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2016年5月26日 (木)

「ゴルゴ13」第562話「Gの遺伝子 中編-1」を読む

PRISMシステム管制局に与えられた最重要ミッションの一つは"Gのルーツの探索"です。Gのルーツを探ってGの弱みを握り、Gに"首輪"をつけようというのです。このミッションは大統領命令です。Gに"首輪"をつけようとしているのは大統領です。

大統領はテロリスト集団がGを雇うことを恐れていました。
 
PRISMシステム管制局のカーク局長は、ベールに包まれているゴルゴ13のルーツをネット上で探るなんて所詮無駄だと内心では考えていました。
 
無駄な探索を任されている部下からも苦情です。

 「"G"みたいなプロはネットに上がるような情報を、残しませんって、局長……」

思いは同じということでカーク局長もぼやき節です。
 
 「確かに僕も、そう思うけど、予算が出ている以上……探さなきゃならんのだよ。」
 

闇夜に鉄砲を撃つような努力でもときには報われることがあります。カーク局長はフランスのネット検索ワードランキングで"Faette Gobert(ファネット・ゴーベル)"という聞いたことのない名前が第1位になっていることが気になりました。

ファネット・ゴーベルはライフルという地味なスポーツの選手です。まだ14歳の中学生です。ファネットは身体能力が優れているだけでなく、頭脳明晰で音楽や美術の才能もハイレベルです。"文武両道"の天才美少女として日刊紙『キニコス』に写真が掲載されたことがきっかけとなって、にわかにフランスのネット市民の注目がファネットに集まっていました。

「モンマルトルの丘美術館」で公開中のファネットの作品は"ゴルゴダの呼び声"というタイトルがつけられています。ゴルゴダの丘で磔になったイエス・キリストの受難を連想させる作品です。
 
カーク局長は、ファネット・ゴーベルがライフルを構えている写真を見て胸騒ぎがしました。ライフルを構えたファネットの眼光がGにそっくりだったからです。
 
ゴルゴダの丘、ファネットの眼光……気になりだしたカーク局長はファネットの身辺調査を開始しました。ハッキングによってフランスの市民籍データベースを検索したところ、ファネット・ゴベールの登録は10年前で4歳のときにゴベール夫妻の養女になっていました。実の親は不明です。
 
さらにハッキングによってドーピング検査の結果もわかりました。ファネットにはアルコールに弱いという極東民族固有の特徴がありました。決定的証拠とはいえませんが傍証にはなります。Gの外見的特徴もまさに極東民族のそれです。
 
ハッキングができてもネットで手に入る情報には限界があります。ファネットとGの関係について、ここから先はファネット自身に直接接触するしかありません。

 
カーク局長はマクレラン長官にファネットと接触する許可を求めました。
 
 「彼女に接触して、もし"Gの娘"でなかったら、どうする気だね……?」

 「Gに首輪を付けようとしていたなんてことがバレたら……ホワイトハウスは蜂の巣です。」
 

もしバレたら、ホワイトハウスは一個師団(=ゴルゴ13)に襲撃されることになります。そのとき、責任を問われるのはマクレラン長官です。マクレラン長官にとってはとんだ貧乏くじです。ため息も出ようというものです。でも許可しないわけにはいきません。上司はつらいです。

 
 

PART 1 スザナという女
ファネット・ゴーベルは夢に出てくる世界を探してモンマルトル西南部の繁華街を彷徨っていました。学校は無断欠席です。
 
ファネットは路地裏で1枚の古びたポスターを見つけました。"ハンガリー狂詩曲"というバーのポスターです。ポスターには店で働く女の子たちの写真の下に2枚の顔写真が張られていました。1枚は店長のアルトゥール・セル、もう1枚はヘゲドゥシュ・スザナというバイオリニストの写真です。スザナには涙ぼくろがあります。なんとファネットの夢の中に出てくるあの女性ではありませんか。
 
ファネットは、自分とそっくりな容姿といい、バイオリニストという音楽の才能といい、スザナが自分の本当の母親ではないかと思わずにはいられませんでした。
 
10年前のことです。この地域のショバ争いでとんでもない惨劇が起きていました。バー"ハンガリー狂詩曲"がギャングに襲撃されて店の女の子達が皆殺しにされたというのです。店長も殺されて店はつぶれてしまいました。たまたま居合わせた住民からそんな話を聞かされたファネットは、10年前に自分がこの場所にいたことを確信しました。住民の話は、ファネットがいつも見ている恐ろしい夢そのものです。
 
ファネットは自分の出自に関する手がかりについて訊きたいことがありました。しかし、邪魔が入りました。怪しげな3人の男がファネットを捕まえに来たのです。ファネットは本能的に危険を感じました。車に乗るようにと促す男に、従順に従うように見せかけて一瞬のスキをついて逃げ出しました。

   
 

PART 2 戦闘
老朽化した空きビルで、ファネットと3人の男の戦闘が始まりました。ファネットは競技用のライフルで応戦しましたが化学兵器のガス弾でやられてしまいました。ガス弾で眠らされたファネットを車に乗せて男たちは去っていきました。ファネットが"G"の娘であるかどうか、DNA鑑定をするつもりです。
 
 


PART 3 意識回復
ファネットはパリ郊外の枯れたブドウ園の廃ワイナリー(ワイン工場)に連れてこられていました。ソファの上で意識を回復したファネットはあたりを見回しました。部屋に見張りはいません。カギ穴から外を覗くとブドウのつるが見えます。周囲は広大なブドウ畑です。部屋から脱出するのは簡単でも周囲が広大なブドウ畑では隠れる場所がありません。すぐ見つかってしまいます。
 
下手に動いてもムダ……どうすればいいのか、ファネットは考え込みました。何か名案が浮かんだでしょうか。
 
 

PART 4 心配する両親
パリ郊外のゴベール邸ではファネットの両親が、学校を無断で欠席してその後連絡が取れなくなってしまったファネットを心配していました。

行方不明のファネットは誘拐されたのではないか、警察に通報すべきかどうか、通報するとファネットが殺されてしまうのではないか、いやすでに殺されているかもしれない……不吉な予感がファネットの両親を苦しめていました。
 
 
その夜、ゴベール邸にひとりの男が現れました。ゴルコ13です。何をしに来たのでしょうか。ファネットに会いに来たのでしょうか。見るからに怪しいゴルゴ13はファネットの両親から誘拐犯と間違われないでしょうか。

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2016年5月20日 (金)

舛添知事の政治資金疑惑 市民団体が告発状送付

舛添知事の政治資金疑惑 市民団体が告発状送付

テレビ朝日系(ANN) 5月20日(金)11時54分配信

 東京都の舛添要一知事の政治資金を巡る問題で、大学教授らでつくる市民団体が東京地検に告発状を送りました。

 告発状では、舛添知事と元会計責任者の男性が資金管理団体の収支報告書に「会議費用」と記載したホテルへの支出約37万円などについて「真実は単なる家族旅行の費用や私的な飲食費」だとして、政治資金規正法違反の疑いがあるとしています。舛添知事はホテルに家族と滞在していたことを認める一方、関係者と打ち合わせをしたと説明しています。舛添知事は20日午後の会見で、政治資金を巡る疑惑について詳しく説明するとしています。.

最終更新:5月20日(金)13時28分


「ホテルへの支出約37万円」に関してはすでに返金して取り消していると思います。政治資金規正法はザル法です。いくら虚偽記載でもすでに返金して取り消している案件に関して告発してもムダではないでしょうか?
 
告発するなら、訂正も取り消しも返金もしないであくまでも政治活動費だと言い張っている美術品の購入を選んだほうがよかったのではないでしょうか?

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2016年5月17日 (火)

舛添要一の問題を考える

「政治資金規正法」はザル法でこれまでこの法律で罰せられた政治家はいないといわれています。この法律は規正法違反が発覚してもミスでしたと謝って収支報告書を訂正すればお咎めなし、というめちゃくちゃな法律です。

これではこの法律で罰せられた政治家がいないというのもなるほどです。罰せられるもなにもそもそも政治資金規正法違反で訴えられた政治家はいないと思います。違反しても訂正すればお咎めなしでは訴えようがありません。

ところがです。書画骨董品を購入して政治活動費に計上した政治家がいたとします。誤りを認めて収支報告書を訂正すればお咎めなしです。しかしあくまでも政治活動費だと言い張って訂正を拒否したらどうなるでしょうか。
 
この場合、この政治家を政治資金規正法違反で訴えれば裁判に勝てるかもしれません。書画骨董品が政治活動費に当たるかどうかを司法に判断してもらうのです。
 

   
会社法には「法人格否認の法理」という考え方があります。Wikipediaは「法人格否認の法理」を次のように解説しています。 

法人格否認の法理(ほうじんかくひにんのほうり)とは、法人格が形骸にすぎない場合や法人格が濫用されている場合に、紛争解決に必要な範囲で、法人とその背後の者との分離を否定する法理。

アメリカの判例理論に由来する法理である。日本の法律に明文の規定はなく、1969年(昭和44年)の最高裁判所第一小法廷判決 、最高裁によってその法理としての採用が初めて認められた。以降、裁判例での採用が相次ぎ、学会での研究も進んだが、実定法上の根拠は商法・会社法上には存在せず、民法1条3項(権利の濫用はこれを許さない)などの一般条項に求められる。

 

民法1条3項(権利の濫用はこれを許さない)の規定を政治資金規正法に適用すれば、誰がどう考えても政治活動費とはいえない書画骨董品の購入費の計上は政治資金規正法違反になると思います。規制がないから何に使ってもかまわないと主張するのはまさに権利の濫用です。
 
でたらめな支出も事前に誤りを認めて訂正すればお咎めなしです。ところがあくまでも政治活動費だと言い張って裁判沙汰になったら事情は違ってきます。訂正も謝罪も拒否した政治家が裁判で負ければ前代未聞の政治資金規正法違反が成立します。判決が出て有罪が確定してからあわてて訂正しても後の祭りです。

これまでザル法だと思ってデタラメな支出をしていた政治家に激震が走ります。いくら規制がないからといって、誰がどう考えても政治活動費とはいえないデタラメな支出は権利の濫用です。今後は、権利の濫用に当たるかどうかを考慮して政治活動費の範囲を裁判所が判断することになります。
 
とりあえず、

   書画骨董品はダメ

これが判例です。

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2016年5月14日 (土)

2016年春ドラマ・女優で選ぶベスト3

1.「重版出来」

マンガ雑誌の編集部を舞台にしたドラマです。「バクマン。」の編集部編といった感じです。タイトルの「重版出来」というのは一般的には馴染みがなくてわかりづらいです。サブタイトルに「マンガ家残酷物語」というのでもつけておけばもうすこし視聴率が上がったかもしれません。もっとも内容的には、新人編集部員の黒沢心(黒木華)がマンガ家のピンチを救うという一話完結型の「漫画家ハッピー物語」です。

ヒロインの黒木華は「くろきはな」ではなく「くろきはる」と読みます。黒木華は、吉田羊と並んで、最近もっとも注目されている演技派女優です。黒木華の顔は昭和顔であるとよくいわれます。昭和顔というのは地味であか抜けない貧乏臭い顔のことです。よく言えば古風で和服の似合う顔です。多少勘違いがあるみたいですが、黒木華は昭和顔といわれることがあまり好きではないみたいです。

そこで黒木華に気に入ってもらえそうな新しいニックネームを考えてみました。「モナリザの微笑」というのはどうでしょうか(おえっ)。「天皇の料理番」で俊子役だったときの黒木華には気品がありました。俊子役の黒木華が微笑むとあの「モナリザの微笑」を連想したものです。
 
もっとも「重版出来」はコメディタッチのドラマです。ヒロインの黒沢心は体育会系のスタコラ姉ちゃんです。「重版出来」の黒木華は気品とは縁遠いです。

2.「ラヴソング」

このドラマは月9にしては視聴率が冴えません。最近の月9は実験作(?)を連発し過ぎです。視聴率を考えるなら、男と女の立場を逆にして、中年のオバサン(例えば和久井映見)が若い男(例えば……思いつかない)にモテるドラマにしたほうがよかったです(たぶん)。

吹石一恵と結婚したばかりの福山雅治が若い女の子とイチャイチャするドラマなんて、それでなくても失意に暮れている女性ファンの神経を逆なでするだけです。
 
ヒロインの佐野さくらを演じている藤原さくらは石原さとみを少し残念にしたような顔をしています。藤原さくらはほとんど無名に近い新人で本職はシンガーソングライターだそうです。ドラマの佐野さくらと現実の藤原さくらがオーバーラップしていて、ドラマをヒットさせて藤原さくらの人気に火をつけようというひそかな狙いがあったみたいです。

佐野さくらは吃音症に悩む少女です。でも歌だけはどもらないできちんと歌えます。人の心を打つ歌声を武器に佐野さくらはプロの歌手を目指します。そのサポート役が臨床心理士の神代広平(福山雅治)です。藤原さくらは佐野さくらが広平に抱いている淡い恋心を、セリフではなく豊かな表情で表現しています。嬉しいと思ったときの表情がいいです。
 

3.「世界一難しい恋」

有名ホテルチェーン(鮫島ホテルズ)のワンマン社長・鮫島零治(大野智)が、中途採用で入社してきた従業員の柴山美咲(波瑠)に恋をするというラブコメです。鮫島は34歳独身で恋愛経験はゼロです。34歳の男が中学生並のうぶな初恋をするというお話です。

このドラマの大野智は演技が下手という意見があります。でも、役として演技が下手でギクシャクしたバカ社長の鮫島零治を演じているわけで、演技がわざとらしくて下手に見えれば見えるほど本当は演技がうまいということになります。

世間のワンマン社長というのは、社員からは敬して遠ざけられ、陰でバカにされ、周囲はほとんどイエスマンばかり。社員の飲み会に同席すると煙たがられて身の置き場がない。思い通りにならないとイライラして癇癪を起こす……鮫島零治ほど極端ではなくても、どこのワンマン社長も似たり寄ったりだと思います。社長はワンマンであればあるほど賢くなければいけません。鮫島零治みたいにバカだと会社が潰れてしまいます(もっともこのドラマでは鮫島零治にも経営手腕だけはあるという設定になっています)。
 
このドラマには有能な社長秘書・村沖舞子の役で小池栄子も出演しています。バカ社長にテキパキと恋愛指南をする村沖舞子は、見方によってはヒロインの柴山美咲よりも存在感があります。有能な女性秘書というのは誰がやっても好感度が上がるおいしい役どころです。小池栄子もうけたね。

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2016年5月11日 (水)

「ゴルゴ13」第562話「Gの遺伝子 前編」を読む

PART 1 死神の夢
フランスのパリに、私立サン・リュカ中学校という名門のお嬢様学校があります。この中学校にファネット・ゴベールという眼光の鋭い女生徒がいました。絶世の美少女です。左目の下に泣きぼくろがあります。

ファネットの夢の中に出てくる女性も左目の下にほくろがあります。この女性はファネットではなく明らかに大人の女性です。おそらくはファネットの実の母親です。

ファネット・ゴベールはライフル射撃の名手です。その腕前は中学生ながらオリンピック級です。いや、実際はそれ以上で狙った的を射抜く正確さはオリンピックのレベルさえ超えているかもしれません。同級生たちはファネットのことを"聖なる怪物"と呼んで、尊敬と憧れの眼差しで見つめています。
 
ファネット・ゴベールは体操にスカッシュ、テニス、ジュード―とあらゆるスポーツ競技の万能選手です。どの分野でもその実力はトップレベルです。それでもファネットはライフル以外に興味を示すことはありません。ファネットがその他のスポーツを行うのは、あくまでもライフルの基礎技術を鍛えるために必要だからです。

ファネット・ゴベールが優れているのは運動能力だけではありません。学業成績も優秀です。去年、史上最年少タイで、すでに大学入学資格(バカロレア)を取得しています。知能指数は180です。
 
知能指数は130以上70以下は異常値と言われています。Wikipediaは130以上の知能指数について、次のように解説しています。

130以上の場合、その人間の英知はすさまじく強くなり、周囲をその思考回路で圧倒し、場合によっては相手の気を失わせてしまう。また、様々な超絶的な能力を少なくとも一つは持ち、その分野において、同じ高いほうに異常値で、その分野が得意の人と遭遇しない限り、絶対的な権力を持ち続ける。

140以上の場合は更にそれが顕著になり、周囲の人々はそのオーラに圧倒され、そしてその後畏怖と敬意を感じ、「天才」と呼称する。その頭脳が暴走した場合、一般人が束になっても返り討ちになることが多く、同様の高いほうに異常値の人間を数人もしくはその人よりもIQが高い人間を連れてくるしかない。しかし、異常値の人間そのものが希少なため、対応が遅れると大惨事を招くこともある。

160以上の場合は、その能力ゆえに周囲から危険視されることも多い、事実上最大限にその頭脳能力を発揮した場合、周囲はおろか国家単位で破滅の危機に陥れる危険性もはらんでいる。もちろん、逆に活用できれば、それはあらゆる人々に幸福を与える救世主・神ともなりえるのである。しかし自分で160ものIQをコントロールするのは非常に難しく逆にIQに身体がコントロールされる事もあるという。

200以上の場合、現代では幼年期は国家や企業に献体的にもてあそばれる。青年期にもなると、己の人生・哲学・エネルギーを完全にコントロールし人類への究極の利益、究極の幸福を探究し、IQを隠し凡人として静かに暮らす例も多い。

例:10歳で大学を首席で卒業後、小学校に凡人として戻り部活に励む。 莫大な予算を自由に使える研究機関を退職し、田舎の保育士になる。等

また、神である自分を隠すため、地域に根ざしたもっともポピュラーな宗教を選択し、神への信心行為をたしなむ傾向がある。

スポーツ万能、知能指数180……まだあります。ファネット・ゴベールは習っているわけでもないのにピアノの腕がプロ級です。さらに美術に関してもその特異な才能が認められています。パリ学生絵画展では"ゴルゴダの呼び声"というタイトルの宗教画風作品で金賞を受賞しました。受賞作は現在"モンマルトルの丘美術館"で公開されています。

 
芸術記事の評判が高い日刊紙『キニコス』の記者がパリ学生絵画展での金賞受賞を機に、噂の天才少女ファネット・ゴベールの取材にやってきました。

『キニコス』の記者がファネットに質問しました。

 「まるで昔の東欧の宗教画のような、凄みが感じられます。どんな画家の……どんな画風に影響を受けたのでしょう?」
 

ファネットは無表情のまま淡々と事実だけを述べました。

 「美術の授業で"昨夜見た夢を描くように"と言われ、幼いころからよく見ていた死神の夢をまた見たので描いたのです。先生が絵を見て、タイトルを考えて出品されたのですが、私は、ライフル以外興味がなくて絵の事はよくわからないのです……すみません……」
 
 

PART 2 奴は日本人?
数日後、モンマルトンの丘美術館に1人の男が現れました。ゴルゴ13です。ゴルゴ13は日刊紙『キニコス』に掲載されたファネット・ゴベールの記事を見て、パリ学生絵画展金賞受賞作"ゴルゴダの呼び声"に異常な関心を示しました。
 
ゴルゴ13は、美術館の館長に10万ユーロ(約1200万円)を払って閉館後の美術館を貸し切りにしてもらいました。そして"ゴルゴダの呼び声"を一人でじっくり鑑賞(?)していました。

 「パリ学生絵画展金賞……"ゴルゴダの呼び声"……この絵に間違いない……」

"ゴルゴダの呼び声"……ゴルゴ13には絵画に描かれているシーンに見覚えがありました(たぶん)。

作者のファネット・ゴベールが14歳の少女だという事を知って、ゴルゴ13はどこか感慨深げでした。ファネットは自分の娘かもしれない……ゴルゴ13には思い当る記憶がありました(たぶん)。
 


 
PART 3 ウサギのように臆病
ファネット・ゴベールはパリ郊外の豪邸に住んでいます。父のジャン・ミッシェル・ゴベールは大病院の院長です。ジャン・ミッシェルは人道主義者のようでお金のない人には無料で診察もしています。

10年前、つまりファネットが4歳のとき、ファネットは銃で撃たれて生死の境をさまよったことがありました。左腕には当時の傷痕が残っています。父のジャン・ミッシェル・ゴベールはライフルにしか興味を示さない娘ファネットの性癖を次のように解釈していました。

 「あの子は、10年前の事を忘れているが……恐らく記憶の底には残っている……ライフルを趣味にしているのは、男勝りの気の強さから来るものなどではなく、トラウマのせいでウサギのように臆病になったんだ。心の拠り所なんだよ、ライフルが。」
 

 

PART 4 卓越した腕
ファネットの写真が日刊紙『キニコス』に掲載されてしまったことで、母親のイレーヌは娘が誘拐されはしないかと心配していました。母が心配してくれることは嬉しい……でも……ファネットは自分の心の中を内省していました。

 「両親は、優しい……なのに愛されるほど自分の居場所はここではないような気がするのは、何故だろう……自分が本当の自分でないような焦燥感がある……」

ファネットは優しい母親が実は自分を生んでくれた本当の母親ではないことに無意識のうちに気がついていました。とにかくファネットは父親のジャン・ミッシェルとも母親のイレーヌともまったく似ていません。ファネットは眼光の鋭い目の覚める美少女です。それなのに両親はジャガイモかカボチャみたいな顔をしています。

物思いにふけっていたファネットは、ふと庭に二人の怪しい人影を見つけました。金銭目当てに忍び込んだ不法移民の二人組です。ファネットはこれまで人に銃口を向けたことはありませんでした。しかし今は緊急事態です。両親と自分を守るためには強盗と思しき二人組を撃退しなくてはなりません。ファネットはライフルを構えました。

ファネットが所有しているライフルは競技用で殺傷能力は脆弱です。競技用のライフルでは致命傷を負わせることはできません。また中途半端な狙撃をすると強盗が逆上して襲いかかってくる恐れがあります。下手な狙撃はかえって危険です。競技用のライフルで強盗を撃退するためには、強盗に最大限のダメージを与える確実な狙撃が必要です。ファネットにはそれを実行できる卓越した腕がありました。
 

 

PART 5 Gのルーツ
米国のシリコンバレーにアラクネットというIT企業の本社があります。表向きはゴシップ記事専門の配信会社ですが、内実は極秘で通信の監視をしている国家安全保障局(NSA)のPRISMシステム管制局です。

このPRISMシステム管制局のカーク局長のもとに国家安全保障局のマクレラン長官が訪れました。

電話やメールはすべてだれかに盗聴(盗読?)されていると考えるのがインテリジェンスに携わる人間の常識です。また、どんなに難解な暗号でも解読されてしまう恐れがあります。暗号も絶対安全とはいえません。そこでセキュリティ面で一番安全な情報伝達手段は、紙のメモの手渡しということになります。
 
マクレラン長官を局長ごときが呼び出したことを恐縮しながらもカーク局長は重要情報が書かれた資料をマクレラン長官に手渡しました。
 
その資料には、PRISMシステム管制局が何年にも渡って探し続けていた"ゴルゴ13のルーツ"に関する情報が書かれていました。正確には"ゴルゴ13のルーツを暴く鍵"の情報です。

カーク局長は、『キニコス』に掲載されたファネット・ゴベールの記事に関心を示し、ファネット・ゴベールのことを徹底的に調査したようです。

カーク局長は、ファネット・ゴベールはゴルコ13の遺伝子を持つ"Gの娘"という驚愕の事実に辿り着きました。

   
   

PART 6 ファネットの記憶
昨夜、フャネットは初めて人を撃ちました。強盗を撃退したことは両親には内緒です。心配をかけたくないからです。人を撃った体験がファネットに忘れていた記憶を蘇らせました。

 「夢の中では、ぼんやりとしか見えなかった死神の姿が……写真の様にはっきりと見えた! いつも見ていた"死神の夢"は、凄惨な虐殺現場の記憶に基づくものだった……その記憶が、今、確かなものとして蘇った……!!」

フャネットは核心に迫る独白を続けます。

 「善良な医者の両親のもとに生まれた私に、何故あんな記憶があるのだろう……?私は本当は、何者なんだろう?私によく似たあの女……あの女を殺した死神を……懐かしく感じるのは何故なんだろう?」

それはね、あの死神があなたのお父さんだからですよ。
 
 

   
PART 7 まさか娘とは……
NSA(アメリカ国家安全保障局)のマクレラン長官とPRISMシステム管制局のカーク局長はゴルゴ13に"首輪"をつけようとしていました。

ふたりはファネット・コベールがゴルゴ13の娘であると確信しました。そこで、ファネットを人質にしてゴルゴ13を操縦しようと考えました(たぶん)。果たしてうまくいくでしょうか?
 
 
今後「Gの遺伝子」がどういう展開になるにしても、ゴルゴ13がファネットを射殺するというシーンだけは勘弁してほしいです。できれば、驚愕の事実を知ってしまったNSAの二人を射殺するという展開を期待したいです。でもファネットは長く生きることが許されない運命なのかもしれません。美人薄命というからね。
 
本当にファネットはゴルゴ13の娘なのかどうか……99%確実でも真実は闇に包まれたまま終わってしまうというのがいつものパターンです。

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