ポール・マッカートニーの武道館公演は残念ながら参加できませんでした。今は武道館公演のセットリストを眺めて感慨にふけっています。まず驚いたのは、同じタイトルのツアーでここまでセットリストを変えてくるというのは、まさに異例中の異例です。SS席10万円にたいして格段の配慮が感じられます。当日券は2万円というのもあったようで参加した人は本当にラッキーでした。
2015年4月28日(火)日本武道館公演のセットリスト
《セットリスト》
1. キャント・バイ・ミー・ラヴ(ビートルズ)
オープニングは「エイト・デイズ・ア・ウイーク」でも「マジカル・ミステリー・ツアー」でもなく「キャント・バイ・ミー・ラヴ」でした。ドーム公演で演奏していてこの曲が一番反応がよかったのかもしれません。「キャント・バイ・ミー・ラヴ」は「シー・ラヴズ・ユー」や「抱きしめたい」と並ぶビートルズ初期の大ヒット曲です。
2. セイヴ・アス(ソロ / 最新アルバム『NEW』より)
3. オール・マイ・ラヴィング(ビートルズ)
「こんなものは音楽じゃない、ただの騒音だ」と、ビートルズがボロクソに言われていたころ、ビートルズファンはビートルズナンバーにはメロディの美しい曲がゴマンと存在することを知っていました。好きな曲のアンケートでは、シングルでリリースされた大ヒット曲に肩を並べて、「オール・マイ・ラヴィング」や「アンド・アイ・ラヴ・ハー」がいつもランキングの上位に名を連ねていました。だから、「イエスタデイ」が発表されたときも、ビートルズファンはそれほど驚きませんでした。ビートルズならこういう曲が登場しても不思議はないと思っていたからです。「イエスタデイ」に衝撃を受けたのは日ごろビートルズをバカにしていた連中です。「イエスタデイ」の登場以来、ビートルズに対する世間のバッシングが激減しました。
4. ワン・アフター・909(ビートルズ)◆
収録されているのはアルバム「レット・イット・ビー」ですが、この曲が作られたのはポールが10代のころで、ビートルズとしては、発表は新しいけど曲そのものはオールドファッションの古い曲です。ジョンの自作という説とジョンとポールの共作という説があります。なにしろ古い話なので、記憶違いもあるだろうし、今となっては本当のところがどうなのかはわかりません。ポールはジョンがリードヴォーカルの曲でもこだわりなく取り上げてくれます。
5. レット・ミー・ロール・イット(ウイングス)
6. ペイパーバック・ライター(ビートルズ)★
この曲は49年前にビートルズが来日した当時の最新のヒット曲です。49年前、ファンとしては「シー・ラヴズ・ユー」や「抱きしめたい」や「プリーズ・プリーズ・ミー」を演奏してほしかったのですが、やってくれませんでした。ブラジル(サンパウロだったかな?)公演では、会場で「シー・ラヴズ・ユー」の大合唱が起きているにもかかわらず、登場してきたポールマッカートニーはマイペースで「エイト・デイズ・ア・ウイーク」を歌っていました。
7. マイ・ヴァレンタイン(ソロ)
コノ曲ハナンシーノタメデス。
8. 1985年(ウイングス)
武道館公演では「ロング・アンド・ワインディング・ロード」や「 エリナー・リグビー」やあの「 バンド・オン・ザ・ラン」さえ、そうそうたる名曲がカットされてしまっています。それなのにウイングスの「1985年」がしっかり踏みとどまっていました。ウイングスのナンバーにはこの曲のようなライヴ映えのするノリのいい曲がたくさんあります。
9. 恋することのもどかしさ(ソロ)
リンダノタメ二書キマシタ!書キマシタ!!ポールがビートルズを脱退して各方面からバッシングを受けていたときに、傷心のポールを支えてくれていたのが奥さんのリンダでした。リンダは1998年にポールの母親と同じ乳がんで亡くなりました。ポールはもう結婚はしないのかと思っていたら、悪い女にひっかかって巨額の慰謝料をふんだくられたり…いろいろありました。現在のナンシー夫人はちゃんとした人みたいです。ポールは目を離すとなにをしだすかわかりません。ナンシー夫人にはしっかりポールを監視していてほしいです。しかし、新しい奥さんの前で前の奥さんに捧げた歌を歌ってしまうというのは、もうそろそろやめたほうがいいのではないでしょうか。ナンシー夫人が気の毒です。
10. 夢の人(ビートルズ)
11. アナザー・デイ(ソロ)
この曲いいよねえ。大好き。いかにもポールマッカートニーといった感じの曲です。
12. ダンス・トゥナイト(ソロ)◆
ポールの日本公演は11年間のブランクがありました。その間、ライヴで盛んに演奏されていたこの曲も日本では今回が初披露です。
13. 恋を抱きしめよう(ビートルズ)
発表当時、この曲は米国では大変な人気でした。好きなビートルズの曲のナンバーワンに選ばれたこともありました。もともとはラブソングですが、今聴くと、ポールがジョンに切々と訴えかけているように聞こえます。
Life is very short, and there's no time
for fussing and fighting, my friend.
I have always thought that it's a crime,
so I will ask you once again.
人生はとても短い、騒いだり争ったりしている時間はないんだ。
いつも考えてきた、限られた時間をつまらないことで浪費するのは罪だ
だからもう一度君にお願いしたい。
Try to see it my way,
only time will tell
if I am right or i am wrong.
While you see it your way
There's a chance
that we may fall apart before too long.
僕みたいに考えてみてくれ
僕の言ってることが正しいか間違ってるかは
時が教えてくれる
君が自分の考えにこだわっていると
そのうち僕たちはだめになってしまうかもしれない。
14. アンド・アイ・ラヴ・ハー(ビートルズ)
15. ブラックバード(ビートルズ)
「黒人女性の人権擁護や解放について歌った」メッセージソングとのこと。でも日本で暮らしていると人種差別の問題というのがピンときません。この曲も歌詞にこめられた比喩的な意味は深く考えずに単純に美しい曲だと思って聴いています。ちなみに一般的にブラックバードというのはツグミ(クロウタドリ)のことです。カラスではありません。
16. NEW(ソロ / 最新アルバム『NEW』より)
17. レディ・マドンナ(ビートルズ)
ポールがプレスリーばりに歌う「レディ・マドンナ」は、100年たってもヒットチャートにランクインしているはずの絶対的自信作でした。でも、どんな名曲でもそれは無理というのです。
18. アナザー・ガール(ビートルズ)◆
アルバム「ヘルプ!」にはタイトル曲の「ヘルプ!」や「イエスタデイ」のほかに「悲しみはぶっ飛ばせ」、「夢の人」など、とにかく名曲がてんこ盛りです。そんな中で、このアルバムでは「アナザー・ガール」が一番好きだと言っていた友人がいました。いかにもポールらしい曲です。ポールは埋もれてしまいそうなビートルズの名曲を「忘れないでくれよ」とばかりに紹介してくれます。武道館のコンサートに行った人は、世界で初めてライヴでこの曲を聴いたことになります。羨ましすぎます。
19. ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ(ビートルズ)◆
20. ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト(ビートルズ)
21. オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ(ビートルズ)
22. バック・イン・ザ・U.S.S.R.(ビートルズ)
23. レット・イット・ビー(ビートルズ)
24. 007死ぬのは奴らだ(ウイングス)
爆音と火柱が立ち上る派手な演出の曲です。アクセントとしてこういう曲が1曲ぐらいはあってもいいです。「レット・イット・ビー」と「ヘイ・ジュード」で挟み込んでいるのが憎いです。
25. ヘイ・ジュード(ビートルズ)
ジョン・レノンと最初の奥さんシンシアの破局が決定的となって落ち込んでいたジョンの長男ジュリアン(当時5歳)を励ますために作られた曲だと言われています。この曲をポールがロンドン・オリンピックの開会式で歌うと、アスリートに対する応援歌のように聞こえてきます。「悪く考えるな。全力を尽くすことが大事だよ。負けたっていいじゃないか(意訳)」
アンコール
26. イエスタデイ(ビートルズ)★
何度聴いてもこの曲は名曲です。特にポールが歌うと最高です。「イエスタデイ」はもともとはラブソングでした。ところが最近になってポールが「当時は意識していなかったけど、子供のころ乳がんで亡くなった母のことを歌った歌だ」といっていました。そう思って聴くとそのように聞こえてきます。また、ポールが「福島の被災者に捧げたい」と前置きしてから「イエスタデイ」を歌いだすと、震災で大切な人を失った被災者の悲しみに寄り添っている歌に聞こえてきます。
27. バースデイ(ビートルズ)◆
後期のビートルズで激しいロックナンバーといえば「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」、「バースデイ」、「へルター・スケルター」などですが、これまでのコンサートでは、ラスマイは「へルター・スケルター」が定番でした。ところが武道館公演ではその「へルター・スケルター」を引っ込めて「 バースデイ」を持って来ました。しかも「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」も演奏しています。なんとサービス精神が旺盛なのでしょうか。贅沢じゃ贅沢じゃ。
28. ゴールデン・スランバー~キャリー・ザット・ウェイト~ジ・エンド(ビートルズ)
定番となっているこのラストのメドレーを一度は「レッド・ローズ・スピードウェイ」のメドレーに変更してはどうかとつい思ってしまいます。ビートルズファンは白けるかもしれませんが、事前に「レッド・ローズ・スピードウェイ」のメドレーを演奏すると宣言しておけば、心優しいビートルズファンはしっかり予習をして盛り上がってくれるのではないでしょうか。
◆ 「アウト・ゼアー ジャパン・ツアー2015」では初披露
★ 1966年のザ・ビートルズ日本武道館公演でも披露された楽曲
※ 武道館公演に行った人は京セラドームや東京ドームの公演にも行っていると思います。だからそれほど影響はないと思いますが、ドームでは演奏されたのに武道館ではカットされた楽曲がかなりあります。カットされたのは以下の楽曲です。
マジカル・ミステリー・ツアー(ビートルズ)
エイト・デイズ・ア・ウイーク(ビートルズ)←東京ドーム2日目に演奏された
ジェット(ウイングス)
ロング・アンド・ワインディング・ロード(ビートルズ)
ホープ・フォー・ザ・フューチャー(ソロ / 最新曲)
ヒア・トゥデイ(ソロ)
クイーニー・アイ(ソロ / 最新アルバム『NEW』より)
オール・トゥゲザー・ナウ(ビートルズ)
ラヴリー・リタ(ビートルズ)
エリナー・リグビー(ビートルズ)
サムシング(ビートルズ)
バンド・オン・ザ・ラン(ウイングス)
デイ・トリッパー(ビートルズ)
ハイ・ハイ・ハイ(ウイングス)
アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア(ビートルズ)
ヘルター・スケルター(ビートルズ)
ポール・マッカートニーのパフォーマンスに圧倒されて興奮してしまい、こんなにもカットされていたとは気がつかなかったかもしれません。
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