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2012年5月27日 (日)

脚本・尾崎将也の「梅ちゃん先生」・第二部が始まった?

梅子(堀北真希)の同級生の澤田弥生(徳永えり)は中央医大の伊東正彦(庄野崎謙)が好きでした。しかし伊東にはすでに婚約者がいました……失恋です。

梅子の姉の松子(ミムラ)は会社の上司の真田伸吉(平岳大)が好きでした。しかし真田は新潟に転勤になってしまいました……失恋です。

梅子の兄の竹夫(小出恵介)は矢吹あかね(宇野実彩子)が好きでした。しかしあかねは金持ち(中島という地元の顔役?)のお妾さんになってしまいました……失恋です。

変人の松岡敏夫(高橋光臣)は梅子が好きでした。でも鈍感な梅子はなかなか気がついてくれません。痺れを切らした松岡は別れの手紙を残して去っていきました……失恋です。

梅子の周辺に漂っていた淡い恋物語は実ることなくすべて失恋に終わりました。何だか枝葉が増えてストーリーがとっ散らかってしまったため、続きがめんどくさくなてまとめて幕をおろしてしまった感じです。まるで人気がなくなった連載マンガが突然打ち切りになったみたいな終わり方です。でも朝ドラの「梅ちゃん先生」は、ストーリーに無理があろうが、リアリティがなかろうが、視聴率はなぜか好調です。まだまだ続きます。
 

 
失恋してもしなくても時は無常に流れていきます。第45回(5/23)からは時代設定が昭和25年6月になりました。第二部(?)のスタートです。
   
昭和25年6月の登場人物の推定年齢は以下の通りです(梅子以外は勝手に決めた)。ほとんど俳優・女優の実年齢と変わらなくなってきました。

昭和25年6月現在の登場人物の推定年齢(満年齢)

堀北真希(23)     下村梅子(21)
高橋克実(51)        建造(49)
南果歩(48)          芳子(46)
倍賞美津子(65)       正枝(68)←実年齢よりも老けてしまいました。
ミムラ (27)           松子(26)
小出恵介(28)         竹夫(25)

片岡鶴太郎(57)    安岡幸吉(55)
大島蓉子 (57)        和子(55)
松坂桃李(23)         信郎(21)←幸吉の息子にしては出来がよい。

徳永えり(24)       澤田弥生(21)  
黒川智花(22)      須藤雪子(21)
西原亜希(24)      瀬川典子(?)←再婚。小学生の娘がいる。
白鳥久美子(30)    園田江美(22)←偶然田舎の幼馴染みと病院で再会した。

このドラマが終わるころに梅子は何歳になっているでしょうか。堀北真希の雰囲気だと梅子を演じるのも30歳ぐらいまでが限界のような気がします。あの顔で「わたし50歳です」と言われてもピンときません。
 

●昭和25年になると戦後の混乱もようやく収束の兆しが見え始めてきました。オチこぼれ気味だった梅子も今では城南女子医専の5年生です。この年が最終学年で来年はいよいよ卒業です。梅子は何科の医者になるのでしょうか。この時期になってもまだ専門が決まっていないというのが驚きですが、梅子は手先が不器用なので外科医だけはやめておいたほうがいいです。

●安岡幸吉(片岡鶴太郎)は尋常小学校卒の無学の人です(たぶん)。それでも隣りの大学教授・下村建造(高橋克実)に恐れ入ることなく堂々と口喧嘩を挑んでいきます。下村建造はインテリには珍しく、町工場のオヤジである安岡幸吉と本気で怒鳴り合いの喧嘩をします。この二人は犬猿の仲ですが、喧嘩するほど仲がいいともいいます。似ているところもあります。頑固一徹で言い方に気をつけないとヘソを曲げるところなどはそっくりです。
 
●ところで、幸吉の病気は命に別状はないのでしょうか。胃潰瘍だと言いつつ、視聴者には胃癌ではないかと思わせておいて、実は本当に胃潰瘍だったというパターンがこのドラマにはよくあります。

あの鈴木工務店の名刺を持っていた男も、詐欺師のようでいかにも怪しげだったのが実は真面目な営業マンだったと思っていたらやっぱり詐欺師だった、というオチも十分に考えられます。この場合、幸吉が入院したおかげで建造は詐欺師に騙されなくてすんだことになります。幸吉から「オレのおかげだぞ。感謝しろ」と言われそうです。

●第二部(?)は建造と幸吉の境界線をめぐる土地争いから始まりました。このふたりは幸吉のほうが年上だと思います。建造がいくら大学教授でも、年上の幸吉に向って「おまえ」よばわりはないと思います。生意気です。幸吉に「虫が好かねえ」と言われても文句はあるまい。

下村家と安岡家は一つしかない井戸を共同で使っていました。もともと垣根も境界線もなかったのではなかろうか。

●梅子が医専に通っていながら、自分の父親である建造が内科医で、内科医は外科手術を行わないことを知らないというのはおかしいです。もっと変だったのは、幸吉が勘違いしていることを知っていながら、建造が「執刀するのは自分ではない」と教えてあげなかったことです。医者としてあまりにも不誠実ではありませんか。

●第48回(5/26)ラストはいかにも幸吉が手術室に向っている雰囲気でした。あのまま手術室に入ってしまうのでしょうか。もっともこのドラマのことだから、

 「病室を移動しただけだもん。何か?」

ということかもしれません。

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2012年5月25日 (金)

脚本・尾崎将也の「梅ちゃん先生」・「星の流れに」について

やい、梅ちゃん。食堂でだれが聞いているかわからないのに、あかねさんに向って「お妾さん」なんて言ってはいけませんよ。人聞きが悪いです。

それはさておき、第44回(5/22)のラストステージであかねが歌っていたのは、当時流行っていた「星の流れに」(作詞・清水みのる、作曲・利根一郎、歌・菊池章子)という曲です(昭和22年10月にすでに発売されていましたが実際に大ヒットしたのは昭和24年になってかららしい)。

「星の流れに」は、戦争によって家族を失い、生活の基盤も奪われて転落していった女の悲哀を歌った歌です。もともとは娼婦(パンパンガール)をモデルにした歌でしたが、女心の奥底に眠っている孤独や悲しみに共鳴するところがあったのでしょうか、美空ひばり、島倉千代子、青江美奈、石川さゆり、藤圭子、小柳ルミ子といった往年の大スター歌手が好んでこの曲をカバーしています。

最初のタイトルは「こんな女に誰がした」でしたが、反米思想を煽る恐れがあるということでGHQからクレームがついて、タイトルが「星の流れに」に変更されました(知ったかこいてますがすべて調べてわかったことです)。

詳しくは
 ↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%9F%E3%81%AE%E6%B5%81%E3%82%8C%E3%81%AB

 

YouTubeにはいろいろな歌手の「星の流れに」がアップされています。中でも島倉千代子のが最高だと思います。着物のおばさんが苦手な人は目を瞑って聴きましょう。テロップがなくてもはっきり歌詞を聴き取ることができます。

 

あかねがお妾さんになった昭和22年にはまだ「この世の花」(昭和30年の島倉千代子のデビュー曲)はありませんでしたが、「この世の花」を聴くと、何だかあかねの人生を暗示しているような気がしてきます。

 ♪ 想う人には 嫁がれず

   想わぬ人の 言うまま気まま

あかねはお妾さんから後妻に昇格(?)して幸せになってしまっては困ります。ドラマ的には悲しい薄幸の人生でないといけません。

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2012年5月24日 (木)

「クレオパトラな女たち」・人間は平凡で不細工な自分が好き?

日テレ「クレオパトラな女たち」も第8話で終了

産経新聞 5月23日(水)20時22分配信

 日本テレビ系で放送中のドラマ「クレオパトラな女たち」(毎週水曜、午後10時)が、6月6日放送の第8話で終了することが分かった。脚本家の大石静さんが、自身のブログで明かした。

 ドラマは美容整形がテーマで、主演は佐藤隆太。稲森いずみ、北乃きい、余貴美子らが出演している。ビデオリサーチの調べによる平均視聴率(関東地区)は、4月18日の初回は9.9%だったが、第2話は6.7%に低下。5月16日の第5話は7.6%だった。

 大石さんは21日付のブログで「人生、思うようにはならないものですね。しかし、現場は折れることなく、高いモチベーションで撮影は進行しています」などとつづっている。

 日本テレビ総合広報部は、第8話で終了することを認めた上で「開始時点で何話までやるとは発表していない。打ち切りかどうかはお答えしない」と話している。

大石静が脚本を担当しているドラマはセリフがよく練られていて気が利いているところに特徴があります。個人的には結構好きです。でも「クレオパトラな女たち」は第8話で打ち切りになってしまいました。まあ、このドラマはお茶の間の倫理や嗜好や価値観に逆らっているようなところがありました。それがいけなかったのかもしれません。せっかくの異色作だったのに残念無念です。

「クレオパトラな女たち」の(視聴率的な)最大の難点は、美容整形業界のコマーシャルっぽいところがあったことです。美容整形を無批判に肯定的に描きすぎているきらいがありました。おそらく一般の視聴者には美容整形という行為がまだそれほど市民権を得ていないのだと思います。お金がないからやらないというのではなくて、たとえお金があっても親から貰った顔や体を外科手術によって変えるということに倫理的抵抗を感じている人が圧倒的に多いのではないでしょうか。

いわゆる化粧と美容整形との決定的な違いは、ドラマのなかでも再三指摘されていますが、美容整形は一度やってしまうともとには戻れないことです。不細工な自分をよく見せたいとは思うものの、本当の自分が不細工ならそれはそれとして大切にしたいというのが複雑な人間心理かもしれません。

いわゆる変身願望というのも、日常と非日常の間を行ったり来たりできるからいいのであって、どんなヒーロー(ヒロイン?)に変身出来たとしても変身しっぱなしでもとに戻れなかったらイヤですよね?

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2012年5月22日 (火)

「梅ちゃん先生」・タレント物知り検定

次のうち正しいものには○、誤っているものには×をつけなさい。

 1.梅子の母親・好子役の南果歩は渡辺謙の奥さんである。

 2.梅子の祖母・正枝役の倍賞美津子はアントニオ猪木の奥さんである。

 3.チャラ男・山倉真一役の満島真之介は満島ひかりの弟である。

 4.ドイツ語の扇田先生役の大和田伸也は大和田獏の兄である。

 5.松子の上司・真田伸吉役の平岳大は平幹二郎の息子である(母親は佐久間良子)。
 

 

 

 

 
う 
  
 
答え
 1.○
 2.×(離婚しているので元奥さん)
 3.○
 4.○
 5.○

調べる前から知っていたのは2と4です。残りの3問は調べていてわかりました。4問以上正解なら合格です。

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2012年5月17日 (木)

夏樹静子原作、武井咲主演の「Wの悲劇」は面白い?

このドラマを観ていて誰もがすぐに言いたくなる一言は、

  ダンスぐらい自分で踊れ!!

そんな難しい踊りじゃないんだから猛特訓すれば何とかなるはずです。武井咲にその気があるかどうかです。剛力彩芽を見習って欲しいです(剛力彩芽は頑張って自分で踊っていた)。
 
 
「Wの悲劇」は現代版「王子と乞食」です。日本の古典(?)の「とりかえばや物語」と似ているところもあります。

ヒロイン・和辻摩子は、資産2000億円といわれる大富豪の孫娘として愛情に包まれながらも虚飾の中で息苦しい生活を送っていました。摩子はお金なんてなくてもいいからもっと人間らしい普通の暮らしがしたいと考えていました。摩子が望んでいたのは自分の意思で困難を切り開いていくような人生です。

いっぽう、孤児として育った倉沢さつきは児童養護施設を抜け出して孤独と貧困の中で愛情とお金に餓えた荒んだ日々を送っていました。さつきはお金のためならどんな男とでも寝ます。幼いころから嘘つきで犯罪行為など日常茶飯事でした。

和辻摩子と倉沢さつきの外見は瓜二つです。二人は一卵性双生児の姉妹として生まれました。しかし妹だったさつきはある事情から生まれてすぐに捨てられてしまいました(和辻家ではさつきはすでに死んだことになっています)。別々の人生を歩んでいた摩子とさつきが運命的な出会いをすることによってドラマが動き出します。

武井咲が一人二役のため途中から観た人は何が何だかわからなくて困っているかもしれません。設定は荒唐無稽ですが、サスペンス調のミステリードラマとしては十分面白いです。殺人事件の容疑者として倉沢さつきにつきまとう刑事・弓坂圭一郎(桐谷健太)の存在がブキミで不安を掻き立てます。このドラマは結末がどうなるかわからないのがいいです(小説を読んでしまった人は残念でした)。

笑いも涙もないこういうテイストのドラマはあまり面白くないのが通例ですが、このドラマはなぜか面白いです。スポンサーが渋い顔をしそうないわゆるエグイ面白さです。シナリオがいいのか演出がいいのかとにかく見応えがあります。

春ドラマのおススメ ベスト3

 1.Wの悲劇

 2.クレオパトラな女たち

 3.なし

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2012年5月14日 (月)

脚本・尾崎将也の「梅ちゃん先生」・下村梅子の誕生日は?

4月21日放送の第18回に下村梅子の卒業証書が出てきました。その卒業証書には梅子の誕生日が記されていました。梅子の誕生日は昭和4年3月5日です。この誕生日をもとに梅子の履歴書を作ってみました(NHK広報の制作発表資料によると、昭和20年、終戦直後の東京で暮らしていた梅子は17歳ということになっていました。昭和4年3月5日が誕生日なら、終戦直後の満年齢は16歳ですが、数え年なら17歳です)。

下村梅子の履歴書(転校はなかったものとします)

 学 歴
昭和10年4月 △△尋常小学校入学
昭和16年3月 △△尋常小学校卒業
昭和16年4月 ○○高等女学校入学
昭和21年3月 ○○高等女学校卒業 ←この卒業証書に生年月日が記されていた
昭和21年4月 城南女子医学専門学校入学
昭和22年4月 城南女子医学専門学校2学年に進級

 職 歴 
アルバイト若干(体温計売り・コーラ作り・ダンスパーティ入場券販売)

 賞 罰
 な し

 特 技
 な し

 特 徴
字が汚い。絵がヘタ。よく勘違いをする。いつもボーッとしている。
 
 
 
5年だった高等女学校の修業年限は昭和18年の「高等女学校規定」で4年を上限とすると改められました。梅子は昭和16年に入学しているので微妙です。ドラマでは(計算上)5年通ったことになっています。

もうひとつ疑問だったのは尋常小学校の入学年齢です。満年齢が基準になっていたのでしょうか、それとも数え年が基準になっていたのでしょうか。昔は一般的には満年齢よりも数え年が主に使われていました。あまりにも数え年が横行するので、満年齢を普及させるために「年齢のとなえ方に関する法律」が作られたくらいです(1950年1月1日施行)。

昔のことだからいい加減で(「おらの息子は来年からにすっぺ」とか)だったのかもしれないと思いつつ、尋常小学校の入学年齢について調べてみると、辞書には、はっきり、「満6歳以上」と明記されていました(昔の政府をなめてはいけない?)。
 
 
さて、昭和22年になって梅子は満18歳(数え年では19歳)になりました。「梅ちゃん先生」で年齢が判明しているのは今のところ梅子だけです(たぶん)。そこで登場人物の年齢をいろいろ推定してみました。だいたい俳優・女優の実年齢(あくまでもプロフィール上の)よりマイナス5歳が基準です。

昭和22年4月現在の登場人物の推定年齢(満年齢)

堀北真希(23)     下村梅子(18)
高橋克実(51)         建造(46)
南果歩(48)           芳子(43)
倍賞美津子(65)       正枝(65)←若くできなくてごめん。
ミムラ (27)           松子(23)
小出恵介(28)        竹夫(22)

片岡鶴太郎(57)    安岡幸吉(52)
大島蓉子 (57)         和子(52)
松坂桃李(23)          信郎(18)

徳永えり(24)       澤田弥生(18)  
黒川智花(22)      須藤雪子(18)
西原亜希(24)      瀬川典子(?)←4歳の子どもがいる
白鳥久美子(30)    園田江美(19)←4月生まれということにしておきます

大和田伸也(64)    扇田先生(59)
田中要次 (48)     柴田先生(43)

鶴見辰吾(47)      立花陽造(42)
 
宇野実彩子(25)   矢吹あかね(23)←キャバレーの歌手。若すぎてはいけない。

満島真之介(22)    山倉真一(22)

岩崎ひろみ(35)     三上康子(30)

高橋光臣(30)      松岡敏夫(24)←病気で三年間休学している。

平岳大(37)        真田伸吉(29)←松子とあまり年が離れていてはいけない。

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2012年5月13日 (日)

「家族のうた」は「家政婦のミタ」である?

オダギリジョー主演「家族のうた」は、視聴率回復の兆しがみられないままとうとう打ち切りが決定してしまいました。残念ながら6月3日放送分が最終回です。

オダギリジョー主演「家族のうた」 8話で打ち切り決定

スポニチアネックス 5月12日(土)18時1分配信

 オダギリジョー(36)主演のフジテレビ系連続ドラマ「家族のうた」(日曜後9・00)が第8話で打ち切りになることが分かった。6月3日放送分が“最終回”となる。

 平均視聴率は初回が6・1%、第2回は3・6%、第3話は3・4%、第4話では最低の3・1%を記録。この3・1%という数字は、00年以降にプライム帯(午後7~11時)で放送された民放の連続ドラマでは、03年1月期の日本テレビ「メッセージ」(真中瞳主演)第6話、同10月期の「ライオン先生」(竹中直人主演)最終回と並ぶ低視聴率となった。

 4話までの平均は4・2%で、「メッセージ」の全話平均4・4%という最低記録を下回っていた。

 かつて爆発的な人気を誇ったものの、今や落ちぶれたロックミュージシャン・早川正義(オダギリ)が突然現れた子どもたちとの同居をきっかけに、人として父親として成長していく姿を描く熱血ファミリードラマ。撮影前には「パパはニュースキャスター」(TBS、87年放送)の脚本家から類似点を指摘され、フジが一部内容を変更する事態になっていた。

早川正義が「人として父親として成長していく姿を描く熱血ファミリードラマ」だったらしいですが、第4話までを観た限りでは早川正義に成長の兆しはまったくありませんでした。だいたい人として成長するということは、ロッカーとしては堕落するということです。すでに36歳の立派な大人である主人公が、今さら(精神的な)成長はムリです。

このドラマは、ロックンローラーとしての主人公を強調するあまり、主人公の内面的な弱さや淋しさや苦しさをあえて描こうとはしませんでした。その結果として、主人公がヘラヘラした単なる大バカ野郎にしか見えなくなっていました。オダギリジョーに親近感を持っていない一般の視聴者には、とても見られたドラマではなかったと思います。
 
 
思うに、「家政婦のミタ」の亜須田恵一(長谷川博己)も、浮気が原因で妻を死に追いやり、それが子どもたちにバレて家を追い出され、勤めていた会社もクビになってしまったダメ男でした(それでも本気で自分の子どもを愛せない自分に苦しんでいた)。

ダメな父親と子どもたち、主人公に思いを寄せる美女(?)、変な老人、斉藤和義の主題歌、カゾークノウタとカセーフノミタ……こうして並べてみると「家族のうた」は「家政婦のミタ」と実によく似ています。ただし、「家族のうた」にはミタさんが出てきません。「家族のうた」はミタさんの出てこない「家政婦のミタ」です。

もうヤケクソです。この際だから松嶋菜々子にお願いして最終回は「家族のうた」にもミタさんが家政婦としてやってくることにしたらどうでしょうか。業務命令なら何でもやってしまうミタさんと業務命令を無視する早川正義のトークバトルは絶対受けると思います。話題沸騰です。

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2012年5月 5日 (土)

「ATARU」の視聴率が急落した理由

「ATARU」視聴率急落6%減 「家族のうた」は続落3・4%

デイリースポーツ 5月1日(火)13時9分配信

 4月29日に放送された、TBSの中居正広主演ドラマ「ATARU」(日曜・午後9・00)の第3回放送分の視聴率が、関東地区で前週比6・0%減の10・9%だったことが1日、ビデオリサーチの調べで分かった。

 また同時間帯で視聴率が低迷していた、フジテレビのオダギリジョー主演ドラマ「家族のうた」は前週比0・2%減の3・4%と、さらに続落する結果となった。

 同時間帯は視聴率の激戦区となっている。

 一方で、テレビ朝日は「日曜洋画劇場」で放送した「相棒‐劇場版‐絶体絶命!42・195キロ」が15・3%をマーク。日本テレビが午後7時から3時間スペシャルで放送した「世界の果てまでイッテQ!SP」が15・0%と、高い数字だった。

視聴率的には好調にスタートした中居正広主演ドラマ「ATARU」が早くも失速してしまいました。

このドラマの視聴率が急落した理由ははっきりしています。ストーリーとはほとんど関係なくうんざりするくらいチョコザイ(主人公)の奇行を強調したからです。多くの視聴者は中居正広のわざとらしい演技に辟易していると思います(たぶん)。決してそういう意図はなかったとしても、北村一輝と栗山千明が展開するコメディタッチのドラマの中で、軽々しく知的障害者を誇張して演じてしまうと、知的障害者をおちょくっているのではないかという印象を視聴者に与えてしまいます。気分を害して見るのを止めてしまった視聴者が多かったのではないでしょうか。
 
チョコザイの奇行が視聴率稼ぎのつもりだったとしたら逆効果でした。もっと真面目にドラマの面白さで勝負しないと……。

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2012年5月 3日 (木)

脚本・尾崎将也の「梅ちゃん先生」・戦後の物価上昇率は?

週にに一回ぐらい「梅ちゃん先生」の感想を書きたいと思います。「梅ちゃん先生」はネットでの評判はボロクソですが、個人的にはけっこう楽しんでいます。辛口の批評をされている方の指摘はいちいちもっともなんですが、それはそれとして、このドラマ、どうも憎めないところがあります。
 

さて、第25回(4/30)です。下村家では梅子の母親が物価の値上りに頭を痛めていました。当時(1946年ころ)は戦後の混乱の中で物価が暴騰したといわれています。どんな感じだったのか、当時の物価動向を調べてみました。

実際に知りたいのは消費者物価ですが、諸般の事情(データが見つからない)から卸売物価を検討することにしました。卸売物価でもおおよそのイメージは掴めると思います。

「これがデフレだ!」(吉野俊彦著・日経ビジネス文庫)の巻末資料に「日本銀行戦前基準全国総合卸売物価指数」という、1901年(明治34年)から2000年(平成12年)までの100年間の卸売物価指数の推移を記録した大変貴重な時系列データが掲載されています。

このデータをもとに、1944年(昭和19年)を1として、1944年以降の卸売物価指数を計算してみました。以下の通りです。

全国総合卸売物価指数(1944年=1)
 1944年     1.0
 1945年     1.5
 1946年     7.0
 1947年    20.8
 1948年    55.2
 1949年    90.0
 1950年   106.4
 1951年   147.7
 1952年   150.6
 1953年   151.6
 1954年   150.6
 1955年   147.9
 
各年の物価上昇率(前年比)を計算すると、概算で以下のようになります。

       物価上昇率
1945年  約 50%  去年100円 → 今年150円
1946年  約3.6倍  去年100円 → 今年460円
1947年  約2.0倍  去年100円 → 今年300円
1948年  約1.7倍  去年100円 → 今年270円
1949年  約 60%  去年100円 → 今年160円
1950年  約 20%  去年100円 → 今年120円
1951年  約 40%  去年100円 → 今年140円
1952年  約  2%  
1953年  約  1%  
1954年  約 ▲1%  
1955年  約 ▲2%  

インフレは戦争中にすでに始まっていました。1936年から1944年までの8年間で物価は約2倍になっています。それでも物価統制令などによって何とか物価の上昇は抑制されていました。それが戦後になるとまるでタガがはずれたように暴騰が始まりました。溜まりに溜まっていたマグマが一気に爆発した感じです。この物価の暴騰は1951年まで続きました。何とか落ち着いたのは1952年になってからです。
 
かりに1944年に100円だった商品があったとします。上記のペースで物価の上昇が続いた場合、この100円の商品は7年後の1951年にはいくらになっているでしょうか?

  答え → 約15000円(約150倍)
 

凄まじいインフレです。しかもこれはあくまでも平均値です。当時の生活実感からすると150倍どころではなかったかもしれません。こうした終戦直後の狂乱物価を思うと、5%の消費税を10%にするとかしないとかで揉めている今の時代というのは何なんでしょうね。

 

さて、以下は「梅ちゃん先生」を観ての雑感です。

●梅子がヤミ市で売ろうとしていた30円の体温計は、現在の貨幣価値でいうと500円から1000円くらいの値段になると思います(あくまでも勘です)。

●梅子の同級生の園田江美(白鳥久美子)は実は秋田の大金持ちのお嬢さんだったというオチかと思っていましたが、残念ながら夏休みなのに帰省する汽車賃もない貧乏な人でした。でも、終戦直後に秋田から娘を上京させて医専に通わせている家庭が貧乏なはずはないのですが……。
 
●こぶ平(林家正蔵)のナレーションはホントに蛇足です。画面を見ていればわかることをいちいち解説するんですね。ナレーションが入るたびに「わかっているから黙っていてくれ」と言いたい気分になります。最近では「また始まった」と思って笑っています。

●片岡鶴太郎は歌もうまいですね。絵心だけでなく歌心もあります。これにはホントにびっくりです。「復興節」のCDでも出せば売れるかもしれません(ムリか?)。
片岡鶴太郎はかつて具志堅用高のモノマネをして「ちょっちゅね」とさかんに言っていたら、本人から「そんなこと言ってない」と怒られたそうです。ところが、サービス精神旺盛な具志堅用高は、鶴太郎のモノマネを逆にモノマネして「ちょっちゅね」と言ってくれるようになったとか。鶴太郎が「ライオンのごきげんよう」でそんな話をしていました。

●「あきらめ節」とか「復興節」とか、昔の古い歌をよく見つけてきたものです。当時(1946年)の人にはよく知られていた懐メロだったのでしょうか。

復興節 ← 関東大震災後に流行った歌です。

 

 

あきらめ節 ← 「蟹工船」のころの歌です。歌詞の中に金解禁(1930)が出てきます。

 

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