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2015年10月25日 (日)

「ゴルゴ13」第557話「33+G 前編」を読む

PART 1 デュークが居た!?
東洋通信のメキシコ支局に梶本という顎の長い社員がいました。梶本は勤務中だというのにエロ雑誌のヌード写真を眺めてにやけていました。どうやら梶本は海外勤務をいいことにのんびりとハッピーライフを送っているぐーたら社員みたいです。

その梶本に支局長(?)から取材の指令がくだりました。

 「おい、梶本、2010年8月5日の、チリのコピアコ鉱山落盤事故から丸5年だ!救出者に面会してインタビューを取ってこい!」

突然のチリ行き指令に戸惑う梶本を支局長が脅しました。

 「チリ行きが嫌なら東京に戻るか?海外勤務手当はなくなり、すし詰めのラッシュ、切れ目のない仕事の嵐、昼食難民、会社の臭い仮眠ベッド!中南米じゃ、ハグは挨拶代わりだが、日本でハグしてみろ。強制わいせつで逮捕されるぞ!」

梶本には「嫌なら東京に戻す」という脅しが一番効き目があるようです。梶本はしぶしぶチリ行きを了解しました。久しぶりの仕事です。

梶本が最初に面会したのはコピアコ鉱山の元作業員・セダベル氏です。ところが落盤事故の救出者は協定を結んでいてマスコミの個別取材は全部断ることになっていました。ゼタベル氏は何も話してくれません。

梶本は諦めて帰りかけたときにふと漏らしました。

 「とにかく34人だっけ、ガッツあったね」

これを聞いたセダベル氏は慌てました。

 「えっ!? あ、あんた34人居たって……何で知ってるんだ!?」

 「はん?」

 「い、いや33人だ。取材に来るなら人数をちゃんと調べてから、来いよなっ!!」

梶本は単純に人数を言い間違えただけなのに、セダベル氏の慌て振りは尋常ではありません。

梶本の脳裏になぜか急にゴルゴ13の顔が浮かんできました。梶本という男、ゴルゴ13を知っているということは、一見ぐーたらに見えてもけっこう情報通なのかもしれません。

梶本はひとりごとのようにつぶやきました。

 「そいつはカミソリのような目付きで無駄口を叩かず、サバイバル術から医学薬学、メカや人間心理など森羅万象に通じていて格闘技も強く、スペイン語もネイティブ並みに上手く、顔立ちは日系っぽい自称デューク・トウゴウ……な~んちゃって、へへ!へへ……参ったねどうも!」

これを聞いたセダベル氏はさらに慌てました。
 
 「な、何であんた、デュークが居たことを知っているっ!?どうしてっ!?」

今度は梶本がびっくりです。

 「えーっ!?本当に居たのっ!?」

しかし、69日目に地底から生還しのは、現場作業員の33人だけです。皆南米系の顔でした。生還者の中にデューク・トウゴウらしき人物は含まれていません。

セダベル氏の言葉から推測されるのは、デューク・トウゴウひとりを地底に残したまま救出作業が終了したらしいことです。救出された作業員はまだ地底に生存者がいることをデューク・トウゴウから固く口止めされていました。救出作業終了後、デューク・トウゴウがどのようにして地底から脱出したかは不明です。

 
 

PART 2 標的は2人
2010年8月、コピアコ鉱山で落盤事故が起きる少し前、ゴルゴ13はコピアコ鉱山の乗っ取りを企てている男からコピアコ鉱山の共同経営者であるケネスとビーンの暗殺を依頼されました。二人同時にというのが条件です。二人はいつも鉱山の入口が見下ろせる山腹の山荘に居ました。
 
ゴルゴ13は依頼を引き受けました。マスコミは、安全管理に手抜きをしていた共同経営者が落盤事故の恨みをかって撃ち殺されたと報じましが、実際は落盤事故の直前にすでに暗殺は実行されていました。

 

PART 3 落盤、来たる
暗殺を実行したゴルゴ13は、鉱山の現場作業員を装って鉱山に向かうトラックに乗せてもらいました。追手の追及を回避するためです。

トラックにはガデラスとローチャという陽気な二人組が乗っていました。ゴルゴ13を乗せたトラックは鉱山の入口からそのまま中へ入っていきました。

鉱山での小さな落盤は日常茶飯事です。しかしその日の落盤はかなり大規模でした。トラックは引き返すこともままならず、そのまま猛スピードで地下634mにある最深部の避難所に向かいました。避難所はコンクリートで固めてあって安全です。そこへ逃げ込めばとりあえずは助かります。

 

PART 4 お前は誰?
避難所にはすでに31人の作業員が避難していました。そこへガデラスとローチャそれにゴルゴ13の3人が加わりました。総勢34人です。ガデラスとローチャは避難所の作業員たちとすでに顔見知りでした。ところがゴルゴ13はまったくの新顔です。

 「お前は誰だ?初めて見る顔だぞ?」

 「デューク・トウゴウだ……明日から働く予定になっている」

 「えっ?俺は、現場監督のウリヨアだが……聞いてねえぞ?」

 「今日下見してから、正式に契約するつもりだった……」

 「そうか。でも、働き出す前から落盤に巻き込まれるとは、ツイてなかったなデューク……」

現場監督はデューク・トウゴウがこれから働く予定の現場作業員であると、すっかり信じていました。


 
PART 5 わずかな食糧
しばらくは破壊的な落盤が断続的に続きました。これによって主坑道は完全に潰れてしまいました。
 
落盤が少し落ち着いたところで避難所の外に出てみると、避難所から1.5kmぐらいのところで坑道が完全にふさがれていました。作業員たちは生き埋め状態です。地上からの救出を待つしかありません。
 
しかし、避難所には水も食糧も十分にはありません。わずかな食糧で33人の作業員とゴルゴ13は救出が来るまで生き延びなくてはなりません。状況はかなり絶望的です。

 

 

<参考> :「コピアポ鉱山落盤事故」に関して、Wikipediaは次のように解説しています。

コピアポ鉱山落盤事故

コピアポ鉱山落盤事故(コピアポこうざん らくばんじこ)とは、チリ共和国アタカマ州コピアポ近郊のサンホセ鉱山(en:San Jose Mine)にて、現地時間2010年8月5日に発生した坑道の崩落事故。崩落により33名の男性鉱山作業員が閉じ込められるも、事故から69日後現地時間10月13日全員が救出された。サン・ホセ鉱山 (el yacimiento San Joseまたはla mina San Jose) は、コピアポの45km北に位置する。鉱山を所有したのはミネラサンエステバン社であったが、のちに倒産した。

作業員達が閉じ込められたのは地下634mの坑道内で、これは坑道の入り口から5kmの位置である。鉱山会社の弁護士を含む数名が、作業員らが救出された後、鉱山所有者らが破産に追い込まれる可能性を指摘している。サンホセ鉱山は金と銅の産出で1889年から操業してきた。現在の所有者は、マルセロ・ケメニー・ヒューラー(40%)とアレハンドロ・ボーン(60%)の2人である。

                                        
                                                                                 

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2015年10月19日 (月)

●盛重亜梨紗(山下リオ)は、担任の竹田先生(森谷ふみ)が用意していた草刈りガマを持っていました。盛重は半分電波が来ています。何とかに刃物です。

 「全部覚えてる。あんたたちがあたしにしてきたこと」

盛重は、これまでに自分がいじめを受けたその内容を克明に記録していました。

 「4月30日。ロングホームルーム。あんたたちは全員グルになってこの合宿の順番決めのくじ引きをあたしに押しつけた。涼しい顔で初めにあたしの名前を出したのは姫澤さくら。そのあと多数決で真っ先に笑いながら手を挙げたのが今野。次に市ノ瀬。薄井もこっそり手を挙げた。神矢は手を挙げなかった。でも、あたしに決まってみんなが拍手しているとき、バカにするような眼でこっを見た!!」

盛重は草刈りガマを構えて今野たちを威嚇しながら言いました。

 「全員……死ねばいい。バカにされるのはうんざり。ここはもう学校じゃない」

 

●気の弱い薄井千影(増田有華)はおろおろするばかりです。しかし神矢知恵子(土屋太鳳)は鉄の女です。盛重を無視して横転したバスの中に入ろうとしました。神矢は死んだ人の持ち物を漁るつもりです。救助はいつくるかわかりません。神矢はこれからいかに生き延びるかを考えていました。もうすぐ日が暮れます。くだらないことで喧嘩している暇はありません。

 

●市ノ瀬ハル(工藤綾乃)は今野水希(桜庭ななみ)を誘って助けを呼びに行こうとしました。しかし、わけもわからず森の中を歩き回るのは危険です。今野は市ノ瀬についていこうかどうか迷いました。

クールでリアリストの神矢が、事故現場を離れようとする市ノ瀬に警告しました。

 「助かりたいなら……事故現場の近くで動かないのが一番。知らない森でむやみに歩き回るなんて自殺行為。そんなにあなた、死にたいの?」

ここまで言われては市ノ瀬も意地になります。迷っている今野を強引に誘って森の中を歩き出しました。しかしいくら歩き回っても民家はおろか人が通る道も見つかりません。ケータイも依然として圏外です。

 「今野さっき迷ったでしょ?」

 「えっ?」

 「モリコとか、どう考えても狂ってるし、それでもあいつらと一緒のほうがいいわけ?」

 「いや、そうじゃなくて。神矢がいうように助けを待つなら現場近くのほうが……」

森の中で市ノ瀬と今野が言い争いを始めました。引き返そうとする今野に、市ノ瀬が日ごろのうっぷんをぶつけました。

 「今野、さくらが死んだのに悲しくないの?」

 「そんな、悲しいよ」

 「ウソ!結局あんたはさくらを利用してただけなんでしょ?」

 「違う」

 「何が違うの?その証拠にさくらが死んだ瞬間、一番自分が安全にいれるとこはどこか、そればっか考えてる……最低」

 

●市ノ瀬と今野は森の中を歩き回りました。疲労困憊です。ふたりは、自分たちがどこにいるのかわからないまま夜を迎えました。運が悪ければ樹海の中で野垂れ死にです。

それでも闇の中のはるか前方にかすかな光を見つけました。近づくと、その光は神矢たちが燃やしているたき火でした。神矢たちは事故現場の近くに雨露がしのげる安全な場所を見つけてたき火をしていました。結局市ノ瀬と今野は元の場所に戻ってきてしまいました。

盛重が草刈りガマを構えて市ノ瀬に言いました。

 「何しに戻ってきた?偉そうに出て行ったくせに」

喉がカラカラになっていた市ノ瀬は、バスの中を漁って集めた飲料水を盛重にお金を払って買おうとしまた。

 「あんたバカでしょ。前から思ってたんだ。まだわかんないわけ?ここじゃお金もケータイも、あんたらが大好きなメイクもアクセも成績も、なんの意味もない」

 

●神矢は当分助けが来ないことを知っていました。バスの中を漁って手に入れたラジオを聞いていたのです。学校やバス会社がバスの遭難に気がついていれば大騒ぎになっているはずです。ところがラジオではバスの遭難事故を取り上げているニュースが全くありません。世間はここで起きた大惨事にまだ気がついていません。
 
絶望のどん底の中で、盛重だけが上機嫌です。草刈りガマで脅して自分が支配者になった気分でいます。
 
 「世界には序列が必要。一番力を持っているわたしが一番上。その次が食料を集めるのに貢献した神矢。薄井は素直にあたしに従ったからここ(三番目)でいい」

 女帝  盛重
 王族  神矢
 平民  薄井
 召使
 奴隷

 「問題は今野と市ノ瀬。食料と水は4人で分ける。最下位の奴隷には与えない」

今野は盛重の言いぐさにむかついて文句を言いました。

 「ちょっと。なんであんたが勝手にそんなこと決めてんのよ?」

 「あたしは、あんたたちと同じことしてるだけ。あんたたちは、教室で勝手にあたしを最下位に決めてたでしょ。世界には序列が必要、あんたは勝ち組、そう思ってたでしょ。最下位がヤだったら、ふたりで闘って決めたら」

 「何笑ってんのよ。わたしはいらない。ハルと闘うなんてありえない」

今野が市ノ瀬と闘う意思がないことを示すと、盛重は陰険なことを言い出しました。

 「あんたは召使。奴隷は市ノ瀬。どうする市ノ瀬。あんたはこれからずっとあたしの言いなり。明日も明後日も何にも食べられない。チャンスは今しかない。奴隷が嫌なら自分でその地位を勝ち取るの」

これまで空気を読んでうまく立ち回ってきたつもりの今野でしたが、ここではそのやり方が通用しません。今野はヒステリーを起こしていました。盛重は市ノ瀬をけしかけました。

 「市ノ瀬!あんたホントは今野のこと嫌いだったんじゃないの?ホントは思ってたでしょ。明らかに容姿も成績も今野のほうが上。おまけに要領よく姫澤さくらに取り入ってあんた以上に仲良くなって。自分の立場を奪った今野が、ホントは憎かったね。だったら今度は、あんたが今野の居場所を奪ってやればいい」

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2015年10月13日 (火)

「ゴルゴ13」第556話「地獄のダンサー 後編」を読む

高津財務相は、ゴルゴ13にジェーン・ペトロピッチの暗殺を依頼しました。ところが、ゴルゴ13は、すでに別の筋からジェーンの暗殺を依頼されていました。

ひとつの仕事で2か所から報酬をもらう……そういうさもしい所業はゴルゴ13の美学に反します。ゴルゴ13は高津財務相の依頼を問答無用で断ってしまいました。

このときです。なんと、ゴルゴ13が、麻生、いや高津財務相に背中を向けました。

 「無駄話に付き合う時間はない。命が惜しければ、このまま立ち去ってもらおう……」

こう言い残すと、ゴルゴ13は夕闇の中に去っていきました。

ゴルゴ13は依頼主に背中を向けることは絶対にありません。それなのに高津財務相にだけは背中を向けました。これは高津財務相を絶対的に信頼しているという証しです。

こういうシーンをあえて描いたのは、日ごろから「ゴルゴ13」を愛読しているという麻生太郎氏への出血大サービスです(たぶん)。何という心憎い演出ではありませんか!

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桜庭ななみ主演の深夜ドラマ「リミット」第1話を観る

好評だった(と思いたい)深夜ドラマ「リミット」が、再放送されています(東京12チャンネル毎週水曜日深夜27時20分)。このドラマには、山下リオのほかに、なんと、朝ドラ「まれ」のヒロイン役だった土屋太鳳も出演しています。

このドラマを楽しむためには、まず、主要な登場人物の性格をしっかり把握しておく必要があります。

今野水希(桜庭ななみ)は神奈川県立陽乃高等学校に通う高校2年生です。中学生のころはいじめられっ子で相当ひどいいじめを受けていました。しかし、陽乃高校に進学してからはうまく立ち回るようになり、いじめられることもなくなりました。

水希は、姫澤さくら(高田里穂)に取り入って、さくらに気に入られました。成績優秀で美人のさくらはクラスのリーダー的存在です。さくらと仲良くしていれば、ほかの生徒からいじめられることはありません。

 力を抜いて、空気を読んで、それが、この世界をうまく泳ぐためのルール……
 
水希の考えは卑屈です。それでも弱者には打算が必要です。水希はさくらと仲良くすることによって、いじめのない平穏な学校生活を手に入れることができました。

 人間は平等じゃない。優劣も、贔屓も、差別も当然ある。かわいい子、かっこいい子はそれだけで得だ。

 この学校という小さな世界は、きっとこれからも続いていく社会の縮図、これが社会の縮図なのだ。

不平等に苦しむ弱者にはそれなりの生き方がある……かつていじめられた経験のある水希は、学校という社会の縮図の中で、いかにうまく立ち回るかを考えていました。
 

●水希のクラスで、いじめの対象とされていたのは盛重亜梨紗(山下リオ)です。盛重はクラスメイトからはモリコと呼ばれてバカにされていました。モリコはマンガオタクでマンガを描くのが趣味です。いつもマンガを描いています。さくらは不細工なモリコを嫌っていました。みんなからいじめられるのは決まってモリコでした。モリコは「ありがとう」と「ごめんなさい」が言えません。モリコの頑なな態度がさらにいじめをエスカレートさせます。

気の弱い薄井千影(増田有華)は、さわらぬ神に祟りなしとばかり、いじめの矛先が自分に向かってこないよう、何を言われてもご無理ごもっともで、さくらたちには逆らわないようにしていました。ところが要領の悪いモリコにはそれができません。

 いじめられるほうにも原因がある

頑なで空気の読めないモリコは、いじめてくださいといわんばかりのオーラを発しています。

モリコはクラスメイトひとりひとりについて、だれから何回いじめを受けたかを克明に記録していました。やられたらやりかえす……モリコは自分をいじめたクラスメイトにいつか必ず復讐してやろうと考えていました。いじめるほうも陰湿ならモリコもかなり陰湿です。

●さくらグループの中心には、水希のほかに市ノ瀬ハル(工藤綾乃)がいます。市ノ瀬はさくらに同調して率先してモリコをいじめます。さくらに気に入られたいのか、市ノ瀬のいじめは情け容赦がありません。

市ノ瀬は、さくらが自分よりも水希と仲良くしていることに疎外感を感じていました。市ノ瀬はさくらに取り入っている水希をひそかに妬んでいました。水希は市ノ瀬が自分を妬んでいることに気づいていません。

●水泳部の日向晴明(鈴木勝大)は水希に好意を抱いていました。しかし水希は日向と仲良くすることをためらっていました。おそらくスポーツ万能でイケメンの日向は学校中の人気者です。さくらも日向に好意を抱いています。もし、水希が日向と仲良くしたら、さくらがへそをまげるかもしれません。そんなことにでもなればいじめの矛先が自分に向かってくるかもしれない……水希はそれをおそれていました。
 
●よっぱらいが道端で寝ていたら、普通は見て見ぬふりをするものです。関わり合いになってもろくなことはありません。冷たいといわれようが薄情といわれようがほとんどの人は見て見ぬふりをします。ところが、声をかけてよっぱらいを助けようとする正義感の強い生徒がいました。水希と同じクラスの神矢知恵子(土屋太鳳)です。
 
神矢は、モリコへのいじめがエスカレートしたとき、我慢できなくなって止めに入ったりもしました。

 「最低ね、あなたたち。子どもみたいないやがらせして恥ずかしくないの?盛重さんも盛重さんよ。どうしてずっと黙ってるの?こんなひどいことされているのに」
 
神矢は水希のクラスで唯一良識のある生徒です。水希に対しても、水希の内面を見透かすかのような辛辣な言葉を投げかけます。

 「姫澤さんに嫌われるのが、そんなに怖い?」
 

神矢は見てくれが地味で貧乏くさい生徒です。昭和の匂いがします(青い山脈かよ)。群れから離れていつもひとりでいます。

●さて、話は前後します。陽乃高校には4泊5日の交流キャンプといういイベントがあります。交流キャンプはクラス単位で行われます。水希のクラスは2年4組です。担任の竹田絵里加(森谷ふみ)に引率されて水希たちは観光バスに乗り込みました。キャンプ地は山梨県の甲府にある「交流の郷」です。
 
副担任の五十嵐亘(窪田正孝)は風邪をひいたため交流キャンプには行かれなくなりました。先生の中にはこういうイベントが大好きな先生とできれば参加したくないと考えている先生がいます。五十嵐先生は後者です。風邪をひいたことをもっけの幸いとほくそえんでいました。
 
バスが無事キャンプ地に着いたら、担任の竹田先生から副担任の五十嵐先生に連絡が入ることになっていました。五十嵐先生は学校で竹田先生からの連絡を待っていました。たまたまかかってきた高田先生からの電話を、五十嵐先生は竹田先生からの電話だと思い込んでしまいました。学校ではバスが無事キャンプ地に到着したことになっていました。

●ところが本当は大変な事になっていました。甲府のキャンプ地に向かうはずのバスが途中で道を間違えたのです。バスは静岡県の富士宮に向かっていました。運転手は道を間違えたことに気がついていません。過労のため意識が朦朧としています。バスは間違えた道をどんどん進んでいきました。どうやら青木ヶ原の樹海に向かっているようです。やがて運転手が居眠りをはじめました。バスはカーブを曲がり切れずに崖から数十メートル下に転落してしまいました。大惨事です。

乗っていた2年4組の生徒のほとんどが即死です。運転手も担任の竹田先生も死にました。

水希は奇跡的に生きていました。水希がバスを這い出して外に出ると、神矢と薄井がいました。神矢と薄井も生きていました。
 
助けを呼ぼうとしても、ケータイは圏外でつながりません。
 
水希たちはほかに生存者がいないか探しました。まず、車体の下敷きになっていた市ノ瀬を見つけました。市ノ瀬も生きていました。

気になるのはさくらです。残念ながらさくらはバスから放り出されて絶命していました。

あと、しぶとく生きていたのはモリコです。さんざんバカにされていじめられていたモリコにとって、さくらの死は立場を逆転する絶好のチャンスです。大惨事の中でモリコが笑いをかみ殺して言いました。

 「姫澤さくらが死んだ。最高。ざまあみろ。あたしもずっと思ってたんだ。死ねばいいのに。人のことさんざんバカにした報いね。自業自得」

茫然とする水希たちの前で、モリコはけたたましく笑い出しました。

●この大惨事の中で生きていたのは、今野水希、神矢、薄井、市ノ瀬ハル、モリコの5人です。外部と連絡の取れない極限状況の中で、いよいよサバイバルゲームの始まりです。

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2015年10月 4日 (日)

ゴルゴ13 vs 麻生太郎

麻生氏が話題にしてくれたおかげで「ゴルゴ13」がにわかに注目されています。

ゴルゴ13に撃たれる? =麻生氏似の財務相登場にご満悦

時事通信 10月2日(金)16時24分配信

 「麻生太郎がゴルゴ13に撃たれるのか(後編を)楽しみにしている」―。

 麻生太郎財務相は2日の記者会見で、愛読する漫画「ゴルゴ13」に、自身に似せた日本の財務相が登場したことに、ご満悦の様子だった。

 雑誌「ビッグコミック」(小学館)に連載中のゴルゴ13は、人並み外れた狙撃の腕を持つ国際テロリストの活躍を描く人気漫画。

 最新号は、米国のファンドを運用する女性が、国債の売買を武器に日本政府に戦いを挑む前編。麻生氏似の「高津財務相」が国会で、日銀の国債買い入れは財政赤字の穴埋めだと追及されるシーンも出てくる。

 外国人投資家に日本国債を売り浴びせられるという政府にとって考えたくない事態がテーマだが、麻生氏は「国際金融に対する関心が高まるのはいいことだ。(作者の)さいとう・たかを氏に礼状でも書こうか」と、終始口は滑らかだった。

本物の財務大臣にこんなに喜んでもらえるなら、名前を高津財務相よりももっと似せて浅尾財務相ぐらいにしてもよかったかもしれません。でも、高津財務相というのもなかなかのものですよ。川崎市に住んでいる人は大笑いしたのではないでしょうか(川崎市の地図を見て、「高津」から「麻生」が連想されることを確かめましょう)。

    ↓
http://map.yahoo.co.jp/maps?lat=35.60373340&lon=139.50575530&z=13

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