武井咲vs吉永小百合
「アスコーマーチ」やソフトバンクのCMなどですっかりお馴染みになってしまった武井咲ですが、武井咲が「吉永小百合の再来」と騒がれている(?)のは、演技力や女優としての素質のことではなくて、顔が似ているということだと思います。たしかに、涼しげな目元や笑うと前歯がのぞく口元など、武井咲はどことなく若いころの吉永小百合に似ています。
そういえば、武井咲が出ていた月9ドラマ「大切なことはすべて君が教えてくれた」は、教師と生徒の三角関係を扱ったドラマでしたが、吉永小百合にも教師と生徒の三角関係を扱った映画がありました。石坂洋次郎原作の「若い人」です。このときの吉永小百合も17歳でした。月9ドラマに武井咲を抜擢したときに、若き日の吉永小百合をイメージしていたとは思えませんが、偶然にしてはなにか運命的なものを感じます。
ところで、吉永小百合といえば伝説の大女優ということで世間的に認知されていますが、関川夏央の「昭和が明るかった頃」(文春文庫)という長編評論によると、吉永小百合の「全盛期」(出る映画出る映画が大ヒットして、とにかく吉永小百合を出しておけば映画館に客が呼べるという大ブームの時代)というのは、1962年春から1964年秋までの2年半だったそうです。吉永小百合が17歳になってから19歳のなかばころまでの2年半です。
関川夏央は「昭和が明るかった頃」の中で、「わずか2年半」という言い方で吉永小百合の「全盛期」の意外な短さを指摘しています。しかしこの「全盛期」は、「全盛期」そのものが前例のない異常現象だったのだと思います。たとえば、たとえ1年でも、吉永小百合の「全盛期」に匹敵するような大ブーム(女優の名前だけで客が映画館に押し寄せてくる)を巻き起こした女優がかつてほかにいたでしょうか。おそらくいなかったと思います。吉永小百合の「全盛期」については、「わずか2年半」ではなく、ほとんどありえないような異常現象が2年半も続いたと考えなくてはいけません。そう考えないと女優・吉永小百合を不当に過小評価することになります。
それにしても、武井咲もとんでもない大女優と比較されてしまったものです。バラエティ番組でヘラヘラ笑っている場合ではありません。目標・吉永小百合で頑張らねば……。
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