を紹介するという誠次の申し出を断って、自分ひとりでも「釣船ふかみ」の貸しボート屋を続けていくと言い張ります。本気でそのつもりです。
 
 
日垣家からの帰り、洋貴は車の中に落ちていたメモを見つけます。双葉が投げ入れた携帯の電話番号が書かれたメモです。双葉は、許されるなら、被害者の兄と加害者の妹というお互いの立場をわかった上で、もう一度洋貴ときちんと話がしたいと考えています。話をして、謝って、加害者の家族の気持をわかってもらいたいのです。
 
洋貴は、この15年間、加害者の家族がどんな苦しみを背負って生きてきたのか、その残酷な状況を想像することができません。加害者の家族は事件のことなどすっかり忘れて世間並みに面白おかしく暮らしているのだろうと考えていました。洋貴にとって加害者の家族である双葉は憎むべき「敵」であったりします。
 
それでも洋貴は二度と双葉の顔なんか見たくないと思っているのかというと、そうでもなかったようです。何か目的があったのか、それとも単なる気まぐれか、洋貴は双葉に電話をして「釣船ふかみ」に会いにくるように伝えました(たぶん)。
 
 
双葉の家族は、母親・隆美(風吹ジュン)の兄・遠山悟志(山田明郷)を頼って、再び静岡に引越してきました。双葉の父・駿輔(時任三郎)は悟志から仕事(クリーニングの配達)を紹介してもらい、しばらくは一家で落ち着いて生活できるはずでした。しかし、どこでどう調べたのか、引越し先にも依然として嫌がらせの無言電話がかかってきます。いったいだれがかけているのでしょうか。今のところ、洋貴の母親の響子(大竹しのぶ)が一番怪しいです。
 
引っ越し先で荷物の整理をしていた灯里(福田麻由子)は姉・双葉が兄・文哉(風間俊介)宛に出した手紙を見つけました。消印は3年前の平成20年7月26日です。投函したものの宛先が間違っていて返送されてきた手紙です。
 
その手紙には、文哉がいなくなってからの三崎家(=遠山家)の幸せな様子が綴られていました。双葉はOLで元気に仕事をしているし、父・駿輔は(会社を首になることなく)出世して部長になっています。母・隆美はパッチワークを教えている先生です。顔も知らない妹の灯里も文哉のことが大好きです。みんなお兄ちゃんの帰りを待っているので、早く帰ってきて欲しいといったことが切々と書かれていました。もちろんみんなウソです。
 
双葉には、現実と空想の見分けがつかなくなる虚言癖のような性癖があるみたいです。深読みすると、15年前に亜季を殺したのは文哉ではなくて、本当の犯人は双葉だったのかもしれません。ただ、双葉は記憶を失くしていて自覚症状がありません。文哉はすべてわかっていて双葉の罪を引き受けたのです。大好きなお兄ちゃんが亜季に優しくするので嫉妬した双葉は無我夢中で亜季を殺してしまった……まあ、これはほとんどありえない推測ですが、文哉と双葉を比べた場合、農園(草間ファーム)で真面目に働いている寡黙な好青年の文哉と、どこか情緒不安定で虚言癖のある双葉とでは、明らかに双葉の方が犯罪者にありがちなタイプに見えます。
 
 
さて、双葉は再び「釣船ふかみ」にやってきました。洋貴が電話して呼んだのです(たぶん)。恐る恐る入ってきた双葉は、静岡県駿府市(架空の都市)で小3の女児(8歳)が行方不明になっているニュースを伝えている新聞を洋貴に差し出しました。
 
もし女児を連れ去ったのが文哉なら、15年前の悪夢が繰り返されます。犯行現場は三日月山です。まさかとは思いつつも、双葉と洋貴のは三日月山へと向かうことにしました(「釣船ふかみ」からでも三日月山はそれほど遠くないようです)。
 
三日月山に向かう山道を歩きながら、双葉は洋貴がどんな気持でいるかを考えることなく、問わず語りに兄・文哉の思い出を一方的にしゃべりまくります。以前ファミレスで双葉の気持を無視して洋貴が一方的にしゃべりまくったのとちょうど立場が逆になった感じです。洋貴と双葉は、空気を読まずに、自分の言いたいことを一方的にしゃべろうとする悪癖があるようです。この、夢中になると相手を無視してしまうという悪癖は、まるで実の兄妹のようにこの二人はよく似ています。
 
双葉は、兄・文哉がどんなにやさしかったかを力説しつつ、そんな兄が人を殺せるわけがないと、兄の冤罪を訴えます。もちろん、ほとんど希望的観測に近いそんな訴えが洋貴に通用するはずがありません。
 
いまだに文哉を兄として慕っている双葉に激怒した洋貴は、首を絞めて双葉を殺そうとします。半分本気で半分は脅しです。首を絞められて喘ぎながら双葉がいいました。
 
 どうぞ、いいですよ。わかってます。
 「犯人の家族は死んで謝れ」って、「償って一家心中しろ」って言われてきましたから。
 
 死にたいと思ったことないけど、生きたいって思ったことないし。
 
 妹とかにも言われるんですよ。
 「お姉ちゃん、自分で人生選んでないね」って。
 でも、あたし、全然そんなことないんです。
 あたし、選んだんです。
 自分で選んだ結果がこういう感じなんです。
 
 後悔なんかしていません。
 こういう人間のこういう人生なんです。

 
双葉の心象風景はあまりにも悲しく、それは洋貴のそれとあまりにも酷似しています。洋貴に双葉が殺せるわけがありません。
 
 勝手にしろ!!
 
と言わんばかりに洋貴は、双葉を三日月山に残して「釣船ふかみ」に帰ってしまいました。洋貴が何気なくテレビをつけると、行方不明の女児が無事に保護されたというニュースが流れていました。行方不明の女児と文哉は関係がありませんでした。洋貴は、「文哉を生かしておけば第二、第三の犠牲者が出る」と、双葉に悪たれをついた自分に少し後ろめたさを感じました。
 
雨も降ってきました。洋貴は、山中にひとり残してきた双葉のことがなんだか心配になってきました。
 
双葉は、降り出してきた雨の中で、三日月湖の湖畔に咲き乱れているひなげしの花を見て号泣していました。兄の文哉にとってひなげしは弔いの花です。犯行現場に文哉がひなげしの種を蒔いたのです。亜季を殺したのは文哉です。双葉は確信しました。冤罪かもしれないという双葉のはかない望みは無残にも打ち砕かれました(ここで留意しておきたいのは、文哉が亜季を弔った気持と文哉が亜季を殺害したかどうかはあまり関係がないということです。弔ったからといって殺したとは限りません。真犯人は文哉ではないという可能性もまだかすかに残されています。このドラマはいかもに犯人は文哉であると視聴者に思い込ませるようなシーンが多いです。それだけにひょっとしたら犯人は違うのではないかと考える余地も残しておきたいです)。
 
 
双葉を心配して三日月山に戻ってきた洋貴に、双葉は亜季ちゃんを殺したのは兄・文哉であることを認めて許しを請います。泣き叫んで必死に許しを請う双葉に、洋貴はたじろぎます。洋貴の心から双葉に対する憎しみが消えていきます。被害者の兄と加害者の妹の心が触れ合った瞬間です。この二人を見ていると、洋貴は双葉に亜季の面影を、双葉は洋貴に文哉の面影を求め始めているように思えてきます。
 
 
夏祭りの季節です。洋貴は双葉を車で送る途中、車を降りて双葉を近くの夏祭りに誘いました。どういう心境の変化でしょうか。世捨て人(?)の洋貴が女性(つまり双葉)を夏祭りに誘うなんて、これまでだったらありえないことです。

続きは → http://mugigicat.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-8153.html

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2011年7月10日 (日)

脚本・坂元裕二の「それでも、生きてゆく」を観る

「それでも、生きてゆく」の第1話です。
 
15年前(1996年)の夏、7歳の深見亜季が殺されました。兄の深見洋貴(当時14歳)は、母親から妹の亜季の世話をするように頼まれていましたが、いっしょに遊びたがる妹をほったらかしにして友達とアダルトビデオを観ていました。中学生がアダルトビデオのオッパイに熱中するのは極めて健全です。しかしあまりにもタイミングが悪すぎました。
 
洋貴は亜季の世話をしなかった自分を責め、亜季を殺したのは自分だと思い込むようになります。この自責の念は何年たっても消えませんでした。15年が経過して29歳になった洋貴(瑛太)は、父親・深見達彦(柄本明)が営む釣船屋(貸しボート屋)を手伝いながら世捨て人のような暮らしをしています。洋貴には友人も恋人もいません。おそらく心を閉ざしたまま父親と二人で暮らしてきたのだろうと思います。
 
 
15年前の殺人事件によって深見家は崩壊してしまいました。事件後ほどなくして、達彦と響子(大竹しのぶ)は感情的な行き違いから離婚してしまいます。長男の洋貴は達彦が、次男の耕平(田中圭)は響子が引き取って育てることになったようです。耕平は洋貴よりも3つ年下で26歳です。現在はすでに結婚していて婿養子として日垣家の籍に入っています。また日垣家の主人の厚意で離婚した母親の響子も日垣家に身を寄せて暮らしています。
 
 
15年前に亜季を殺した少年Aは、洋貴の友達の三崎文哉でした。文哉はポケットにしのばせていた金槌で凧揚げをしていた亜季を背後から殴って殴り殺しました。動機が何であったのかは不明です。
 
この事件以来、三崎文哉の家族は人殺しの家族として世間から白い眼でみられるようになります。父親の駿輔(時任三郎)は職を失い、文哉の妹の双葉(満島ひかり)も学校でいじめられるようになります。何度引越しをして新しく生活を始めようとしても、三崎家には「殺人犯の家族」というレッテルが付いて回ります。どこに転居しても必ず匿名の電話で密告されるのです。その度ごとに一家は転職と引越しを繰り返すことになります。何年たっても同じことの繰り返しです。
 
三崎駿輔は、三崎という姓のままではすぐにうわさが広まってしまうと考えて、寝たきりの祖母を除いて、妻・隆美(風吹ジュン)と長女・双葉と次女・灯里(福田麻由子)には妻の旧姓である遠山姓を名乗らせていました。団地の表札も遠山になっています。
 
それでも、殺人犯・少年Aの家族といううわさはすぐに広まってしまいます。双葉は被害者の家族が匿名の電話で密告しているのだろうと考えて、被害者の家族に会って嫌がらせをやめてくれるように頼もうとします。双葉は、山梨県の三芙根湖の畔に「釣船ふかみ」という貸しボート屋があることを見つけます。どうやらこの貸しボート屋が被害者家族と関係があることを突き止めたようです。
 
「釣船ふかみ」のある三芙根湖は自殺の名所です。桟橋に場違いの若い女性がひとりで佇んでいれば、これはもう自殺志願者と相場が決まっています。桟橋に佇んでいる双葉を見つけた洋貴は、てっきり自殺志願者だと思い込んでしまいます。洋貴が双葉に対して、ギクシャクしながらもわけもなく饒舌だったり精一杯親切であったりしたのは、双葉の怯えたような挙動や目つきに自分と同じ「被害者的な苦しみ」の匂いを感じたからです。
 
「お腹がすいた」という双葉に、洋貴はカップ焼きそばを差し出します。しかし、常識が欠如しているのか、気持が動転していたのか、双葉はカップ焼きそばの調理手順を間違えて、お湯を入れる前にソースをかけてしまいました。
 
結局、洋貴と双葉は、近くのファミレスで食事をすることになりました(最初からそうすればよかったのにね)。洋貴は双葉が15年前の殺人事件の犯人の妹であることを知りません。洋貴は双葉に15年前の事件について話し始めます。洋貴は、中学生のころに住んでいた松見台の家(現在は住む人もなく売りに出されている)の周辺の地図を描いて、自分の妹が殺されたときの状況を生々しく語り始めます。本来なら思い出したくない事件のはずなのに、その事件の状況を双葉を相手に熱く語る洋貴はどこか常軌を逸していました。洋貴がいまわしい事件の詳細を淡々と語るのは、おそらく、こんなことは大したことではないんだと無理矢理自分を納得させようとしていたのだと思います。
 
 
洋貴の父親・深見達彦は、1年前に胃癌の宣告をされていました。しかし、死ねば娘の亜季のところにいけると考えて手術を拒否していました。洋貴には秘密にしたまま癌の進行を放置していたのです(抗癌剤ぐらいは飲んでいたかもしれない)。ただ、達彦には死ぬ前にどうしてもやっておきたかったことがありました。殺された亜季の仇討ちです。達彦は密かに執念深く少年Aのゆくえを追っていました。
 
少年A・三崎文哉(風間俊介)は8年前に医療少年院を退院(?)していました。今では、雨宮健二と名前を変えて社会復帰しています。
 
達彦は、医療少年院の看護師から、退院前に文哉が描いたという絵をもらっていました。湖の水面に少女が浮かんでいる美しい絵です。文哉にとって15年前の事件は心が安らぐような甘美な思い出になっているようでした。文哉があの日に戻りたいと考えて虫が騒げば、第二の殺人事件を惹き起こすかもしれません。
 
達彦は、事件を反省するでもなく、罪をを償うでもなく、社会復帰をして平然と生きている雨宮健二(=三崎文哉)をこの手で殺したかったと激白します。達彦が娘の亜季をどんなに愛していたか、そして少年Aをどんなに憎んでいたか、覇気がなく頼りない父親だと思っていた達彦にも秘められた激情があったことを、洋貴は思い知らされます。
 
後悔、嘆き、悲しみ……洋貴の中に、15年前の、人生でもっとも長かった1日が蘇ってきました。忘れかけていた亜季の顔も、まるでそこに亜季がいるかのようにはっきりと思い出せます。洋貴は、父・達彦が果たせなかった願いを、達彦に代わって果たしてやろうと考えるようになります。達彦の怨念が息子の洋貴に憑依したのかもしれません。

達彦によれば、少年Aが世話になっていた保護司が亡くなり、その保護司の葬儀が明日東京で営まれることになっているとのことでした。その葬儀式場に少年Aは必ず現れるはずです。
 
洋貴は東京の葬儀式場(どこかの寺)に出かけました。内ポケットには包丁をしのばせています。式場に現れるはずの少年Aを殺すつもりです。一方、不吉な予感に襲われた双葉もその式場に現れます。他人から見れば鬼畜のような兄でも、双葉にとってはたったひとりの兄です。その兄を洋貴が殺そうとしています。
 
洋貴は式場の近くの歩道橋の上に立っている文哉を見つけます。包丁を取り出して、歩道橋を上がろうとする洋貴の脚に双葉が取りすがります。双葉が洋貴の脚に取りすがっていたわずかの隙に、文哉は歩道橋の反対側に降りてタクシーで走り去ってしまいました。双葉の「逃げて! お兄ちゃん!」という叫びが文哉に聞こえたかどうかは不明です。
 
洋貴は、単なる自殺志願者だと思っていた双葉が実は文哉の妹であったことを知ります。洋貴としては、文哉のかわりに双葉を殺すわけにもいきません。

  
式場に現れた双葉は、兄の文哉だけでなく洋貴も助けたことになります。殺人を犯していたかもしれない洋貴を双葉が救ったのです。殺人という犯罪は周囲への影響が甚大で自分ひとりの責任だけでは済まされません。
 
殺された被害者の家族が犯人を殺してやりたいという激情に駆られたとしても、「自分の家族を殺人犯の家族にしていいのか?」と自問すれば、その殺意は急速に萎えていくはずです。どんなに憤りを感じても、一時の激情による意趣返しの代償はあまりにも大きすぎます。
 

洋貴はこれからどうするつもりでしょうか?復讐の鬼となって、あくまでも文哉を殺そうとするのでしょうか?

続きは → http://mugigicat.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-b26a.html

 

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2011年7月 6日 (水)

武井咲vs吉永小百合

「アスコーマーチ」やソフトバンクのCMなどですっかりお馴染みになってしまった武井咲ですが、武井咲が「吉永小百合の再来」と騒がれている(?)のは、演技力や女優としての素質のことではなくて、顔が似ているということだと思います。たしかに、涼しげな目元や笑うと前歯がのぞく口元など、武井咲はどことなく若いころの吉永小百合に似ています。

そういえば、武井咲が出ていた月9ドラマ「大切なことはすべて君が教えてくれた」は、教師と生徒の三角関係を扱ったドラマでしたが、吉永小百合にも教師と生徒の三角関係を扱った映画がありました。石坂洋次郎原作の「若い人」です。このときの吉永小百合も17歳でした。月9ドラマに武井咲を抜擢したときに、若き日の吉永小百合をイメージしていたとは思えませんが、偶然にしてはなにか運命的なものを感じます。

ところで、吉永小百合といえば伝説の大女優ということで世間的に認知されていますが、関川夏央の「昭和が明るかった頃」(文春文庫)という長編評論によると、吉永小百合の「全盛期」(出る映画出る映画が大ヒットして、とにかく吉永小百合を出しておけば映画館に客が呼べるという大ブームの時代)というのは、1962年春から1964年秋までの2年半だったそうです。吉永小百合が17歳になってから19歳のなかばころまでの2年半です。

関川夏央は「昭和が明るかった頃」の中で、「わずか2年半」という言い方で吉永小百合の「全盛期」の意外な短さを指摘しています。しかしこの「全盛期」は、「全盛期」そのものが前例のない異常現象だったのだと思います。たとえば、たとえ1年でも、吉永小百合の「全盛期」に匹敵するような大ブーム(女優の名前だけで客が映画館に押し寄せてくる)を巻き起こした女優がかつてほかにいたでしょうか。おそらくいなかったと思います。吉永小百合の「全盛期」については、「わずか2年半」ではなく、ほとんどありえないような異常現象が2年半も続いたと考えなくてはいけません。そう考えないと女優・吉永小百合を不当に過小評価することになります。

それにしても、武井咲もとんでもない大女優と比較されてしまったものです。バラエティ番組でヘラヘラ笑っている場合ではありません。目標・吉永小百合で頑張らねば……。

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2011年7月 2日 (土)

「ビッグコミック」を読む

「ビッグコミック」に連載中の作品(SHORT COMICは除く)についての感想です。マークは特におススメの作品です。
 
 
「憂国のラスプーチン」(作・佐藤優/画・伊藤潤二/脚本・長崎尚志)
佐藤優は名前を貸しているだけ、伊藤潤二は絵を描いているだけ。したがって、なんといっても一番大変なのは脚本を担当している長崎尚志だと思います。
佐藤優の経歴、思想、人生観、世界観、価値観、人格、日常的な感性などを理解した上でなければこの「憂国のラスプーチン」というマンガの脚本は書けません。構想の段階で長崎尚志は佐藤優の全著作を読んでいると思います。もっともこうした作業を大変だと思ってしまうのは素人考えかもしれません(プロの脚本家なら構想の段階で参考資料を徹底的に読み込むのは当り前)。なにはともあれ、よくマンガにしたものです。いつもすごいなあと思いながら読んでいます。
 
 
「築地魚河岸三代目」(画・はしもとみつお/作・九和かずと/原案・鍋島雅治)
魚河岸のうん蓄マンガです。主人公の旬太郎がいくらなんでもそりゃないだろうという顔(目立たない群集の中の1人みたいな顔)をしています(そういう画風なんだからしかたがないか)。最新作「メダイと婚活」は、婚活をテーマにした月9ドラマよりも面白かったです。大魚(ミクちゃん)を釣りそこなった健ちゃんはまことに残念でした。この際だから売れ残り同士彩菜といっしょになっちゃえばいいのにね。
「築地魚河岸三代目」は2008年に大沢たかお主演で映画化されていますが、興業的には振るわなかったみたいです。
 
 
「獣医ドリトル」(作・夏緑/画・ちくやまきよし)
腕は超一流だが金に汚い悪徳獣医・ドリトル先生のお話です。去年テレビドラマ化されましたが、小栗旬と井上真央が熱演していてけっこう面白かったです。そのうちパート2がありそうな予感です。
マンガのほうの最新作は「暴力獣医師・花菱優!?」ということで、白血病に罹った猫のお話です。猫は白血病に罹ると全身に青アザができるそうです。別に花菱先生が猫を虐待していたわけではないのですが、飼い主からペットを虐待する暴力獣医だと誤解されてしまいます。それにしても7月10日号の64ページのコユキ(猫の名前)は猫に見えませんよ(犬かと思った)。それと、小栗旬が演じていたドリトル先生は強烈な偽悪的キャラクターが魅力でした。でも、マンガではドリトル先生がなんだかふつうの善良な獣医みたいになっています。ドラマに負けてますぞ。
 
 
「総務部総務課山口六平太」(作・林律雄/画・高井研一郎)
タイムリーな話題を取り入れたエッセイ風のうん蓄マンガです。いろいろなうん蓄が出てきます。総務部総務課のさりげない日常を描いたサラリーマン版「サザエさん」といった感じのマンガです。まあ、一生やっちょれ。
 
 
「ゲゲゲの家計簿」(水木しげる)
おみそ。89歳で「ビッグコミック」で新連載というのはただもうそれだけで立派です。
 
 
「星を継ぐもの」(星野之宣/原作・J.P.ホーガン)
西暦205X年、5万年前のものと判定された遺体が月面で発見されました。5万年前といえば、地球には旧人と呼ばれるネアンデルタール人がまだ生存していて、旧人と現生人類とが併存したいた時代です(ネアンデルタール人が絶滅したのは2万数千年前)。
月面で発見された遺体は月人(ルナリアン)・チャーリーと名づけられますが、チャーリーは5万年前の遺体であるにもかかわらず、なぜか宇宙服を身に纏っていました。これはいったいどういうことなのでしょうか。チャーリーは地球人なのか、それとも宇宙人なのか……壮大なスケールで描かれる太陽系と人類史の謎に迫る超大作SFミステリーです。

第9話で主人公のハント博士(何で皮ジャン着てるんだ!?)は次のような仮説を唱えます。

1.月は消滅した太陽系第5惑星・ミネルヴァの衛星だった。
2.ミネルヴァが消滅することによって主星を失った月は太陽系宇宙空間に放り出された。
3.太陽系を横断していた月はやがて地球と遭遇し、地球の衛星となった。
4.地球の歴史は46億年だが、ほんの5万年前までは地球に月という衛星はなかった。
5.5万年前に月という衛星を獲得したことによって、地球は文明の進化を促進するのにふさわしい好環境に恵まれるようになった。

SFだからもちろんフィクションなんですが、なぜ5万年ほど前から急に人類の文明が加速度的に進化するようになったのかを説明する理屈としてはなかなか説得力があります。月がない地球と月がある地球ではその自然環境がどう違ってくるのかなどの説明も何やら真に迫っています(ほとんどウソだとは思いますけど)。
 
 
「江戸の検屍官」(高瀬理恵/原作・川田弥一郎)
江戸時代にも検屍官がいたという設定の江戸時代ミステリーです。現代法医学ほど緻密ではないとしても、死体を調べて死因などを特定する仕事をする人が江戸時代にもいたかもしれません。「ビッグコミック」には珍しくエログロっぽいマンガです。
高瀬理恵というマンガ家は、名前やその作風から女性らしいですが、それ以外のことは何もわかっていない謎の人です(女性というのもあくまでも推測)。
 
 
「黄金のラフ~草太のスタンス~」(なかいま強)
これほど絵がヘタでこれほど面白いマンガも珍しいです。とにかくマンガの面白さのツボを心得ています。これで絵が上手ければ鬼に金棒です。なかいま強はどうして絵の上手いマンガ家を探してきてコンビを組もうとしなかったのでしょうか。まあ、ヘタな絵もそれはそれとして味があるともいえるし、このマンガはこれでいいのかもしれません。ストーリー重視で原作つきのマンガが多い「ビッグコミック」の中では、「黄金のラフ」はかなり特異なマンガです。ストーリー云々よりもむしろマンガとしての面白さが追求されています。大袈裟な言い方をすれば、「黄金のラフ」はマンガの面白さを教えてくれるマンガであるといえます。
 
 
「兵馬の旗」(かわぐちかいじ/協力・恵谷治)
幕末から明治維新にかけての動乱を幕臣・宇津木兵馬の視点から描こうとする野心作です。
かわぐちかいじのマンガはほぼ完璧なんですが、あえてアラ探しをすると、少女マンガほどではないにしても、人物の描きわけが甘い気がします。たとえば、兵馬とアンナは双子の兄妹のようでなんだか似たような顔をしています。目の色とヘアスタイルを同じにしたら、このふたりはほとんど区別がつかなくなります。
それから兵馬の顔はあきらかに女性の顔です。連載が始まったころ、兵馬とアンナのキスシーンがありました。私はてっきりレズビアンかと思ってしまいましたよ。
 
 
「華中華 ハナ・チャイナ」(作・西ゆうじ/画・ひきの真二)
横浜中華街を舞台にした料理マンガです。楊貴妃の幽霊が出てきます。「華中華 ハナ・チャイナ」には、ふつうのグルメマンガや人情マンガとは一味違った妙な面白さがあります。読まず嫌いの人は少し無理をしてでもこの「華中華 ハナ・チャイナ」読んで欲しいです。
「あんどーなつ」は 主演・貫地谷しほりでテレビドラマ化されましたが、この「華中華 ハナ・チャイナ」をドラマ化するとしたら、ハナちゃん役は誰がいいでしょうか。また貫地谷しほりでは芸がありません。ここはひとつ、加藤ローサでお願いしたいものです。
 
 
「Sエス-最後の警官-」(作・小森陽一/画・藤堂裕)
凶悪犯は射殺すべきか逮捕すべきか、それが問題だ。
このマンガには、テロや凶悪事件などに対処するための2つの警察特殊部隊が出てきます。SATとNPSです。SATは制圧(犯人を殺してでも国家の安全を守る)、NPSは確保(犯人を殺さずに捕らえ事件を解決する)がその行動方針とされています。
SATの補完部隊(?)としてNPSが創設されたのは警視庁OBの霧山六郎の尽力によるものです。このNPSの創設には「確保」では通用しない相手がいることを世間一般に知らしめることによって、SATのさらなる武装強化を実現しようとする政治的意図が隠されています。ただ、このマンガの主人公・神御蔵一號(かみくらいちご)はNPSの隊員です。頑張ることよりも通用しないことが期待されているのに、一號が期待に反して頑張ってしまうというマンガみたいです。

かわぐちかいじや星野之宣のように画力の優れているマンガ家にありがちな欠点は、セクシーな美女を描くのがあまり得意ではないことです。なぜそうなるのかわかりませんが、マンガ家には絵がうまくなりすぎるとセクシー美女が描けなくなるという宿命(?)があるみたいです。ところが、「Sエス-最後の警官-」の作画を担当している藤堂裕は、絵が上手いだけでなく、セクシー美女を描くのも得意です(たぶん)。
  
 
「そばもん ニッポン蕎麦行脚」(山本おさむ/監修・藤村和夫)
サブタイトルは「ニッポン蕎麦行脚」となっています。主人公の矢代稜は、祖父から日本そばの技術を伝授されたそば名人です。日本全国を放浪しながらそばを打つ流し職人をやっています。最近のお話では出汁(だし)に関するうん蓄がてんこ盛りでした。
ケチなインネンをつけさせてもらうと、器だって料理の一部なんだから、せっかくのおそばをラーメンの丼に入れて「さあ食え!」はないでしょう。
 
 
「ゴルゴ13」(さいとうたかを)
最近作では、日本を舞台にした第512話「日・ASEAN会議」が面白かったです。舞台は会議場のある高松です。爆弾テロを未然に防ぐために駆り出された精鋭(?)のひとりに大阪府警の川口恵子という大阪弁のオバハンが出てきます。このオバハンは実にお茶目で大笑いさせられました(さいとうたかをはギャグのセンスがあるのではなかろうか)。
このオバハンは第445話「エアポート・アイランド」にも出てきたらしいですが、覚えている読者はいるでしょうか。「ゴルゴ13」のコレクションが趣味の人は直ちに第445話を参照しましょう。
さて、国際会議を狙った爆弾テロの防止対策として、ゴルゴ13は狙撃対象なき依頼(「テロを未然に防いで欲しい」)を受けます。この依頼は万一に備えた「保険」です。何も起きなくても報酬は支払われます。しかし単なる保険で終わってしまっては劇画になりません。最後はゴルゴ13の一発必中の銃弾が時限爆弾の起爆装置を無効にして爆弾テロを未然に防ぐことになります。
お決まりのパターンだと言ってしまえばそれまでですが、あらためて「ゴルゴ13」をじっくり読んでみると、このシリーズがなぜこんなに長く続いているのかが納得できます。とにかく面白いです。

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