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2011年7月 2日 (土)

「ビッグコミック」を読む

「ビッグコミック」に連載中の作品(SHORT COMICは除く)についての感想です。マークは特におススメの作品です。
 
 
「憂国のラスプーチン」(作・佐藤優/画・伊藤潤二/脚本・長崎尚志)
佐藤優は名前を貸しているだけ、伊藤潤二は絵を描いているだけ。したがって、なんといっても一番大変なのは脚本を担当している長崎尚志だと思います。
佐藤優の経歴、思想、人生観、世界観、価値観、人格、日常的な感性などを理解した上でなければこの「憂国のラスプーチン」というマンガの脚本は書けません。構想の段階で長崎尚志は佐藤優の全著作を読んでいると思います。もっともこうした作業を大変だと思ってしまうのは素人考えかもしれません(プロの脚本家なら構想の段階で参考資料を徹底的に読み込むのは当り前)。なにはともあれ、よくマンガにしたものです。いつもすごいなあと思いながら読んでいます。
 
 
「築地魚河岸三代目」(画・はしもとみつお/作・九和かずと/原案・鍋島雅治)
魚河岸のうん蓄マンガです。主人公の旬太郎がいくらなんでもそりゃないだろうという顔(目立たない群集の中の1人みたいな顔)をしています(そういう画風なんだからしかたがないか)。最新作「メダイと婚活」は、婚活をテーマにした月9ドラマよりも面白かったです。大魚(ミクちゃん)を釣りそこなった健ちゃんはまことに残念でした。この際だから売れ残り同士彩菜といっしょになっちゃえばいいのにね。
「築地魚河岸三代目」は2008年に大沢たかお主演で映画化されていますが、興業的には振るわなかったみたいです。
 
 
「獣医ドリトル」(作・夏緑/画・ちくやまきよし)
腕は超一流だが金に汚い悪徳獣医・ドリトル先生のお話です。去年テレビドラマ化されましたが、小栗旬と井上真央が熱演していてけっこう面白かったです。そのうちパート2がありそうな予感です。
マンガのほうの最新作は「暴力獣医師・花菱優!?」ということで、白血病に罹った猫のお話です。猫は白血病に罹ると全身に青アザができるそうです。別に花菱先生が猫を虐待していたわけではないのですが、飼い主からペットを虐待する暴力獣医だと誤解されてしまいます。それにしても7月10日号の64ページのコユキ(猫の名前)は猫に見えませんよ(犬かと思った)。それと、小栗旬が演じていたドリトル先生は強烈な偽悪的キャラクターが魅力でした。でも、マンガではドリトル先生がなんだかふつうの善良な獣医みたいになっています。ドラマに負けてますぞ。
 
 
「総務部総務課山口六平太」(作・林律雄/画・高井研一郎)
タイムリーな話題を取り入れたエッセイ風のうん蓄マンガです。いろいろなうん蓄が出てきます。総務部総務課のさりげない日常を描いたサラリーマン版「サザエさん」といった感じのマンガです。まあ、一生やっちょれ。
 
 
「ゲゲゲの家計簿」(水木しげる)
おみそ。89歳で「ビッグコミック」で新連載というのはただもうそれだけで立派です。
 
 
「星を継ぐもの」(星野之宣/原作・J.P.ホーガン)
西暦205X年、5万年前のものと判定された遺体が月面で発見されました。5万年前といえば、地球には旧人と呼ばれるネアンデルタール人がまだ生存していて、旧人と現生人類とが併存したいた時代です(ネアンデルタール人が絶滅したのは2万数千年前)。
月面で発見された遺体は月人(ルナリアン)・チャーリーと名づけられますが、チャーリーは5万年前の遺体であるにもかかわらず、なぜか宇宙服を身に纏っていました。これはいったいどういうことなのでしょうか。チャーリーは地球人なのか、それとも宇宙人なのか……壮大なスケールで描かれる太陽系と人類史の謎に迫る超大作SFミステリーです。

第9話で主人公のハント博士(何で皮ジャン着てるんだ!?)は次のような仮説を唱えます。

1.月は消滅した太陽系第5惑星・ミネルヴァの衛星だった。
2.ミネルヴァが消滅することによって主星を失った月は太陽系宇宙空間に放り出された。
3.太陽系を横断していた月はやがて地球と遭遇し、地球の衛星となった。
4.地球の歴史は46億年だが、ほんの5万年前までは地球に月という衛星はなかった。
5.5万年前に月という衛星を獲得したことによって、地球は文明の進化を促進するのにふさわしい好環境に恵まれるようになった。

SFだからもちろんフィクションなんですが、なぜ5万年ほど前から急に人類の文明が加速度的に進化するようになったのかを説明する理屈としてはなかなか説得力があります。月がない地球と月がある地球ではその自然環境がどう違ってくるのかなどの説明も何やら真に迫っています(ほとんどウソだとは思いますけど)。
 
 
「江戸の検屍官」(高瀬理恵/原作・川田弥一郎)
江戸時代にも検屍官がいたという設定の江戸時代ミステリーです。現代法医学ほど緻密ではないとしても、死体を調べて死因などを特定する仕事をする人が江戸時代にもいたかもしれません。「ビッグコミック」には珍しくエログロっぽいマンガです。
高瀬理恵というマンガ家は、名前やその作風から女性らしいですが、それ以外のことは何もわかっていない謎の人です(女性というのもあくまでも推測)。
 
 
「黄金のラフ~草太のスタンス~」(なかいま強)
これほど絵がヘタでこれほど面白いマンガも珍しいです。とにかくマンガの面白さのツボを心得ています。これで絵が上手ければ鬼に金棒です。なかいま強はどうして絵の上手いマンガ家を探してきてコンビを組もうとしなかったのでしょうか。まあ、ヘタな絵もそれはそれとして味があるともいえるし、このマンガはこれでいいのかもしれません。ストーリー重視で原作つきのマンガが多い「ビッグコミック」の中では、「黄金のラフ」はかなり特異なマンガです。ストーリー云々よりもむしろマンガとしての面白さが追求されています。大袈裟な言い方をすれば、「黄金のラフ」はマンガの面白さを教えてくれるマンガであるといえます。
 
 
「兵馬の旗」(かわぐちかいじ/協力・恵谷治)
幕末から明治維新にかけての動乱を幕臣・宇津木兵馬の視点から描こうとする野心作です。
かわぐちかいじのマンガはほぼ完璧なんですが、あえてアラ探しをすると、少女マンガほどではないにしても、人物の描きわけが甘い気がします。たとえば、兵馬とアンナは双子の兄妹のようでなんだか似たような顔をしています。目の色とヘアスタイルを同じにしたら、このふたりはほとんど区別がつかなくなります。
それから兵馬の顔はあきらかに女性の顔です。連載が始まったころ、兵馬とアンナのキスシーンがありました。私はてっきりレズビアンかと思ってしまいましたよ。
 
 
「華中華 ハナ・チャイナ」(作・西ゆうじ/画・ひきの真二)
横浜中華街を舞台にした料理マンガです。楊貴妃の幽霊が出てきます。「華中華 ハナ・チャイナ」には、ふつうのグルメマンガや人情マンガとは一味違った妙な面白さがあります。読まず嫌いの人は少し無理をしてでもこの「華中華 ハナ・チャイナ」読んで欲しいです。
「あんどーなつ」は 主演・貫地谷しほりでテレビドラマ化されましたが、この「華中華 ハナ・チャイナ」をドラマ化するとしたら、ハナちゃん役は誰がいいでしょうか。また貫地谷しほりでは芸がありません。ここはひとつ、加藤ローサでお願いしたいものです。
 
 
「Sエス-最後の警官-」(作・小森陽一/画・藤堂裕)
凶悪犯は射殺すべきか逮捕すべきか、それが問題だ。
このマンガには、テロや凶悪事件などに対処するための2つの警察特殊部隊が出てきます。SATとNPSです。SATは制圧(犯人を殺してでも国家の安全を守る)、NPSは確保(犯人を殺さずに捕らえ事件を解決する)がその行動方針とされています。
SATの補完部隊(?)としてNPSが創設されたのは警視庁OBの霧山六郎の尽力によるものです。このNPSの創設には「確保」では通用しない相手がいることを世間一般に知らしめることによって、SATのさらなる武装強化を実現しようとする政治的意図が隠されています。ただ、このマンガの主人公・神御蔵一號(かみくらいちご)はNPSの隊員です。頑張ることよりも通用しないことが期待されているのに、一號が期待に反して頑張ってしまうというマンガみたいです。

かわぐちかいじや星野之宣のように画力の優れているマンガ家にありがちな欠点は、セクシーな美女を描くのがあまり得意ではないことです。なぜそうなるのかわかりませんが、マンガ家には絵がうまくなりすぎるとセクシー美女が描けなくなるという宿命(?)があるみたいです。ところが、「Sエス-最後の警官-」の作画を担当している藤堂裕は、絵が上手いだけでなく、セクシー美女を描くのも得意です(たぶん)。
  
 
「そばもん ニッポン蕎麦行脚」(山本おさむ/監修・藤村和夫)
サブタイトルは「ニッポン蕎麦行脚」となっています。主人公の矢代稜は、祖父から日本そばの技術を伝授されたそば名人です。日本全国を放浪しながらそばを打つ流し職人をやっています。最近のお話では出汁(だし)に関するうん蓄がてんこ盛りでした。
ケチなインネンをつけさせてもらうと、器だって料理の一部なんだから、せっかくのおそばをラーメンの丼に入れて「さあ食え!」はないでしょう。
 
 
「ゴルゴ13」(さいとうたかを)
最近作では、日本を舞台にした第512話「日・ASEAN会議」が面白かったです。舞台は会議場のある高松です。爆弾テロを未然に防ぐために駆り出された精鋭(?)のひとりに大阪府警の川口恵子という大阪弁のオバハンが出てきます。このオバハンは実にお茶目で大笑いさせられました(さいとうたかをはギャグのセンスがあるのではなかろうか)。
このオバハンは第445話「エアポート・アイランド」にも出てきたらしいですが、覚えている読者はいるでしょうか。「ゴルゴ13」のコレクションが趣味の人は直ちに第445話を参照しましょう。
さて、国際会議を狙った爆弾テロの防止対策として、ゴルゴ13は狙撃対象なき依頼(「テロを未然に防いで欲しい」)を受けます。この依頼は万一に備えた「保険」です。何も起きなくても報酬は支払われます。しかし単なる保険で終わってしまっては劇画になりません。最後はゴルゴ13の一発必中の銃弾が時限爆弾の起爆装置を無効にして爆弾テロを未然に防ぐことになります。
お決まりのパターンだと言ってしまえばそれまでですが、あらためて「ゴルゴ13」をじっくり読んでみると、このシリーズがなぜこんなに長く続いているのかが納得できます。とにかく面白いです。

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