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2015年11月26日 (木)

「ゴルゴ13」第557話「33+G 中編-2」を読む

PART 1   貫通なるか
救出への掘削作業17日目……ついに坑道の天井をドリルが貫通しました。貫通したことを察知してドリルが停止しました。

これで助かる……救出を待っていた33人の作業員は歓喜に沸きました。

現場監督のウリヨアは、ドリルの先端にスプレーで潤滑油(?)を吹きかけてから、デューク・トウゴウに訊ねました。

 「デューク、もう一度だけ聞くぞ。あんたを頭数に入れなくていいんだな?」

デューク・トウゴウの気が変わっていないことを確認すると、デュークを除く33人の作業員が救出を待っていることを地上に伝えるメモを袋に入れてドリルに貼り付けました。ドリルを石で叩いて合図を送ると止まっていたドリルが動き出しました。


 
 
PART 2   リフィーディング症候群
だいぶ時間が経過して……貫通した穴から筒状の輸送カプセルが送られてきました。飢餓状態に置かれていた作業員たちは食い物が送られてきたと期待しましたが残念でした。送られてきたのは腹の足しになりそうもないドリンク剤(?)でした。食い物が送られてこないことに作業員たちは激怒しました。

デューク・トウゴウはリフィーディング症候群について知っていました。

 「俺たちは、ひどい飢餓状態に置かれていた……ここで急速に栄養補給を行うと、水分や電解質のバランスが急激に変わって……最悪死に至る……」

デューク・トウゴウは、しばらくはドリンク剤で我慢していればそのうち美味い物が送られてくるからと、ガッカリしている作業員たちを諭しました。

 

PART 3   9・11
落盤事故から37日が経過して9月11日になりました。地上に出られるまでにはまだ時間がかかります。それでも地下坑内の暮らしは大幅に改善されました。食い物もリクエストできるし、テレビ電話で家族と話もできるようになりました。飢餓状態のときは、誰かが死んだらそいつの人肉をみんなで分けて食べようなどと相談していたのがうそのようです。そういう物騒な話もなくなり、作業員たちの表情もすっかり明るくなりました。運動もしないで美味い物をけ食べていたため、ブクブク太り出す作業員も目立つようになりました。

デューク・トウゴウのことをアミーゴと呼んで、親しく話しかけてくる男がいました。前編で東洋通信のグータラ社員の梶本が最初にインタビューをしようとしたセダベルです。

前編でセダベルはデューク・トウゴウについて、その正体を知らないままこんな感想を述べていました。

 「あの男は俺達を助けるために、神が遣わしたのかっ!?それともあの男は悪魔か死神で、神は、あの男を封印しようと、落盤を起こされのだろうか!?」

 

セダベルはデューク・トウゴウと世間話を始めました。

 「アミーゴ、今日は9月11日だが、何の日か知ってるか?」

9月11日といえばすぐ思い浮かぶのは2001年に起きた米国の同時多発テロです。しかしチリでは19××年9月11日に起きたチリ・クーデターを9・11といっていました。

このクーデターでチリの大統領が死亡していますが、戦死なのか暗殺なのか自殺なのか、死亡の原因は伏せられたままです。まさか目の前にいるデューク・トウゴウが大統領を暗殺した犯人だとは、セダベルには思いもよらないことでした(ゴルゴ13がチリ大統領を暗殺したというエピソードが第何話に出てくるのかは不明です)。

すっかり親しくなったセダベルにデューク・トウゴウが頼みごとをしました。自分に代わって地上にリクエストしてほしいものがあるというのです。

ひとつは、トルコ産の"トレンド"という葉巻とオイルライターです。"トレンド"はゴルゴ13愛用の葉巻です。実在はしない架空の葉巻らしいです。

次に栄養調整食品の"カロリーマイト"です(ずばり、カロリーメイトと言ってはなぜいけないのでしょうか?大塚製薬に御社の製品の名前を「ゴルゴ13」で使わせてほしいとお願いすれば大喜びで許可してくれると思うのですが……)。このカロリーマイトは腹が減るからというのは表向きの理由です。本当は籠城用の備蓄食品です。

最後にデューク・トウゴウは奇妙なものをリクエストしました。ドミノタイルです。ドミノタイルといっただけでセダベルには話が通じました。日本でのトランプや麻雀と同じように南米ではドミノゲームがよく知られているのかもしれません。

 

PART 4   俺に時間をくれ
38日目午後6時前……作業員たちは送られてきたドミノタイルでドミノゲームに興じていました。ドミノゲームはセダベルが圧倒的に強いみたいです。

午後6時は礼拝の時間です。礼拝には参加しないデューク・トウゴウですが、礼拝の前に頼みごとをしました。明日の午後1時過ぎにテレビ電話とドミノタイルを使わせてほしいというのです。明日の午後1時のテレビ電話は元ボクサーの男に割り当てられた時間です。

 「わずかでいい……時間をくれないか。俺が借りるのは正味1分ほどだ。画面が途中で変わったら、上は戸惑うと思う。その間、あんたは上と会話を続けてくれ。音声会話や、上からの画像は変化しないから、あんたはしらんぷりを決め込んでくれていれば、それでいい……」

元ボクサーの男もいまではすっかりデューク・トウゴウに従順になっていました。戸惑いながらもデューク・トウゴウの頼みを聞いてくれました。

 「何を言いたいのかさっぱりわからんが、その通りにするよ」

 

PART 5   乱れる画面
39日目、9月13日午後1時過ぎ。デューク・トウゴウはドミノタイルを使って地上の誰かに何かを伝えました。正味1分、元ボクサーの割り当て時間を使ってテレビ電話でドミノタイルの映像を流したのです。何を伝えようとしたのかは不明です。

 

PART 6    いたずらだろう?
地上ではテレビ電話システムの乱れが話題になっていました。しかしシステムはすぐに正常に戻っています。だれかのいたずらだったとして、その犯人捜しをしている余裕はありません。今は難航している救出作業を急ぐほうが先決です。テレビ画面の乱れについては特に原因究明はされませんでした。

 

PART 7   NSA、動く
落盤事故から44日目、9月18日。
米国メリーランド州にある国家安全保障局(NSA)の本部では、特別分析班チーフのミック・モチヅキがゴルゴ13のゆくえを追っていました。
 
ミック・モチヅキはコピアコ鉱山の経営者2名が射殺されたのはゴルゴ13の仕事であると睨んでいました。しかし経営者が射殺された時刻が落盤事故の前か後かは不明です。

もし落盤事故の前に2名の経営者が射殺されていたとしたら、その後ぷっつりと姿を消してしまったゴルゴ13は、落盤事故で地下に閉じ込められた作業員の中に紛れ込んでいる可能性があります。そう睨んだミック・モチヅキは落盤事故に関して部下に次のような指示を出しました。

 「よし、今まで差し入れられたすべての物資のリストを作ってくれ!それにテレビ電話も通じたんなら、その画像も入手してくれ!」

困ったことになりました。ゴルゴ13大ピンチです。

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2015年11月21日 (土)

ビートルズのトリビュートバンド「THE RETURN」の来日公演

ビートルズのトリビュートバンド「THE RETURN」が来日して全国ツアーを行っています。

 The Return 日本公演2015 公式サイト → http://www.the-return.taps.jp/

11月29日(日)に「狛江エコルマホール」で公演がありますが、チケットが売れていないみたいで気の毒です(公演一週間前だというのにいまだに空席あり)。主催が「一般財団法人 狛江市文化振興事業団」のみというのがなんとも……。

「おおっ、似てる~!!」とか「う~ん、ちょっと残念」とか、往年のビートルズファンにはけっこう楽しめると思うのですが、来日公演が行われている事実そのものがほとんど知られていないのではないでしょうか。

閑古鳥が鳴いているこのブログで紹介してもほとんど効果ありませんが、気は心ということで紹介します。ちなみに狛江エコルマホールのキャパシティは728人です。

 狛江エコルマホールの公式Webサイト → http://www.ecorma-hall.jp/

 

She Loves You

 

I Want To Hold Your Hand

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2015年11月13日 (金)

「ゴルゴ13」第557話「33+G」をより楽しむための参考資料

Wikipediaは、「コピアポ鉱山落盤事故」について、「事故の発生」と閉じ込められた作業員の「耐久生活」を次のように解説しています。

事故の発生
8月5日作業員は2つのグループに分かれて作業をしていた。まず地下460メートル地点で落盤事故が発生した。落盤による大量の土砂は、作業員の3メートル手前まで押し寄せた。事故発生当時、坑道出口付近で作業していたグループは速やかに脱出したが、坑道奥で作業していた33名は坑内に閉じ込められた。事故に遭遇した労働者は皆男性で、32名のチリ人と1名のボリビア人であった。閉じ込められた作業員は通気孔からの脱出を模索したが、通気孔にはステップが無く脱出は不可能であった。その後、8月8日にも地下510mの地点でも落盤があり、坑道は闇に包まれた。鉱山のオーナーは、事故発生後9日間行方をくらまし、8月13日にやっと人々の前に姿をあらわし「私たちにとって最も重要な事は、労働者とその家族だ」と述べたが、逆に被害者家族より非難を受けた。

 事故後18日目の生存確認
生存は絶望視されていたが、救助隊は確認のために地下700mにある避難所まで直径8センチのドリルで穴を掘った。22日にドリルを引き上げたところ、先端に赤い文字で「我々33名は待避所で無事である」旨をスペイン語で手書きされた紙が括りつけられているのを発見、坑内に閉じ込められた33名が地下700mの避難所で生存していることが確認され、さらにはこの中にはある従業員による妻宛に自分が元気であることを伝えるラブレターなども含まれていた。そして救助隊が直径10センチとなった穴にファイバースコープを挿し込むと地下の鉱員の顔が映し出された。翌23日には音声での通話に成功している。救出活動を現地で見守っていたチリ大統領セバスティアン・ピニェラはこの生存確認を受けて、現地に集まっていた鉱夫の家族たちに対して拡声器で生存確認を報告、現地は歓声に包まれ、首都サンティアゴでもラッパが吹かれるなど歓喜の渦に包まれ、チリ各地で広場に集まったり、車のクラクションを鳴らしたりして生存を祝った。

 地下での被災状況
避難所には通風口が繋がっていたため、彼らは生存していたが、食料や水はわずかにしかなく、1日おきに1人当たり小さじ2杯分の缶詰のマグロ・牛乳1口・ビスケット1枚を分配してしのいでいた。彼らが発見された時の備蓄食料は、あと2日分しか残っていなかった。保健相によると作業員は、1人あたり平均で体重が10kg落ちた。避難所の広さは約50平方メートルだが、長さ約1.8キロの坑道に通じており、地下620mの作業場(ワークショップ)や坑道最深部まで自由に歩き回ることができ、排泄物も場所を決めて坑道奥に廃棄していた。33人は坑道内のトラックのバッテリーを使ってヘッドライトを充電し、光源にしていた。

耐久生活
鉱夫たちは50平方メートルほどのシェルターにいたが、通気性に問題があったため、坑道に移らざるをえなかった。シェルターのほか、動きまわるスペースのある2キロメートルほどの地下通路があったのである。鉱夫たちはバックホーを使って地下水を確保している。鉱山シャフトの内側にある搬送機のラジエーターからもある程度水を得ることができた。食料は限られていたため、一人あたり8キログラムほど体重を落としている。緊急時にと残されていた食料はわずか2、3日分であり、彼らはそれを分け合って、発見されるまでの2週間をやりくりしたのだ。彼らが口にしていたのは「48時間ごとにマグロの缶詰を小ぶりのスプーンに2杯、牛乳を一口、ビスケットを1枚」、桃の一切れであった。明かりにはトラックのバッテリーを使ってヘルメットのランプを灯している。

退院後のマリオ・セプルベダの言葉によれば33人は「一人一票制の民主主義を採用していた。脱出口を探したり、士気を高めようと皆で頑張った」。またこうも言っている。「もし関係が破綻したら、みんなお仕舞いってことは誰もがわかってた。毎日別の人間が何かしら不始末をやらかしたけど、そういうときはいつでも、みんながチームとして士気を維持しようとしていた」。セプルベダはじめ古参の鉱夫は若い人間をよく助けたが、鉱山内で起こったことの詳細、特に絶望的だった最初の何週かに起こったことについては口を閉ざすよう皆で誓った、と彼は言った。そういった出来事の中には、仲間が死亡した場合にその肉を食べることも真剣に検討したことも含まれていた。

アバロスもまた、地下で生き残るため空腹に打ち勝とうと力をあわせた。「まとまりになれば、頑張りとおせる。希望をもっていられる。生き残るとみんなが信じなければいけなかった」と語っている。かつてプロのサッカー選手だったフランクリン・ロボスは自分たちが素晴らしいサッカーチームであるかのように行動したという。「酷いことが起きたけど協力しあった。何もなかった、水が飲みたくても飲み物なんてどこにもなかった時も。僕らは協力しあったんだ。食べるものもなくて、スプーン一杯のツナ缶を口にしたぐらいだった時も。それで本当に結束することができた」。


さらに、「ロケットニュース24」というサイトでは「チリ落盤事故を奇跡に導いた5つの理由」と題して、アメリカの科学情報サイト「クリスチャン・サイエンス・モニター」が挙げている救出成功の要因を紹介しています。

チリ落盤事故を奇跡に導いた5つの理由

2010年10月15日

世界中がかたずを飲んで見守ったチリのサンホセ鉱山落盤事故の救出作業。33名の作業員は全員無事に救出され、チリ国内だけでなく世界に感動をもたらした。

しかし落盤事故発生当初は、17日間も連絡の途絶えていた作業員たちの安否は絶望的とされ、全員死亡したものと考えられていたのだ。救出の奇跡はいったいどのようにして起こったのだろうか?アメリカの科学情報サイトが救出成功の要因について5つの理由を挙げている。

今回の救出作業は、まず作業員たちを発見することから始まっている。地中のどこに彼らがいるのか、地上からはまったく判断できなかった。30回以上の失敗が重ねられた後に、無事に彼らのいるポイントを確認、同時に生存が確認されたそうだ。

地下700メートルの位置に彼らを発見したものの、そこからが本当の戦いの始まりだった。地質学者は当初、「700メートルの地中に、救助用の穴を開けるのは至難のわざ。それは散弾銃で蚊を打ち抜くのと同じくらい難しい」と語り、作業の難しさを予測していた。

その困難な作業を成功に導いた理由ついて、科学情報サイト「クリスチャン・サイエンス・モニター」は次のように分析している。

1.献身的な家族の力
事件発生後、鉱山会社から報告を受けた作業員たちの家族は、すぐに政府と政治指導者たちに働きかけ、早急な救助を求めた。そして、作業員たちとの交信が可能になると、外部から会話を通じて作業員たちを励まし、必要な物資を送り続け、支援の手を一切緩めなかった。

2.冷静であり続けた作業員たち
生存確認された後に、鉱山大臣のロレンス・ゴルボルン氏は、作業員たちとの交信を試みた。その際、第一声に「助けてくれ!」と悲鳴の声が上がると信じていた。ところが交信に応じた人物は「今、チーフに代わります」ととても冷静で、まるで地上にいるのと変わらない対応だったという。作業員らは常に冷静であり規律正しく生活し、重機械を使って生活環境をより快適なものにするように作業を続けていたという。

3.最新鋭の作業機器
現場で用いられた機器は、すべて最新技術によって開発されたものだ。メーカーが提供していたドリルは、救助専用に開発されたもので、困難な救出作業は、迅速かつスムーズに進んでいった。

4.政府の積極的な対応
救出のために政府は支援を惜しまず、セバスティアン・ピニェラ大統領とロレンス鉱山大臣は、危機を機会に変えるように積極的に努めた。大統領は支援を得られるように企業や他国に働きかけ、ロレンス大臣は家族とともに現場に野営し、現場で指揮をとった。また、ジェイム厚生大臣は作業員の健康管理と支援物資提供プログラムを監督。地元自治体は家族の野営のために、清潔な環境と料理、カウンセリングを受けられるように、専用の人員を派遣していたそうだ。

5.惜しみない支援
救出には莫大な資金がかかったのだが、政府はその拠出をまったく惜しまなかった。救助のために3つの採掘会社を雇い、国営会社を通じて約12億円の予算が投じられた。作業員の生存が確認された後には、民間企業もこぞって支援に参加し、電話会社は家族と現場作業員、現地リポーターのために携帯電話を寄付。政府は無線通信環境を整え、チリの南部の漁業関係会社からは、山で不足しがちな海産物が大量に供給されていたのだ。またチリで活動している大道芸人や歌手が現地を訪れ、家族に芸を披露し現場の雰囲気を明るく保つように努めていたという。

ちなみに、現場では宣伝広告活動を自由に行うことができたそうだ。作業員たちにサングラスを提供していたオークレー社は、約33億円の広告効果を得ている。

まさに奇跡というに相応しい救出劇であったが、国連の国際労働機関は次のように指摘している。「サンホセで発生した落盤事故は、世界的に見て珍しいことではない。全世界の1パーセントの人たちが、鉱業に関する仕事に携わっており、毎日6,300人の人が鉱業労働関連の事故や疾病に遭遇し、年間230万人が命を落としている」として、チリの教訓に学ぶように呼びかけている。

33名の生還は惜しみない支援の連鎖によるものだったのではないだろうか。これを教訓に、世界中の鉱山作業者がより安全に作業できることを願う。

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2015年11月12日 (木)

「ゴルゴ13」第557話「33+G 中編-1」を読む

PART 1 新入りの実力
避難所の食糧備蓄が少なくなっていたのにはわけがありました。作業員のつまみ食いです。つまみ食いをした分の補充を怠っていたため、食糧の備蓄がスカスカになっていました。

避難所の備蓄食糧をめぐって、作業員同士の罵り合いが始まりました。止めに入ったのは新入りのデューク・トウゴウです。

 「騒ぐな。腹が減るぞ……」

デューク・トウゴウが注意したのは赤鼻の男(名前は不明)です。男は元ボクサーでした。注意されたことに腹を立てた男はデューク・トウゴウに殴りかかってきました。ところが、男のパンチはことごとく空振りです。男はデューク・トウゴウのボディブロー一発で気を失ってしまいました。

避難所に閉じ込められた33人の作業員は、どこの馬の骨かわからなかった新入りが実はタダモノではない恐ろしい男であることを瞬時に悟ったと思います。

 

PART 2 配給制始まる
水10リットル、牛乳16リットル、ジュース18リットル、ツナ缶20個、クラッカー96袋、あとは缶詰数個……これが避難所に備蓄されていた飲み物と食糧のすべてです。これを34等分して救援物資が届くまで生き延びなくてはなりません。

かりに食糧を10日間持たせるとすれば、スプーン1杯のツナが1人当たりの1日分の食事ということになります。厳しくてもそれで頑張るしかありません。

 

PART 3 思案するG
作業員の中にエリアスというキリスト教プロテスタント福音派の牧師がいました。エリアスは神と鉱山労働者の守護聖人に祈ろうと言い出しました。

無神論者のデューク・トウゴウは神に祈るといった宗教的行為には興味がありません。作業員がお祈りをしている間、席を外して避難所の外に出ました。

 「……地上からの救出ルートがここに開通したとして、問題は、その後だ……俺は33人と一緒に、のこのこ出て行く訳にはいくまい……」

デューク・トウゴウは考えました。おそらく地上では落盤事故の報道で世界中のマスコミが集まってごった返しているはずです。衆人環視の中、殺し屋ゴルゴ13の顔を世界中にさらすわけにはいきません。

救出云々はともかくとして、もしゴルゴ13が落盤事故で避難所に閉じ込められているという情報が地上で広まったら、ゴルゴ13の存在を疎ましく思っている連中がゴルゴ13の抹殺を企てるかもしれません。方法は簡単です。意図的にもう一度落盤事故を起こすのです。上空から爆弾でも投下すれば33人の作業員もろともゴルゴ13を圧殺することができます。ゴルゴ13の息の根とめるためなら多少の犠牲はやむをえません。

 「俺がここに居ることを、(絶対に)地上に知られてはならん!!……」

これがデューク・トウゴウの結論です。

 

PART 4 ヌカ喜び?
落盤事故が起きてから5日目になりました。地上の救助隊は、生存確認のため、直径8センチのドリルで穴を掘っていました。地下の作業員のいる場所からもドリルの振動音が聞こえるようになりました。
 
しかしこれで助かったと思うのはまだ早いです。ドリルが作業員のいる場所(避難所とそれに続く1.5kmの坑道)に達してくれないことにはヌカ喜びになります。

 

PART 5 ソクシンブツ!?
6日目になりました。ドリルの音は大きくなった後、次第に小さくなっていきました。ドリルは作業員のいる坑道に刺さらないまま通過していきました。"空振り"です。

13日目になりました。地上からは何度も何度もドリルで穴を掘っています。しかし依然として"空振り"が続いていました。それでもいつかは必ず坑道にドリルが貫通すると信じて作業員は耐えていました。

現場監督のウリヨアがみんなを励ますように提案しました。

 「そうだ。穴が貫通した時、あわてないように、今からメッセージを用意しておこう!」

ウリヨアがメッセージを書き始めました。

 「我々は元気で避難所にいる。34人全員……」

34人はまずい……デューク・トウゴウは自分の存在を知られるわけにはいきません。

 「それなんだが……34人ではなく33人、としてくれないか?……俺の存在は地上に伝えないで欲しい」

これは誰が聞いても不可解な提案です。納得がいく説明が必要です。自分が殺し屋であることを伏せたまま、デューク・トウゴウは鉱山の経営者であるケネスとビーンを殺害したことを打ち明けました。地上に戻れたとしても殺人犯として逮捕されるだけだからここに残るというのです。

残って瞑想したまま絶命して即身仏になるつもりです。ゴルゴ13が本当に即身仏になってしまったら最終回です。もっともチリ鉱山の落盤事故は2010年の話です。その後もゴルゴ13は活躍しています。即身仏にはならずに何らかの方法で地下から脱出したはずです。どのようにして脱出したかは謎です。

 「自分のことは自分で始末する……とにかく、あんたらは地上に戻ったら、俺のことは一切忘れると約束してくれれば、それでいい……」

現場監督は戸惑いながらもデューク・トウゴウの要求を受け入れて地上には33人と伝えることにしました……。

 

PART 6 俺はいらない
15日目になりました。ドリルの貫通はまだです。一人スプーン一杯……これが最後の食糧です。

 

PART 7 成功なるか……
17日目になりました。朝です。いよいよその時がやってきました。いままさにドリルが坑道に貫通しようとしています……。

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2015年11月 6日 (金)

ビートルズ ベストヒット曲集(うそ)

Because

 

A Hard Days Night

 

Tthe End

 

Get Back

 

Yesterday

 

Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise)

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