2016年5月14日 (土)

2016年春ドラマ・女優で選ぶベスト3

1.「重版出来」

マンガ雑誌の編集部を舞台にしたドラマです。「バクマン。」の編集部編といった感じです。タイトルの「重版出来」というのは一般的には馴染みがなくてわかりづらいです。サブタイトルに「マンガ家残酷物語」というのでもつけておけばもうすこし視聴率が上がったかもしれません。もっとも内容的には、新人編集部員の黒沢心(黒木華)がマンガ家のピンチを救うという一話完結型の「漫画家ハッピー物語」です。

ヒロインの黒木華は「くろきはな」ではなく「くろきはる」と読みます。黒木華は、吉田羊と並んで、最近もっとも注目されている演技派女優です。黒木華の顔は昭和顔であるとよくいわれます。昭和顔というのは地味であか抜けない貧乏臭い顔のことです。よく言えば古風で和服の似合う顔です。多少勘違いがあるみたいですが、黒木華は昭和顔といわれることがあまり好きではないみたいです。

そこで黒木華に気に入ってもらえそうな新しいニックネームを考えてみました。「モナリザの微笑」というのはどうでしょうか(おえっ)。「天皇の料理番」で俊子役だったときの黒木華には気品がありました。俊子役の黒木華が微笑むとあの「モナリザの微笑」を連想したものです。
 
もっとも「重版出来」はコメディタッチのドラマです。ヒロインの黒沢心は体育会系のスタコラ姉ちゃんです。「重版出来」の黒木華は気品とは縁遠いです。

2.「ラヴソング」

このドラマは月9にしては視聴率が冴えません。最近の月9は実験作(?)を連発し過ぎです。視聴率を考えるなら、男と女の立場を逆にして、中年のオバサン(例えば和久井映見)が若い男(例えば……思いつかない)にモテるドラマにしたほうがよかったです(たぶん)。

吹石一恵と結婚したばかりの福山雅治が若い女の子とイチャイチャするドラマなんて、それでなくても失意に暮れている女性ファンの神経を逆なでするだけです。
 
ヒロインの佐野さくらを演じている藤原さくらは石原さとみを少し残念にしたような顔をしています。藤原さくらはほとんど無名に近い新人で本職はシンガーソングライターだそうです。ドラマの佐野さくらと現実の藤原さくらがオーバーラップしていて、ドラマをヒットさせて藤原さくらの人気に火をつけようというひそかな狙いがあったみたいです。

佐野さくらは吃音症に悩む少女です。でも歌だけはどもらないできちんと歌えます。人の心を打つ歌声を武器に佐野さくらはプロの歌手を目指します。そのサポート役が臨床心理士の神代広平(福山雅治)です。藤原さくらは佐野さくらが広平に抱いている淡い恋心を、セリフではなく豊かな表情で表現しています。嬉しいと思ったときの表情がいいです。
 

3.「世界一難しい恋」

有名ホテルチェーン(鮫島ホテルズ)のワンマン社長・鮫島零治(大野智)が、中途採用で入社してきた従業員の柴山美咲(波瑠)に恋をするというラブコメです。鮫島は34歳独身で恋愛経験はゼロです。34歳の男が中学生並のうぶな初恋をするというお話です。

このドラマの大野智は演技が下手という意見があります。でも、役として演技が下手でギクシャクしたバカ社長の鮫島零治を演じているわけで、演技がわざとらしくて下手に見えれば見えるほど本当は演技がうまいということになります。

世間のワンマン社長というのは、社員からは敬して遠ざけられ、陰でバカにされ、周囲はほとんどイエスマンばかり。社員の飲み会に同席すると煙たがられて身の置き場がない。思い通りにならないとイライラして癇癪を起こす……鮫島零治ほど極端ではなくても、どこのワンマン社長も似たり寄ったりだと思います。社長はワンマンであればあるほど賢くなければいけません。鮫島零治みたいにバカだと会社が潰れてしまいます(もっともこのドラマでは鮫島零治にも経営手腕だけはあるという設定になっています)。
 
このドラマには有能な社長秘書・村沖舞子の役で小池栄子も出演しています。バカ社長にテキパキと恋愛指南をする村沖舞子は、見方によってはヒロインの柴山美咲よりも存在感があります。有能な女性秘書というのは誰がやっても好感度が上がるおいしい役どころです。小池栄子もうけたね。

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2016年4月24日 (日)

朝ドラ「朝が来た!」の主題歌は「365日のギャンブラー」ではなかろうか。

録画しておいた朝ドラ「朝が来た!」を今ごろ一生懸命に観ています。面白いです。いくら観てもまだまだ続きがあります。ようやく2月の放送分に辿り着きました。ヒロインの白岡あさ(波瑠)が萬谷与左衛門(ラサール石井)に包丁で刺されて入院したところです。
 
ヒロイン役の波瑠という女優は、深夜ドラマ「ノーコン・キッド~ぼくらのゲーム史~」の高野文美役でお馴染みでした。でも、それ以前に「ゴーストタウンの花」で桜庭ななみと共演していました。「ゴーストタウンの花」は桜庭ななみがヒロインだったため、脇役の波瑠の印象がまったくありませんでした。その後、波留はいろいろなドラマに出演していたようですがほとんど印象がありません。

とにかく印象に残っているのは「ノーコン・キッド~ぼくらのゲーム史~」です。「ノーコン・キッド~ぼくらのゲーム史~」からいきなり朝ドラ「朝が来た!」のヒロインになってしまった感じです。まさにびっくりぽんです。

テレビドラマで、出演していた女優が脇役だったためにほとんど印象に残っていないというのはよくあることです。たとえば「あまちゃん」に出演していた女優もそうです。脇役でも有村架純のことはさすがに知っていました。しかし、足立梨花、松岡茉優、山下リオなどが「あまちゃん」に出演していたのはまったく知りませんでした。後から知ってびっくりしたものです。
 

さて、朝ドラの「朝が来た!」は主題歌の「365日の紙飛行機」が素晴らしいです。すっかり気に入ってしまいました。AKB48のファンになってしまいそうです。何度も聴いていたらすっかり歌詞を覚えてしまいました。今どきの歌は言葉が曖昧で歌詞のテロップがないと何と歌っているのかよくわからない歌が多いです。でも「365日の紙飛行機」は言葉がはっきりしていて耳で聴いただけで歌詞が理解できます。

この「365日の紙飛行機」はいつも前向きな白岡あさの生き方を歌った歌です。しかし、ちょっと視点を変えると、不謹慎ながら、借金地獄のギャンブラーの歌にも聞こえてきます。この歌を聴いていたら蛭子さんの顔が浮かんできてしまいました。

♪ 朝の空を見上げて、今日という一日が~
  笑顔でいられるように
  そっと、お願いした

 いざ、出陣!!

♪ ときには、雨も降って 
  涙も溢れるけど
  思い通りにならない日は
  明日頑張ろう

 今日がダメなら明日があるさ
 明日がダメなら明後日があるさ
 負けても負けてもやり続ける~
 あんた、ひょっとしてバカですか?

こういう人にパチンコ屋のお姉さんが言うことにゃ、

 まいど

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2016年2月19日 (金)

2016年冬ドラマ・「家族ノカタチ」・このドラマは浩太(髙田彪我)の笑顔が素晴らしいです。

2016年の冬ドラマは、恐ろしいドラマから笑えるドラマまで、見ごたえのあるドラマが多いです。中でもイチオシなのが「家族ノカタチ」です。視聴率が冴えなくてもこのドラマは面白いです。

39歳独身の永里大介(香取慎吾)はプライバシーを重んじる絶対的個人主義者です。他人に干渉されることを極度に嫌います。一見自己中の性悪男みたいですが、本当はそんなに悪い人ではありません。自分だけの"城"のつもりで購入したマンションに転がり込んできたダメ親父の陽三(西田敏行)を追い出さずに居候させてあげているし、空気が読めないバカ女の莉奈(水原希子)をツーリングに誘ってあげたりもしています。大介は莉奈に関してはまったく下心がありません。恋愛感情ゼロです。ただ莉奈があまりにもピントがずれているので気の毒になってツーリングに連れて行ってあげたまでです。莉奈が変に誤解すると面倒なことになりそうですが、誤解するほうが悪いです。
 
大介の父親の陽三は最愛の妻・美佐代(浅茅陽子)に先立たれ、最近になって恵(水野美紀)という変な女と再婚しました。陽三70歳、恵41歳です。恵も再婚で、恵には浩太(髙田彪我)という中学生の連れ子がいました。

恵は浩太を陽三に預けたままいなくなってしまいました。どうやら恵が年の離れた陽三と結婚したのは、連れ子の浩太を陽三に押し付けて身軽になりたかったからみたいです。なんて女だ。

学校に通っていなかった浩太を書類をそろえていろいろ骨折って学校に通えるようにしてあげたのは大介でした。大介ってけっこういいやつです。

浩太は寡黙な少年でめったにしやべりません。それでも信頼しきった目で大介を見ています。大介のおかげで養護施設に入ることなく学校に通えるようになったのがよほど嬉しかったみたいです。浩太は大介がいい奴だということを見抜いています。

浩太には同年代の友達がいません。周りにいるのはクセのある変な大人ばかりです。それでも最近は笑顔を見せるとが多くなりました。少ししゃべるようにもなりました。浩太の満ち足りた感じの笑顔を見ているとなんだかこちらまで嬉しくなってきます。このドラマの陰の主役は浩太です。

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2016年2月 5日 (金)

広末涼子と内田有紀の「ナオミとカナコ」・こんな恐ろしいドラマは初めてです。

加奈子(内田有紀)とその親友の直美(広末涼子)が共謀して、加奈子の夫の達郎(佐藤隆太)を殺そうとするお話です。達郎殺害に至るまでのプロセスが克明に描かれています。リアリティがあって本当に恐ろしいです。ハラハラドキドキの連続で心臓が止まりそうになります。怖いよ~。
 
このドラマを観ていたら、ドストエフスキーの「罪と罰」を連想していました。「罪と罰」は金貸しの老婆殺しのお話ですが、サスペンスタッチのかなり恐ろしい小説です。このドラマはハラハラドキドキ感が「罪と罰」に非常によく似ています。
 
 
「ナオミとカナコ」には高畑淳子が中国人役で出てきます。高畑淳子のインチキ中国人(ドラマの役としてはホントの中国人)ぶりがこのドラマで唯一笑える要素です。そうは言っても高畑淳子のひょうきんな中国人が時として見せる鋭い眼光がこれまた怖いです。
 
とにかく達郎が加奈子に暴力を振るうシーンが霞んでしまうほど、このドラマにはドキドキするシーンががてんこ盛りです。ありきたりな怪談よりも怖いです。

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2015年10月13日 (火)

桜庭ななみ主演の深夜ドラマ「リミット」第1話を観る

好評だった(と思いたい)深夜ドラマ「リミット」が、再放送されています(東京12チャンネル毎週水曜日深夜27時20分)。このドラマには、山下リオのほかに、なんと、朝ドラ「まれ」のヒロイン役だった土屋太鳳も出演しています。

このドラマを楽しむためには、まず、主要な登場人物の性格をしっかり把握しておく必要があります。

今野水希(桜庭ななみ)は神奈川県立陽乃高等学校に通う高校2年生です。中学生のころはいじめられっ子で相当ひどいいじめを受けていました。しかし、陽乃高校に進学してからはうまく立ち回るようになり、いじめられることもなくなりました。

水希は、姫澤さくら(高田里穂)に取り入って、さくらに気に入られました。成績優秀で美人のさくらはクラスのリーダー的存在です。さくらと仲良くしていれば、ほかの生徒からいじめられることはありません。

 力を抜いて、空気を読んで、それが、この世界をうまく泳ぐためのルール……
 
水希の考えは卑屈です。それでも弱者には打算が必要です。水希はさくらと仲良くすることによって、いじめのない平穏な学校生活を手に入れることができました。

 人間は平等じゃない。優劣も、贔屓も、差別も当然ある。かわいい子、かっこいい子はそれだけで得だ。

 この学校という小さな世界は、きっとこれからも続いていく社会の縮図、これが社会の縮図なのだ。

不平等に苦しむ弱者にはそれなりの生き方がある……かつていじめられた経験のある水希は、学校という社会の縮図の中で、いかにうまく立ち回るかを考えていました。
 

●水希のクラスで、いじめの対象とされていたのは盛重亜梨紗(山下リオ)です。盛重はクラスメイトからはモリコと呼ばれてバカにされていました。モリコはマンガオタクでマンガを描くのが趣味です。いつもマンガを描いています。さくらは不細工なモリコを嫌っていました。みんなからいじめられるのは決まってモリコでした。モリコは「ありがとう」と「ごめんなさい」が言えません。モリコの頑なな態度がさらにいじめをエスカレートさせます。

気の弱い薄井千影(増田有華)は、さわらぬ神に祟りなしとばかり、いじめの矛先が自分に向かってこないよう、何を言われてもご無理ごもっともで、さくらたちには逆らわないようにしていました。ところが要領の悪いモリコにはそれができません。

 いじめられるほうにも原因がある

頑なで空気の読めないモリコは、いじめてくださいといわんばかりのオーラを発しています。

モリコはクラスメイトひとりひとりについて、だれから何回いじめを受けたかを克明に記録していました。やられたらやりかえす……モリコは自分をいじめたクラスメイトにいつか必ず復讐してやろうと考えていました。いじめるほうも陰湿ならモリコもかなり陰湿です。

●さくらグループの中心には、水希のほかに市ノ瀬ハル(工藤綾乃)がいます。市ノ瀬はさくらに同調して率先してモリコをいじめます。さくらに気に入られたいのか、市ノ瀬のいじめは情け容赦がありません。

市ノ瀬は、さくらが自分よりも水希と仲良くしていることに疎外感を感じていました。市ノ瀬はさくらに取り入っている水希をひそかに妬んでいました。水希は市ノ瀬が自分を妬んでいることに気づいていません。

●水泳部の日向晴明(鈴木勝大)は水希に好意を抱いていました。しかし水希は日向と仲良くすることをためらっていました。おそらくスポーツ万能でイケメンの日向は学校中の人気者です。さくらも日向に好意を抱いています。もし、水希が日向と仲良くしたら、さくらがへそをまげるかもしれません。そんなことにでもなればいじめの矛先が自分に向かってくるかもしれない……水希はそれをおそれていました。
 
●よっぱらいが道端で寝ていたら、普通は見て見ぬふりをするものです。関わり合いになってもろくなことはありません。冷たいといわれようが薄情といわれようがほとんどの人は見て見ぬふりをします。ところが、声をかけてよっぱらいを助けようとする正義感の強い生徒がいました。水希と同じクラスの神矢知恵子(土屋太鳳)です。
 
神矢は、モリコへのいじめがエスカレートしたとき、我慢できなくなって止めに入ったりもしました。

 「最低ね、あなたたち。子どもみたいないやがらせして恥ずかしくないの?盛重さんも盛重さんよ。どうしてずっと黙ってるの?こんなひどいことされているのに」
 
神矢は水希のクラスで唯一良識のある生徒です。水希に対しても、水希の内面を見透かすかのような辛辣な言葉を投げかけます。

 「姫澤さんに嫌われるのが、そんなに怖い?」
 

神矢は見てくれが地味で貧乏くさい生徒です。昭和の匂いがします(青い山脈かよ)。群れから離れていつもひとりでいます。

●さて、話は前後します。陽乃高校には4泊5日の交流キャンプといういイベントがあります。交流キャンプはクラス単位で行われます。水希のクラスは2年4組です。担任の竹田絵里加(森谷ふみ)に引率されて水希たちは観光バスに乗り込みました。キャンプ地は山梨県の甲府にある「交流の郷」です。
 
副担任の五十嵐亘(窪田正孝)は風邪をひいたため交流キャンプには行かれなくなりました。先生の中にはこういうイベントが大好きな先生とできれば参加したくないと考えている先生がいます。五十嵐先生は後者です。風邪をひいたことをもっけの幸いとほくそえんでいました。
 
バスが無事キャンプ地に着いたら、担任の竹田先生から副担任の五十嵐先生に連絡が入ることになっていました。五十嵐先生は学校で竹田先生からの連絡を待っていました。たまたまかかってきた高田先生からの電話を、五十嵐先生は竹田先生からの電話だと思い込んでしまいました。学校ではバスが無事キャンプ地に到着したことになっていました。

●ところが本当は大変な事になっていました。甲府のキャンプ地に向かうはずのバスが途中で道を間違えたのです。バスは静岡県の富士宮に向かっていました。運転手は道を間違えたことに気がついていません。過労のため意識が朦朧としています。バスは間違えた道をどんどん進んでいきました。どうやら青木ヶ原の樹海に向かっているようです。やがて運転手が居眠りをはじめました。バスはカーブを曲がり切れずに崖から数十メートル下に転落してしまいました。大惨事です。

乗っていた2年4組の生徒のほとんどが即死です。運転手も担任の竹田先生も死にました。

水希は奇跡的に生きていました。水希がバスを這い出して外に出ると、神矢と薄井がいました。神矢と薄井も生きていました。
 
助けを呼ぼうとしても、ケータイは圏外でつながりません。
 
水希たちはほかに生存者がいないか探しました。まず、車体の下敷きになっていた市ノ瀬を見つけました。市ノ瀬も生きていました。

気になるのはさくらです。残念ながらさくらはバスから放り出されて絶命していました。

あと、しぶとく生きていたのはモリコです。さんざんバカにされていじめられていたモリコにとって、さくらの死は立場を逆転する絶好のチャンスです。大惨事の中でモリコが笑いをかみ殺して言いました。

 「姫澤さくらが死んだ。最高。ざまあみろ。あたしもずっと思ってたんだ。死ねばいいのに。人のことさんざんバカにした報いね。自業自得」

茫然とする水希たちの前で、モリコはけたたましく笑い出しました。

●この大惨事の中で生きていたのは、今野水希、神矢、薄井、市ノ瀬ハル、モリコの5人です。外部と連絡の取れない極限状況の中で、いよいよサバイバルゲームの始まりです。

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2015年9月21日 (月)

TVドラマ「ど根性ガエル」が終わってしまいました。

このドラマは原作から16年後の後日談という設定になっていました。原作と違うところがいろいろあったみたいですが、とにかく岡田恵和ワールド全開といった感じで楽しめました。原作の漫画やアニメについて、ほとんど何も知らなかったのがよかったのかもしれません。「泣くな、はらちゃん」を連想させるようなドラマでした。

それにしても最終回はしっちゃかめっちゃかでした。最終回には、パラレルワールドからやってきたのか、ひろしそっくりの別人が登場してきました。ひろしがピョン吉と出会わなかったらこういうふうになっていたという、もうひとりのひろしです。もうひとりのひろしは、みんなの前で身の上話をすると、何処へともなく去っていきました。

さらにすごかったのは、弱り切ってTシャツからはがれて死んでしまったはずのピョン吉が、元の普通のカエルに戻っていました。普通のカエルに戻ってしまったのかと思っていたら、またペッタンコになって平面ガエルになりました。再び平面ガエルになったピョン吉は、驚くほど元気になっていました。リフレッシュして寿命が延びたのかもしれません。もうめちゃくちゃです。

キャスト(9人と1匹)

ひろし(松山ケンイチ)
ぐうたらなバカ息子の役を松山ケンイチが大真面目に熱演していました。わざとらしい大げさな演技がドラマの雰囲気にピッタリでした。なんだかフーテンの寅さんみたい。

ピョン吉(声・満島ひかり)
教えてもらわなければ、まさか満島ひかりがピョン吉の声を担当していたとは気づかなかったと思います。
ピョン吉のしゃべり方は独特のイントネーションがあります。モノマネをするにはもってこいです。何かモノマネをしろと言われて困ったら、ピョン吉のモノマネをするといいです。その場合、「なあ、ひろし」よりも「かぁちゃん」がいいです。

京子ちゃん(前田敦子)
このドラマで前田敦子の好感度が急速にアップしました。これまであまりピンとこなかった前田敦子の魅力が何となく理解できました。決して特別な美人ではないけれど、むしろそれがいいのかもしれません。
京子ちゃんは、離婚して実家に帰ってきた出戻り女です。実家といっても両親はすでになく、1人暮らしのおばあちゃんがいるだけです。本当は、夫に死なれた若き未亡人という設定にしたかったのですが(たぶん)、それだと「めぞん一刻」になってしまいます。パロディということでそれでもよかったと思うのですが、遠慮して離婚という設定になっていました。ちなみに、なぜ離婚したのかは不明です。別れた元夫も最後まで出てきませんでした。
京子ちゃんは、ひろしのラブコールには冷淡ですが、ダメ男を脱却できないひろしの行く末を心配してくれてもいました。口は悪いけど根はやさしい人です。

五郎(勝地涼)
五郎は、ひろしの後輩で真面目なお巡りさんです。どこの方言なのか、「おはようでヤンス」とか「どうもでヤンス」とか、語尾に「ヤンス」をつけるのが口癖です。普通こういうキャラが出てくるとむかついたりイライラしたりするのですが、このドラマには、お人よしの五郎のキャラがよく馴染んでいました。五郎には妙な親近感がわいてきます。五郎はひろしの家に上がり込んでは朝ごはんをご馳走になったりしていました。「おかわりでヤンス」

ゴリライモ(新井浩文)
ゴリライモの本名は五利良イモ太郎です。変な名前ですが、このドラマでフルネームが存在するのは五利良イモ太郎だけです。名前が希薄なほかの人たちはゴリライモの夢の中の人なのかもしれません。
ゴリライモは、不愛想で見るからに悪人ヅラです。しかし意外にも心優しい人格者だったりします。そのギャップがすごいです。傍若無人のひろしの振る舞いにも寛大です。めったに怒ったりしません。
ゴリライモは家業のパン屋を継いだ若社長です。このパン屋というのがまたすごいです。作っているのはゴリラパン1種類だけです。アンパンもメロンパンもクリームパンもジャムパンもありません。儲け頭の食パンもありません。多くの人を雇って工場でただひたすらゴリラパンだけを作っています。毎日大量のゴリラパンを移動販売車に積み込んで売り歩いています。1個100円です。これで経営が成り立っているんだからたいしたものです。

ひろしの母(薬師丸ひろ子)
薬師丸ひろ子は気のいいおっかさんの役がピッタリです。いっそのこと薬師丸ひろ子を主人公にしてホームドラマを作ったらけっこう高評価のドラマになりそうな気がします。主演・薬師丸ひろ子ということになれば、往年のファンが涙を流して喜ぶかもしれません。
ひろしの母は、ひろしの母というだけで名前がありません。ゴリライモの工場で働いています。ピョン吉からは「かぁちゃん」と呼ばれています。バカ息子のひろしに手を焼きながらも明るく楽しく暮らしています。

梅さん(光石研)
宝寿司の親方です。親方といっても宝寿司にはほかに働いている人がいません。弟子のいない親方です。出前の配達も親方の仕事です。梅さんは16年変わらずよし子先生一筋の変な人です。「よし子先生!けっけっけ……」というのが口癖です。

よし子先生(白羽ゆり)
ひろしが卒業した中学校の国語の先生です。美人です。

  柔肌の 熱き血潮に 触れもみで 寂しからずや 道を説く君

梅さんが聞いたら鼻血を出して梯子から落っこちてしまいそうな短歌を、中学生相手に一生懸命教えています(ウソ)。
よし子先生はいつもニコニコしていて気がつくと梅さんのとなりにいます。梅さんのことがまんざら嫌いというわけでもなさそうです。でも、世の中には振るために惚れさせる性悪な女の人もいますから気をつけないといけません。

京子のおばあちゃん(白石加代子)
京子のおばあちゃんもなぜか名前がありません。このおばあちゃんは、気持ちだけは若くてひろしに色目を使ったりします。いくらなんでもずーずーしいです。校長先生で我慢しなさい。

町田校長(でんでん)
「教師生活41年」というのが口癖のいつも暇そうな校長先生です。この校長先生が仕事をしているのを見たことがありません。定年間近の月給泥棒みたいな人です。

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2015年8月25日 (火)

月9ドラマ「恋仲」・第6話を観る

●「恋仲」は第9話が最終話だそうです。それなのに第6話にしてドラマの内容が早くも優勝が決まった後の消化試合みたいになってきました。ドラマとしてはすでに終わっています。それでも、翔太(野村周平)を、猛反省をした善人に仕立てて、何とか第9話まで話を引っ張るつもりらしいです。
 
最初にあかり(本田翼)をめぐる葵(福士蒼汰)と翔太のフェアな戦いがあって、追い詰められた翔太がルール違反をして、それがバレてハッピーエンドというのがドラマとしては自然な流れです。ところがこのドラマは、最初に翔太のルール違反があって、それがばれてもすぐにはハッピーエンドにならないで、まさに蛇足のような翔太の悪あがきが後半戦になるみたいです。後半戦ではもう翔太はルール違反ができません。偶然による誤解が味方してくれることを祈るしかありません。
 

●第6話では、すべてを打ち明けようと意を決した翔太が葵を訪ねてきました。

以前バーベキューをやっていた場所は、葵の部屋の外にある屋上みたいなところでした。部屋を出るシーンが省略されていたので、てっきりベランダだと思っていました。なるほどベランダにしてはやけに広かったです。その場所で、翔太が葵に「ワンピース」の51巻とあかりの手紙を渡しました。
 
 「ずっとわかっていたよ。葵の気持ち。7年前からずっと。あかりの気持ちも」

それがわかっていたなら、二人を祝福して男らしく身を引くべきでした。潔く身を引いた瑠衣子(市川由衣)のように。大切な手紙を盗むなんて言語道断です。翔太があかりの手紙を盗んだことが物語の発端なら、翔太は最後まで悪役に徹していないといけません。何だか無理やりシナリオを変更したような気がしないでもないです。

●「こんな日が来るなんて、思ってなかった。この5年間、何だったんだろうなあ」

あかりの心は揺れいました。あかりは翔太といるときは葵のことが気になっていました。ところが葵といると今度は翔太のことが気になってきます。何があっても一度本気で好きになった男(翔太)のことを忘れるのはそう簡単ではないのかもしれません。

あかりは教員採用試験に合格したことをまず葵に伝えました。次に翔太にも報告に行きました。合格できたのはこの5年間、翔太の支えがあったからでもあります。家庭教師をしていた入院患者の中学生・山城心音(大友花恋)にも自慢げに教員採用試験に合格したことを伝えました。そのとき、心音が発作に見舞われました。緊急事態です。あかりは荷物を病室に残したまま、病室を追い出されてしまいました。いつまでたっても病室に入ることができません。それにしても、5分や10分ならともかく、何時間も緊急事態が続いて病室に入れないなんてありえないんですけど。たとえ自分が病室に入れなくても出入りしている看護師さんに頼んで荷物を持ってきてもらうくらいできるよね。
 
葵は、合格祝いの準備をしてあかりを待っていました。ところが約束の時間になってもあかりはやってきません。電話をしても留守電です。音信不通でいつまでたっても現れないあかり……これは7年前の「ワンピース事件」のときと同じパターンです。葵は不吉な予感がしていたかもしれません。
 

●このドラマは、前半はあかりをめぐる葵と翔太の三角関係、後半は翔太に退場してもらって、葵をめぐるあかりと瑠衣子の三角関係で話を盛り上げたほうがドラマチックでよかったと思います。もっとも第1話で、あかりをめぐる二人の「アオイ」の物語であると宣言して結末の結婚式のシーンをやってしまったため、もう一人のアオイ(蒼井翔太)を退場させるわけにはいかなくなっているのがこのドラマの宿命でもあります。
 
このドラマは、わかりきっているラストをいきなり第1話で紹介してしまうという「悪手」をやってしまいました。いくらベタなラブストーリーでも、多少は思いもよらない結末が待っているかもしれないという謎めいたところが欲しかったです。

それにしても最初のころに比べて翔太のキャラがあまりにも変わり過ぎです。突然変身した翔太の善人ぶりには違和感を感じます。第1話から観ていると「いまさら何だよ」と言いたくなります。このドラマは事情をよく知らないで途中から観た人のほうが楽しめるかもしれません。

それからこのドラマに出てくる女優さんは本当に美人が多いです。ヒロインの本田翼も「美貌」だけで勝負すると、三番手か四番手ぐらいになってしまいます(個人的な好みとして)。

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2015年8月18日 (火)

月9ドラマ「恋仲」・第5話を観る

●翔太(野村周平)には、ストーカーになってあかり(本田翼)につきまとうとか、DV男に変身するとか、そういう雰囲気が漂っていました。それなのに第5話になったら急にいい人っぽくなってしまいました。なんだかなあ。7年前に手紙を盗んだ時点で翔太は人間失格です。その後自責の念に駆られて悩むような善人は最初からあかりが葵(福士蒼汰)に伝えようとした大切な手紙を盗んだりしません。あれは普通の神経の人間にできる所業ではないです。
 
おかげですっかり悪者にされてしまったのがあかりの父・寛利(小林薫)です。あかりを置いていなくなったのにはよほど何か深い事情があったのかと思っていたら、女が出来てわが子(あかり)を捨てたまでのことだったって、そりゃあないでしょう。ひどい話です。
 


●葵とヨリを戻そうとしていた瑠衣子(市川由衣)は、葵やあかりよりもずっと大人でした。葵にはもう脈がないと知ると、あっさり身を引きました。
 
「実はさあ、ほかに好きな人が出来ちゃって。大人で、落ち着いてて、何かその人のそばにいると安心するんだよね。葵とは大違い。ごめんね。振り回しちゃって」

この瑠衣子の言葉はさすがに葵もウソだと気づきました。それでも葵の反応はどこか間が抜けています。

「何かあったの?」

「何かあったのは葵のほうでしょ。気がつかないと思った?今日一日いっしょにいて、あたしのことなんて全然考えてなかったよね。無理して楽しそうにしちゃって」
 
「……」

「葵はさあ。自分がムリして人が幸せならそれでいいって思っているかもしれないけど、そんなのただの自己満足だよ。そうやって葵が自己を犠牲にするたびに、苦しくなる人だっているんだよ。葵もさあ、そばにいたい人のところに行きなよ」
 
瑠衣子は、あかりが父・寛利の住所を知るために葵が働いている建築設計事務所に訊ねてきたことを知っていました。瑠衣子も寛利の住所をメモしていました。そのメモを葵に渡してあげました。

   千葉県館山市船形583

これが芹沢寛利の住所です。

●あかりは父を訪ねて館山に向かっていました。そのあかりを追って葵も館山に向かいました。

寛利は仙台で知り合った女性と同居していました。女には連れ子が一人いました。貧しいながらも幸せそうでした。寛利が翔太から受け取った50万円は、翔太のほうから渡したというより寛利のほうがせびったみたいです。寛利はもともとあかりと会うつもりはありませんでした。突然現れたあかりにむしろ迷惑そうな顔をしていました。あかりを置いていなくなったことについてはただ平謝りに謝るばかりです。典型的なダメ親父でした。
 
あかりは、あんなに会いたがっていたのに、寛利のほうではそうではなかったことを知りました。悲しいのか、情けないのか、あかりの胸中は複雑でした。何かよほどの事情があると思っていたのに、女が出来てあかりを捨てた……ただそれだけのことでした。
 
 

●館山の海岸での出来事です。寛利と別れて今にも泣き出しそうなあかりの前に葵が現れました。ムリに明るく振舞おうとするあかりに、「バカ親父に文句の一つも言ってやれ」というのが葵のアドバイスでした。二人は海に向かって大声で叫んでうっぷん晴らしをしました。夜になりました。葵はこれまであかりに伝えられなかった心情を吐露しました。

「いつもあかりのこと見てたから、なんでもわかっているつもりだった。一番そばにいたし。だからあのとき……花火大会のとき、何で気づいてやれなかったんだろうって、ずっと後悔してた。ずっと謝りたかった。……ごめん……何もしてやれなくて」

「でも、今、横にいてくれてる。今日、葵がいてくれてよかった。ありがとね」

久しぶりに葵と二人だけの時間を過ごして、あかりは失意のどん底の中でかすかに救われていました。あかりが素直だと葵も素直になれます。

「オレ、あかりが好きだったんだ。あかりはオレの……初恋だった」

あかりは葵から「好き」と言われたのは初めてです。突然の告白に目が点になってしまいました。

「何びっくりしてんだよ。普通気づくだろ。オレから花火大会誘ってんだぞ」

「言われなきゃわかんないよ。言ってくれればよかったのに」

「あのときの、あの関係が壊れるのが嫌で、言い出せなかった」

「……あたしも同じ。こないだのバーベキューのとき、手紙の話したでしょ。ホントは、葵が好きって書いたの。あたしも、葵が初恋だった」

「えっ????」

「何その顔。普通気づくでしょ。好きじゃなかったら、キスなんかしないよ」

「いや、そんなの、言われなきゃわかんねえだろ」

「あたしずっと葵にフラれたんだと思ってた。手紙じゃなくってさあ、ちゃんと言葉にして伝えればよかったんだよね」

お互いにフラれたと思っていたのか誤解だったことに二人ともようやく気づきました。でも、これで一件落着というわけにはまだまだいきそうもありません。あかりも葵も自分を犠牲にして人の幸せを願おうとする「悪癖」があります。ドラマもまだ中盤だしね。

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2015年8月11日 (火)

月9ドラマ「恋仲」・第4話を観る

●あかり(本田翼)は、葵(福士蒼汰)に手紙を渡したはずなのに葵が来てくれなかったので葵にフラれたと思っていました。でも、葵の机に入れておいた手紙は翔太(野村周平)が持っていました。葵は手紙のことを知らなかったのかもしれない……あかりにとっては信じられない7年目の真実です。
 
あかりの心には翔太に対する怒りとも悲しみともつかない複雑な感情が沸き起こっていました。あかりは翔太に問い質す前に、まず葵に手紙のことを訊いてみることにしました。
 
 「葵さあ、手紙のことって、覚えてる?」
 「手紙?何のこと??」
 「いっしょに花火見たでしょ。そのあと、葵の机に入れといたんだけど……」
 「いや、そんなのなかったけど」
 「…………」
 「手紙書いたの?」
 「読んでないならいいよ」
 「よくねえよ。なんて書いたんだよ」

それをここで言わせるの?つらいわ……あかりはラブレターだったことを誤魔化しました。

 「来年の……来年の受験……本番前に牛乳飲むなって。ほら、葵、緊張するとおなか壊すでしょ。高校受験の時も大変だったよね。休み時間ずっとトイレこもっててさ」
 「なんだよ、それ。そんなことわざわざ手紙に書くなよ」
 「ごめんごめん」

葵にもうすこし洞察力があれば、あかりがとっさに出まかせを言って何かを隠していることに気がついたと思います。でも葵は単細胞なのであかりの言葉を文字通りに素直に受け取ってしまいました。

あかりは、葵にフラれたと思っていたのは誤解だったこと、そして翔太と花火大会の日に遇ったのが偶然ではなかったことを確信しました。翔太に対する疑念は決定的となりました。さらに、悪夢のような事実があかりを襲いました。

●あかりは研修医の沢田一葉(新川優愛)に呼び止められました。一葉はあかりの実家の造船所が借金を抱えて倒産したことを知っていました。翔太があかりの父・寛利(小林薫)にお金を渡しているところも目撃しています。一葉は、あかりと寛利が結託してお金目当てで翔太に近づいていると誤解していました。
 
 「お金目当てなんですよね」
 「何言ってるんですか。違います!!」
 「じゃあ、あの50万は何なんですか」
 「何のことですか?」
 「あたし見たんです。あなたのお父さんがあそこで蒼井先生からお金を受け取るところ」
 「……」
 「お父さんといっしょに騙そうとしているんですよね。これ以上彼に近づかないでください」

翔太は自分の知らないところで父・寛利に会っていた……しかもあんなに会いたがっていた父を自分から切り離そうとしていた……何も知らなかったあかりは本気で翔太のことが好きでした。目の前が真っ暗になるというのはこういうときのことを言うのかもしれません。
 

●「盗人にも三分の理」ということわざがあります。翔太の不実をなじるあかりに翔太が逆襲しました。

 「じゃあ訊くけどさあ。葵に会って、少しも気持ちが揺らがなかったって言いきれる?手紙見つけたとき思わなかった?ちゃんと葵に届いていれば、運命が変わっていたのかもしれないのにって」
 
翔太クン、それを言っちゃあおしまいだよ。人はいろいろなことを考えたり思ったりするものです。ときには180度違う気持ちになることだってあります。人間の心に100%なんてありません。もっとも翔太に言わせれば「オレは100%あかりが好きだ」と言い出すかもしれませんけど。
 
翔太の言っていることは「当たらずといえども遠からず」です。いや、図星といえるかもしれません。でも、そういうことを言い出す翔太にあかりは失望しました。翔太の言っていることは正しいとか正しくないとかという以前に無粋の極みです。最低です。
 
その日、あかりは自分の部屋には戻りませんでした。どこかへいなくなってしまいました。人生に絶望して身投げでもするつもりかもしれません。

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2015年8月 4日 (火)

月9ドラマ「恋仲」・第3話を観る・その2

●新築の依頼で松永という夫婦が葵(福士蒼汰)が働いている建築事務所にやってきました。瑠衣子(市川由衣)の紹介です。ところがその夫婦はミニカーを飾る棚を作るかどうかで揉め出して大喧嘩です。どういう設計にするのか話がまとまりません。

最近は新築の設計をどうするかで揉めて離婚してしまう夫婦も多いらしいです。これを新築離婚といいます。松永というその夫婦は典型的な新築離婚のコースを歩んでいました。

葵はこの夫婦に批判的でした。

 「最初は幸せそうだったのに、お互いに自分のことばっかりで言いたいこと言いあって……」

所長の丹羽万里子(吉田羊)は葵とは少し見方が違っていました。

 「それって、とてもステキで幸せな関係だと思うけど。なかなか出会えないわよ、そんな人。本音でぶつかるって、とてもエネルギーを使うことだから。どうでもいい人にはそんなことしない。言いたいこと言える人だからこそ、かけがえのない存在なんじゃないかな」

一般論として、万里子の意見を信じて言いたいことを言ったりしてはいけません。本音でぶつかって言いたいことを言った途端に別れ話が待っていたりするのが世の中というものです。言いたいことが言える人だと思って言いたいことを言ったらそうではなかったというケースのほうが圧倒的に多いはずです。葵とあかりのように、お互いに言いたいことを言って、それでいてお互いに許しあえる関係って、めったに成立するものではありません。
 

●住宅メーカーで働く瑠衣子は、自分の担当したクライアントの夫婦を絶対に幸せにしたいという思いで必死でした。夫婦のどちらもが満足する新築住宅のスケッチ画を万里子にお願いすると同時に、何とか新築離婚を回避する手段はないかと、松永夫妻のことを徹底的に調べていました。瑠衣子の調査によればこの松永夫妻は幼なじみでした。それを知った葵は、夫の説得に自分も参加したいと申し出ました。いつもはボーッとしていて優柔不断の葵がこのときばかりは目つきが違っていました。
 
まず会ってくれたのは夫のほうです。瑠衣子は万理子が徹夜で考えてくれた新築住宅のスケッチ図を見せてなんとか松永氏を説得しようとしました。

 「最近、喧嘩ばかりで。もう限界なんです。長く一緒に居過ぎたんだと思います」

残念ながら松永夫妻はもう離婚が決まっていました。万里子が徹夜で描いたスケッチ画も無駄になってしまいそうでした。しかし葵は諦めませんでした。

 「長く居過ぎたとか、最高じゃないですか。後悔しますよ。失って初めて気づくんです。心から好きになれる人が、生まれた時からそばにいてくれるのが、どんなに幸せなことか。当たり前みたいにそばにいた人が、ある日突然いなくなる……それが……それがどれだけ辛いことか、何かしてあげたいと思っても、いなくなってからでは遅いんですよ。奥さんをちゃんと見ていてあげてください。お願いします」

葵は深々と頭を下げました。自分の体験から出た言葉だけに説得力があります。葵のあまりの熱弁に同席していた万里子も瑠衣子もあっけにとられていました。

なにはともあれ葵の説得が功を奏しました。松永夫妻は離婚をやめることになりました。万理子のスケッチ画の提案もなかなかのものです。奥さんがすっかり気に入ってくれて、引き続き設計をお願いされることになりました。

●葵は、自分の仕事に責任を持って全力投球する瑠衣子の姿を初めて見ました。瑠衣子が営業職として優秀と言われる理由も深く理解しました。葵とよりを戻したがっている瑠衣子と、瑠衣子を見直し始めている葵の関係が再び急速に接近しつつあります。

それとは反対にあかりと翔太のほうは、何だか雲行きが怪しくなってきました。これまで気づかなかった翔太のダークな一面があかりにも明らかになりつつあります。あんなに会いたがっていた父親の寛利を見かけたのに、翔太は父親のことは忘れろと言います。しかもあのメモです。あかりはすでに翔太が何を考えているのかわからなくなってきていました。

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