2016年春ドラマ・女優で選ぶベスト3
1.「重版出来」
マンガ雑誌の編集部を舞台にしたドラマです。「バクマン。」の編集部編といった感じです。タイトルの「重版出来」というのは一般的には馴染みがなくてわかりづらいです。サブタイトルに「マンガ家残酷物語」というのでもつけておけばもうすこし視聴率が上がったかもしれません。もっとも内容的には、新人編集部員の黒沢心(黒木華)がマンガ家のピンチを救うという一話完結型の「漫画家ハッピー物語」です。
ヒロインの黒木華は「くろきはな」ではなく「くろきはる」と読みます。黒木華は、吉田羊と並んで、最近もっとも注目されている演技派女優です。黒木華の顔は昭和顔であるとよくいわれます。昭和顔というのは地味であか抜けない貧乏臭い顔のことです。よく言えば古風で和服の似合う顔です。多少勘違いがあるみたいですが、黒木華は昭和顔といわれることがあまり好きではないみたいです。
そこで黒木華に気に入ってもらえそうな新しいニックネームを考えてみました。「モナリザの微笑」というのはどうでしょうか(おえっ)。「天皇の料理番」で俊子役だったときの黒木華には気品がありました。俊子役の黒木華が微笑むとあの「モナリザの微笑」を連想したものです。
もっとも「重版出来」はコメディタッチのドラマです。ヒロインの黒沢心は体育会系のスタコラ姉ちゃんです。「重版出来」の黒木華は気品とは縁遠いです。
2.「ラヴソング」
このドラマは月9にしては視聴率が冴えません。最近の月9は実験作(?)を連発し過ぎです。視聴率を考えるなら、男と女の立場を逆にして、中年のオバサン(例えば和久井映見)が若い男(例えば……思いつかない)にモテるドラマにしたほうがよかったです(たぶん)。
吹石一恵と結婚したばかりの福山雅治が若い女の子とイチャイチャするドラマなんて、それでなくても失意に暮れている女性ファンの神経を逆なでするだけです。
ヒロインの佐野さくらを演じている藤原さくらは石原さとみを少し残念にしたような顔をしています。藤原さくらはほとんど無名に近い新人で本職はシンガーソングライターだそうです。ドラマの佐野さくらと現実の藤原さくらがオーバーラップしていて、ドラマをヒットさせて藤原さくらの人気に火をつけようというひそかな狙いがあったみたいです。
佐野さくらは吃音症に悩む少女です。でも歌だけはどもらないできちんと歌えます。人の心を打つ歌声を武器に佐野さくらはプロの歌手を目指します。そのサポート役が臨床心理士の神代広平(福山雅治)です。藤原さくらは佐野さくらが広平に抱いている淡い恋心を、セリフではなく豊かな表情で表現しています。嬉しいと思ったときの表情がいいです。
3.「世界一難しい恋」
有名ホテルチェーン(鮫島ホテルズ)のワンマン社長・鮫島零治(大野智)が、中途採用で入社してきた従業員の柴山美咲(波瑠)に恋をするというラブコメです。鮫島は34歳独身で恋愛経験はゼロです。34歳の男が中学生並のうぶな初恋をするというお話です。
このドラマの大野智は演技が下手という意見があります。でも、役として演技が下手でギクシャクしたバカ社長の鮫島零治を演じているわけで、演技がわざとらしくて下手に見えれば見えるほど本当は演技がうまいということになります。
世間のワンマン社長というのは、社員からは敬して遠ざけられ、陰でバカにされ、周囲はほとんどイエスマンばかり。社員の飲み会に同席すると煙たがられて身の置き場がない。思い通りにならないとイライラして癇癪を起こす……鮫島零治ほど極端ではなくても、どこのワンマン社長も似たり寄ったりだと思います。社長はワンマンであればあるほど賢くなければいけません。鮫島零治みたいにバカだと会社が潰れてしまいます(もっともこのドラマでは鮫島零治にも経営手腕だけはあるという設定になっています)。
このドラマには有能な社長秘書・村沖舞子の役で小池栄子も出演しています。バカ社長にテキパキと恋愛指南をする村沖舞子は、見方によってはヒロインの柴山美咲よりも存在感があります。有能な女性秘書というのは誰がやっても好感度が上がるおいしい役どころです。小池栄子もうけたね。
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