「政治とカネ」(海部俊樹著・新潮新書)を読む
ホリエモンこと堀江貴文氏は「徹底抗戦」(集英社文庫)という告白本の中で次のように述べています。
この本に書かれたことは、私側からみたライブドア事件の「真実」である。当然私が書いているわけだから、どうしても我田引水的な内容は多くなる。そのことをできるだけ自重したつもりではあるが、広い心で読んでいただきたいと思う。
こういう言わずもがなのことを正直に言ってしまうところがホリエモンの欠点でもあるし長所でもあります。何ごとにも正直なんですね。
確かに、回顧録とか告白本というのは、どんなに自重しても自己正当化の心理が働いてしまうものです。元内閣総理大臣・海部俊樹の「政治とカネ」という回顧録も、ほとんどが我田引水的な自慢話です(本人はそうではないと言い張っている)。したがって最後まで読み切るには少し敬老精神が必要になります。広い心で読みましょう。
この「政治とカネ」という回顧録の中で、唯一ためになったのは、小沢一郎に言及している部分です。海部俊樹も小沢一郎には相当頭にきていたらしく、その怒りのほどが伝わってきます。
小沢一郎が新進党の党首だったころ、「小沢氏との確執で、党員たちが櫛の歯が抜けるように離党していった」そうです。
離党者が続出したのは、小沢一郎の「問答無用のやり方、会議に出ないこと、密室政治、人を呼び出す傲慢さ、反対派への報復人事」、これらへの反発が原因だったとされています。「黙って俺の言うことを聞け」と言わんばかりの小沢一郎のやり方や態度というのは今もそれほど変わっていないような気がします。良識のある政治家なら誰でも小沢一郎とは距離を置きたくなるのではないでしょうか。
現在小沢一郎を強く支持している民主党の議員というのは、小沢一郎を利用しようとしている「悪人」かあるいは良識の欠如した「善人」かのどちらかです。
「担ぐ御輿は、軽くてパーなヤツが一番いい」
これは小沢一郎が海部内閣の幹事長だったときの言葉です。「軽くてパーなヤツ」というのは時の内閣総理大臣・海部俊樹のことです。人づてにこの件を聞いた海部俊樹が激怒して(?)小沢一郎に問い質したところ、小沢一郎は「言った憶えは断じてない」と答えたそうです。要するに「言ったかもしれないが、記憶にありません」ということですね。
小沢一郎のこういう考え方も今もそれほど変わっていないと思います。民主党の代表選で小沢一郎に支持されたら、小沢一郎から「軽くてパーなヤツ」と思われているということです。間違っても自分を評価してくれる理解者だと思ってはいけません。
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