「ゴルゴ13」第557話「33+G 中編-2」を読む
PART 1 貫通なるか
救出への掘削作業17日目……ついに坑道の天井をドリルが貫通しました。貫通したことを察知してドリルが停止しました。
これで助かる……救出を待っていた33人の作業員は歓喜に沸きました。
現場監督のウリヨアは、ドリルの先端にスプレーで潤滑油(?)を吹きかけてから、デューク・トウゴウに訊ねました。
「デューク、もう一度だけ聞くぞ。あんたを頭数に入れなくていいんだな?」
デューク・トウゴウの気が変わっていないことを確認すると、デュークを除く33人の作業員が救出を待っていることを地上に伝えるメモを袋に入れてドリルに貼り付けました。ドリルを石で叩いて合図を送ると止まっていたドリルが動き出しました。
PART 2 リフィーディング症候群
だいぶ時間が経過して……貫通した穴から筒状の輸送カプセルが送られてきました。飢餓状態に置かれていた作業員たちは食い物が送られてきたと期待しましたが残念でした。送られてきたのは腹の足しになりそうもないドリンク剤(?)でした。食い物が送られてこないことに作業員たちは激怒しました。
デューク・トウゴウはリフィーディング症候群について知っていました。
「俺たちは、ひどい飢餓状態に置かれていた……ここで急速に栄養補給を行うと、水分や電解質のバランスが急激に変わって……最悪死に至る……」
デューク・トウゴウは、しばらくはドリンク剤で我慢していればそのうち美味い物が送られてくるからと、ガッカリしている作業員たちを諭しました。
PART 3 9・11
落盤事故から37日が経過して9月11日になりました。地上に出られるまでにはまだ時間がかかります。それでも地下坑内の暮らしは大幅に改善されました。食い物もリクエストできるし、テレビ電話で家族と話もできるようになりました。飢餓状態のときは、誰かが死んだらそいつの人肉をみんなで分けて食べようなどと相談していたのがうそのようです。そういう物騒な話もなくなり、作業員たちの表情もすっかり明るくなりました。運動もしないで美味い物をけ食べていたため、ブクブク太り出す作業員も目立つようになりました。
デューク・トウゴウのことをアミーゴと呼んで、親しく話しかけてくる男がいました。前編で東洋通信のグータラ社員の梶本が最初にインタビューをしようとしたセダベルです。
前編でセダベルはデューク・トウゴウについて、その正体を知らないままこんな感想を述べていました。
「あの男は俺達を助けるために、神が遣わしたのかっ!?それともあの男は悪魔か死神で、神は、あの男を封印しようと、落盤を起こされのだろうか!?」
セダベルはデューク・トウゴウと世間話を始めました。
「アミーゴ、今日は9月11日だが、何の日か知ってるか?」
9月11日といえばすぐ思い浮かぶのは2001年に起きた米国の同時多発テロです。しかしチリでは19××年9月11日に起きたチリ・クーデターを9・11といっていました。
このクーデターでチリの大統領が死亡していますが、戦死なのか暗殺なのか自殺なのか、死亡の原因は伏せられたままです。まさか目の前にいるデューク・トウゴウが大統領を暗殺した犯人だとは、セダベルには思いもよらないことでした(ゴルゴ13がチリ大統領を暗殺したというエピソードが第何話に出てくるのかは不明です)。
すっかり親しくなったセダベルにデューク・トウゴウが頼みごとをしました。自分に代わって地上にリクエストしてほしいものがあるというのです。
ひとつは、トルコ産の"トレンド"という葉巻とオイルライターです。"トレンド"はゴルゴ13愛用の葉巻です。実在はしない架空の葉巻らしいです。
次に栄養調整食品の"カロリーマイト"です(ずばり、カロリーメイトと言ってはなぜいけないのでしょうか?大塚製薬に御社の製品の名前を「ゴルゴ13」で使わせてほしいとお願いすれば大喜びで許可してくれると思うのですが……)。このカロリーマイトは腹が減るからというのは表向きの理由です。本当は籠城用の備蓄食品です。
最後にデューク・トウゴウは奇妙なものをリクエストしました。ドミノタイルです。ドミノタイルといっただけでセダベルには話が通じました。日本でのトランプや麻雀と同じように南米ではドミノゲームがよく知られているのかもしれません。
PART 4 俺に時間をくれ
38日目午後6時前……作業員たちは送られてきたドミノタイルでドミノゲームに興じていました。ドミノゲームはセダベルが圧倒的に強いみたいです。
午後6時は礼拝の時間です。礼拝には参加しないデューク・トウゴウですが、礼拝の前に頼みごとをしました。明日の午後1時過ぎにテレビ電話とドミノタイルを使わせてほしいというのです。明日の午後1時のテレビ電話は元ボクサーの男に割り当てられた時間です。
「わずかでいい……時間をくれないか。俺が借りるのは正味1分ほどだ。画面が途中で変わったら、上は戸惑うと思う。その間、あんたは上と会話を続けてくれ。音声会話や、上からの画像は変化しないから、あんたはしらんぷりを決め込んでくれていれば、それでいい……」
元ボクサーの男もいまではすっかりデューク・トウゴウに従順になっていました。戸惑いながらもデューク・トウゴウの頼みを聞いてくれました。
「何を言いたいのかさっぱりわからんが、その通りにするよ」
PART 5 乱れる画面
39日目、9月13日午後1時過ぎ。デューク・トウゴウはドミノタイルを使って地上の誰かに何かを伝えました。正味1分、元ボクサーの割り当て時間を使ってテレビ電話でドミノタイルの映像を流したのです。何を伝えようとしたのかは不明です。
PART 6 いたずらだろう?
地上ではテレビ電話システムの乱れが話題になっていました。しかしシステムはすぐに正常に戻っています。だれかのいたずらだったとして、その犯人捜しをしている余裕はありません。今は難航している救出作業を急ぐほうが先決です。テレビ画面の乱れについては特に原因究明はされませんでした。
PART 7 NSA、動く
落盤事故から44日目、9月18日。
米国メリーランド州にある国家安全保障局(NSA)の本部では、特別分析班チーフのミック・モチヅキがゴルゴ13のゆくえを追っていました。
ミック・モチヅキはコピアコ鉱山の経営者2名が射殺されたのはゴルゴ13の仕事であると睨んでいました。しかし経営者が射殺された時刻が落盤事故の前か後かは不明です。
もし落盤事故の前に2名の経営者が射殺されていたとしたら、その後ぷっつりと姿を消してしまったゴルゴ13は、落盤事故で地下に閉じ込められた作業員の中に紛れ込んでいる可能性があります。そう睨んだミック・モチヅキは落盤事故に関して部下に次のような指示を出しました。
「よし、今まで差し入れられたすべての物資のリストを作ってくれ!それにテレビ電話も通じたんなら、その画像も入手してくれ!」
困ったことになりました。ゴルゴ13大ピンチです。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント