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2011年8月 5日 (金)

脚本・坂元裕二の「それでも、生きてゆく」第5話を観る

隆美( 風吹ジュン)が自分の本当の母親ではないという事実を知ってしまった双葉(満島ひかり)は気持の整理がつかないまま家を飛び出しました。双葉が向かった先は「釣船ふかみ」の洋貴(瑛太)のところです。

「釣船ふかみ」には洋貴が東京で知り合った藤村五月(倉科カナ)が来ていました。五月は洋貴が15年前の殺人事件の犯人・文哉(風間俊介)を捜していると知って、いろいろ力になってくれます。これは同じ殺人事件の被害者家族という立場からの親切というより、好きな人のために尽くしたいという女心です。五月は双葉と違って都会的で洗練された女性です。でも、洋貴の好みの女性かどうかはわかりません。

洋貴と五月が親密に(?)話をしているところに双葉が来てしまいました。五月は双葉がどういう素性の人間なのかまだ知りません。初めて東京で会ったときも洋貴と双葉はいっしょでした。夜に突然洋貴を訪ねてくるくらいだから、五月が双葉のことを洋貴の彼女だと思っても不思議はありません。

そうではないと否定しても、じゃあどういう関係なのかを説明するのはなかなか難しいです。まさかいきなり「犯人の妹です」と紹介するわけにもいきません。昔からの知り合いと言って言えないことはありませんが、幼馴染みというのとはちょっと違います。洋貴は双葉のことを五月にどう説明していいのか言葉が見つかりません。気まずい空気が流れて、ギクシャクした会話が続きます。どちらも帰るとは言い出さないまま夜が更けてしまいました。結局、五月と双葉は「釣船ふかみ」に泊まっていくことになりました。

翌朝、藤村五月が東京に帰って、洋貴と双葉が遅い朝食をすませたころ、双葉の父・三崎駿輔(時任三郎)が突然洋貴を訪ねてきました。駿輔は洋貴に響子(大竹しのぶ)に謝罪させて欲しいと頼みます。文哉も必ず見つけ出して謝罪させると約束しました。

洋貴は文哉が医療少年院を退院する直前に描いたという絵を駿輔に見せました。陽の光が降り注ぐ湖の水面(みなも)に仰向けの少女が浮かんでいる幻想的な美しい絵です。文哉にとって15年前の過去は美しい思い出にすぎません。洋貴は文哉には反省の気持なんかないことを駿輔に伝えました。皮肉ではなく事実として。
 
 
洋貴は、駿輔と双葉が、双葉が1歳のときに死に別れたという実の母親のことを話しているのをそれとなく聞きいてしまいます。なぜ昨日双葉が突然訪ねてきたのか、洋貴はそのわけを理解しました。洋貴の心の中で双葉の存在がどんどん大きくなっていきます。
 
 
洋貴は日垣家に響子(大竹しのぶ)を訪ねて、文哉の父親の三崎駿輔が響子に会って謝罪したがっていることを伝えます。

響子は悲しみを押し殺して偽りの幸せの中で抜け殻のような暮らしをしています。響子は時として周囲の優しさや思いやりが重荷になることがあります。悲しんでいては申し訳ないと考えるあまり、つい、いつわりの幸せを装ったりもします。しかし、誰もいないところでは、殺された娘・亜季のことを思い出しては号泣しています。響子の時計は15年前に止まったままです。

嫌がる響子に洋貴は三崎駿輔に会うことを勧めます。たとえ殺したいほど憎んでいる相手でも、会って話をすれば響子が前向きに生きようとする何かきっかけが掴めるかもしれないと洋貴は考えています。

洋貴と弟の耕平(田中圭)では「幸せ」に関する考え方が違います。耕平は耕平なりに響子の幸せを考えて、精一杯親孝行をしてきたつもりでいます。しかし、洋貴は響子が今のままではいけないと考えています。「母さんには(本当の)幸せになって欲しい」それが洋貴の願いです。そのためにも母さんは過去としっかり向き合って欲しい。そして止まっている時計の針を動かさなくてはいけない……洋貴はそう考えています。
 
 
ある日のことです。夜の10時過ぎに、双葉が「釣船ふかみ」にまたやってきました。双葉にとって洋貴がいる「釣船ふかみ」は、辛いことがあるとつい来たくなってしまう「癒しの空間」になっているのかもしれません。

洋貴と双葉のたわいもない会話はいつもどこかぎこちなくギクシャクしています。それでいてお互いに心の空白が満たされているといった感じがよく伝わってきます。こういうのを演技力というのか演出力というのかわかりませんが、この二人を見ていると、まるで長年連れ添ってきた仲のいい老夫婦(=色気抜きの男女関係)のような感じがしてきます。まさしく普通のあれです。

洋貴はすでに双葉の身の上に何があったのかを知っています。いつになく洋貴が優しいのはそのためです。洋貴は本気で双葉のことが好きになってきています。昔の文学者も言っていました。

   「可哀想だた惚れたってことよ」 by 夏目漱石

ほとんど運命の一夜になりそうなその一歩手前で、双葉は、ゴミ箱に捨てられていた五月が洋貴に渡した資料を見てしまいます。殺人犯の犯人の家族として双葉が写っている写真です。おそらく昔の週刊誌か何かの記事です。あたしは加害者の妹で洋貴さんは被害者の兄……その現実を双葉は突然突き付けられた気分になったと思います。双葉にとって洋貴は好きになってはいけない人です。

泊めてもらうはずだった双葉は、資料の横にメモを残して出て行ってしまいました。

  ありがとうございました。

   わたしは

    もう じゅうぶんです。
 
 
その翌日(?)、日垣家では響子がいなくなったと大騒ぎになっていました。洋貴は弟の耕平から「兄さんがそそのかしたせいだ」となじられます。響子は夜になっても帰って来ません。自殺でもされたら大変です。警察に連絡して捜索願を出そうとした矢先、響子が帰ってきました。どこで何をしていたのでしょうか?

響子は15年ぶりに昔の家族が暮らしていた家に帰っていました。だれも住まなくなった松見台のあの家です。そして亜季が殺された三日月湖にも行ってきました。自分の中で封印していた場所にあえて出かけていたのです。

響子は今まで鬱積していた思いを静かに語り始めます。

 あれから15年経って、今のあたしは、人から見たら、ずいぶんと落ち着いているように見えるかもしれません。
 でも、ホントは違うんです。
 あたし、みんな、あたしと同じ目にあえばいいのにと思って、ずっと、生きてきました。
 優しくされると、「あなたに何がわかるの」と思いました。
 子ども連れの母親見ると、疎ましく思いました。
 「前向きに生きよう」って言われると、死にたくなりました。
 ごめんなさい。あたしはずーっとそういう人間です。

 人を愛そう、前向きになろう……そう思った5分後に、みんな死ねばいいのにと思っていました。

 ごめんなさい。母親から子ども取ったら、母親じゃなくなるんじゃなくて、人じゃなくなるのかもしれません。

大竹しのぶの、いや響子の告白はまだまだ続きます。

 夢に出てきたのは、あの少年でした。「亜季が何したの?亜季がねえ、亜季がどんな悪いことしたの?」って訊いたけど、少年は何も答えてくれなくて、ただあたしを見返してました。
 そのとき気づきました。
 「ああ、この子……この子とあたし同じ人間だ」って。「人 やめてしまった人だ」って。
 「ああ、目 覚まさなくっちゃ」と思いました。
 「このまま死んだら亜季が悲しむ、亜季に嫌われる」そう思ったら、初めて「生きようかな」って、思いました。「亜季の分まで、生きようかな」って。

 目覚ますと、湖の水で、何度も何度も、顔を洗いました。



響子はこれまで世話になった日垣家の主人や耕平には感謝しつつも、日垣家を出て洋貴といっしょに暮らす決心をします。文哉にも会うつもりでいます。まさか文哉を殺すつもりではないと思いますが、言動にはちょっと不穏なところがあります。

一方、プチ家出状態の双葉は寝たきりの祖母が入居している特別養護老人ホーム「海寿園」を訪れていました。双葉が祖母のベッドにもたれてうたた寝をしているとひとりの男が部屋に入ってきました。なんと兄の文哉です。文哉はどうしてここを知っているのでしょうか?

あまりにも突然で、最初は双葉が夢を見ているのかと思いました。でも、予告編を観る限り、どうも夢ではなさそうです。どうなってしまうのでしょうか?

続きは → http://mugigicat.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-4712.html

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