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2013年10月 9日 (水)

「連続講義・デフレと経済政策」(池尾和人著・日経PB社)を読む・第3回

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ここで賃金率という言葉が出てきます。賃金率というのは、「一定時間または一定量の労働に対して支払われる賃金」のことです。ここでは、あらゆる賃金を時給に換算した時間あたりの賃金のことを賃金率といっています。素人には時給といってくれたほうがわかりやすいですが、時給といってしまうと「あたしは月給よ」、「俺は年俸だ」と言い出す人が出てくる恐れがあります。そこで「時給」という日常用語を避けて、専門っぽく「賃金率」といっているのだと思います。まあ、時給のことです。
 
 賃金率は失業率が上昇すると下落し、失業率が低下すると上昇する……①
 
テキストの21ページの式を再掲すると、
 
  価格=(1+m)×時間当たりの賃金÷労働生産性
 
天から降ってきたようなこの式がなぜ成立するのかは第1回で詳しく考察しました。
 
この式が意味しているのは、「マークアップ率mと労働生産性に変化がなければ、時間あたりの賃金(賃金率)の変化率と価格(物価)の変化率は同じになる」ということです。したがって、①の賃金率を物価に置き換えると次のようになります。

 物価は失業率が上昇すると下落し、失業率が低下すると上昇する……②
 
 
ここで「フィリップス曲線」という用語が出てきます。フリー百科事典のWikipediaは「フィリップス曲線」を次のように解説しています。

フィリップス曲線(フィリップスきょくせん、英: Phillips curve)は、経済学においてインフレーションと失業の関係を示したもの。アルバン・ウィリアム・フィリップスが1958年の論文の中で発表した。

概要
 
縦軸にインフレ率(物価上昇率)、横軸に失業率をとったときに、両者の関係は右下がりの曲線となる。フィリップスが初めて発表した時は縦軸に賃金上昇率を取っていたが、物価上昇率と密接な関係があるため、縦軸に物価上昇率を用いることが多い。

これは、短期的にインフレ率が高い状況では失業率が低下し、逆に失業率が高いときはインフレ率が低下することを意味する(インフレーションと失業のトレードオフ関係)。つまりフィリップス曲線とは、短期において「失業率を低下させようとすればインフレーションが発生」し、「インフレーションを抑制しようとすれば失業率が高くなる」ということを表した曲線である。


「インフレ率と失業率の間のトレードオフの関係」というのはそれなりの説得力があります。いかにもそういう関係がありそうな気がします。しかしその後の現実はそれほど単純ではありませんでした。「このトレードオフの存在を前提とした経済政策運営は、次第にインフレ率の高進を招くだけで失業率の改善につながるものではなくなって」しまいました。
 

フィリップ曲線に対して最初に理論的批判を加えたのはミルトン・フリードマンです。
 
 「労働者が改善を求めているのは単なる名目賃金ではなく、実質賃金である」
 
①の「賃金率は失業率が上昇すると下落し、失業率が低下すると上昇する」というときの賃金率は(インフレを考慮しない)名目の賃金率ではなく、あくまでも(インフレを考慮した)実質の賃金率で考えるべきだというのがフリードマンの主張です。


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