小池真理子原作のテレビドラマ「恋」を観る・その4
ネ
タ
バ
レ
注
意
●翌日の1972年2月28日。布美子(石原さとみ)は雛子(田中麗奈)を訪ねて軽井沢の別荘にやってきました。布美子は雛子を東京に連れ戻すつもりでした。雛子は大久保勝也(斎藤工)といっしょでした。
大久保勝也は雛子と信太郎(井浦新)が血の繋がった兄妹であることをすでに知っていました。
「別におぞましいと思いませんよ。むしろ素敵な関係だとさえ思いました。でもねえ。しょせん兄妹は兄妹だ。二人が共有していたのは、愛なんかじゃなく、いびつな自己満足だ」
大久保の言葉は辛辣で冷酷です。大久保は自分が信太郎だったら自殺しているとさえ言いました。おめおめと生きている信太郎が信じられないといった口ぶりです。
「あたし、もう信ちゃんのところには戻らないから。戻れないの、もう」
信太郎を軽蔑する大久保勝也は許せない、あたしから雛子さんを奪った大久保勝也も許せない、片瀬夫妻と過ごしたあの楽しかった夏の思い出は何だったのか……布美子に殺意が芽生えたのはこの瞬間です。
●布美子はライフル銃を持って、雛子と大久保のいる寝室にやってきました。大久保を殺すつもりです。布美子の思い詰めた目に殺意が宿っています。至近距離で発射された一発目の銃弾は大久保の腹部を貫通しました。二発目の銃弾は遅れて別荘にやってきて止めに入った信太郎に当たってしまいました。大久保は死亡、信太郎は命は取りとめたものの半身不随になってしまいました。
布美子は殺人と障害の罪で逮捕され裁判が始まりました。裁判では片瀬夫妻の秘密には触れずにあくまでも痴情のもつれということで押し通したようです。
服役を終えてからの布美子は、殺人犯という自分の前科を隠して世間の片隅でひっそりと生きていました。そんな布美子の体を子宮癌が蝕んでいました。
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