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2013年10月16日 (水)

「連続講義・デフレと経済政策」(池尾和人著・日経PB社)を読む・第4回

26ページからです。ここで「予想インフレ率」という用語ができます。iFinanceの経済用語集は「予想インフレ率」を次のように解説しています。

予想インフレ率は、「期待インフレ率」とも言い、消費者や企業、市場関係者(投資家等)などが予想する将来の物価上昇率のことをいう。これは、物価が将来どれくらい変動すると世の中や市場が見ているかを示すもので、その代表的な指標として、普通国債(利付国債)と物価連動国債(物価に連動して元本が増減する国債)の流通利回りの差から求める「ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)」がある。また、予想インフレ率の算出方法については、その他にも、過去のインフレ率の実績を加重平均して予想インフレ率とみなす方法、アンケート調査結果を一定の算式により数量化して先行きのインフレ率を予測する方法、過去のインフレ率のデータに時系列モデルを当てはめて先行きのインフレ率を予測する方法などがある。
 
一般に予想インフレ率は、実際のインフレ率と連動すると共に、先行して動く傾向があるため、各国の中央銀行は、予想インフレ率の動向を調査・把握し、また予想インフレ率の目標値を定め、その目標値に収まるような金融政策を行うことが多い。通常、予想インフレ率が上昇傾向にある時は、インフレを抑えるような金融政策を行い、逆に予想インフレ率が下落傾向にある時は、インフレになる(デフレにならない)ような金融政策を行う。ちなみに、2013年4月に黒田日銀総裁が異次元緩和(量的・質的金融緩和)を打ち出したが、その理論根拠として、市場の予想インフレ率が上昇するように積極的に働きかけることで、実際の物価上昇率もそれに近づくという発想が背景にある。

「予想インフレ率」という概念が素人にはどうもピンときません(予想インフレ率の算出方法が複数存在するということは、ある時点において複数の予想インフレ率が存在するということです。どの算出方法にしたがった予想インフレ率が正しいかは事前にはわからないと思います。つまり予想が必ずしも当るとは限りません)。

ここはとりあえず、
 
 予想インフレ率≒数年後のインフレ率
 
と考えて先に進みます。
 
 
ここで名目賃金上昇率と予想インフレ率と失業率の関係を式で表すことを考えます。
 
まず、実質賃金上昇率と失業率の関係を単純化して右下がりの直線で表します。
 
 実質賃金上昇率=-α×失業率+β(α、βは定数)……①
  
実質賃金上昇率は、名目賃金上昇率-インフレ率ですが、テキストではこの場合のインフレ率が実際のインフレ率ではなくて予想インフレ率になっています。
 
 名目賃金上昇率-予想インフレ率=-α×失業率+β(α、βは定数)……②

 
失業率に関しては、実際の失業率とは別に自然失業率という概念が出てきます。自然失業率というのは「労働力に関する総需要と総供給が一致している状態における失業率」のことです。
 
Infobankのマネー百科は「自然失業率」を次のように解説しています。

自然失業率とは、長期的に見て、インフレ率に関係なく、一定の水準で存在する失業者の割合のことをいいます。完全雇用が達成される状態にあっても、産業構造の変化や技術革新の進歩、人口の高齢化、社会保障(失業保険)の充実など、社会や経済の構造上の理由からどうしても避けられずに存在してしまう失業率のことです。

 
②の式において、右辺がゼロのときの失業率が「自然失業率」です。右辺がゼロということは左辺もゼロです。つまり、名目賃金上昇率と予想インフレ率が等しいときの失業率が自然失業率です。
 
②の式はこのままではわかりにくいです。そこでαとβを勝手に決めてしまいます。日本の自然失業率は4%前後ということなので、α=0.5、β=2とします(α=2、β=8でもα=0.8、β=3.2でもα:βが1:4になっていれば適当でよい)。
 
これで名目賃金上昇率と予想インフレ率がわかれば、そのときの失業率が計算できることになります。
 
たとえば、名目賃金上昇率が3で予想インフレ率が5ならば、そのときの失業率は、
 
 3-5=-0.5×失業率+2
 
より8(%)です。 ←不景気のときの失業率
  
名目賃金上昇率が2で予想インフレ率が2ならば、そのときの失業率は、
 
 2-2=-0.5×失業率+2
  
より4(%)です。 ←これが自然失業率
 
名目賃金上昇率が4で予想インフレ率が3ならば、そのときの失業率は、
 
 4-3=-0.5×失業率+2
 
より2(%)です。 ←景気が加熱しているときの失業率(非現実的?) 
 
 

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