MSCBについて
「機動的な資金調達手段、IR強化が課題」と題して、ロイターが流したMSCB特集の記事がありました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060711-00000555-reu-bus_all
これについては、「馬鹿いってんじゃないよ!」というのが投資家サイドの率直な感想だと思います。そこで投資家の立場からMSCBに対する自己防衛策を考えてみました。
MSCBによる資金調達はやらないということを任意的記載事項として定款に書き込んでしまうことはできないものでしょうか。もしできるのであれば、株主提案のできる大株主には是非株主提案をしてもらいたです。一般の企業であれば、株主総会でほぼ間違いなく過半数の賛成が得られると思います。
また、突然のMSCBの発行はインサイダー取引の温床にもなりかねません。M&Aなどに積極的でMSCBやLBOによる資金調達も重要な選択肢のひとつとして位置づけている企業は、とりあえずそのことをはっきりと投資家に知らせておくべきだと思います。
MSCBによる資金調達はやらないことにしている企業と状況によってはやるかもしれない企業が事前にはっきり識別できていれば、投資家の立場からは銘柄を選択する際のひとつの判断材料になると思います。
企業家や証券会社は既存株主の利益を無視してMSCBによる資金調達を普及させようと画策しているようです。調達資金が同額であれば公募増資よりもMSCBのほうが株価に対するインパクトを小さくできるといいたいのでしょうが、これは株価に対するインパクトが同じであれば公募増資よりもMSCBのほうがより巨額の資金が調達できるということを意味します。こうした資金調達手段が普及すれば公募増資に輪をかけた野放図な資金調達が横行する危険があります。景気が減速して株価が本格的下落局面を迎えるようになれば、早い者勝ちとばかりに業績悪化企業のMSCBによる資金調達が氾濫するようになるかもしれません。やってくるのは株価の大暴落です。
MSCBは積極的に普及させるべき資金調達手段ではなく、それ以外に資金調達の手段のない企業がやむを得ず実施するという段階で歯止めをかけておくべきです。これは既存株主のためだけではありません。そうしないと蔓延する安易なMSCBがやがては株式市場の資本調達機能を麻痺させてしまう危険があるからです。
証券会社には、「目先の利益だけを追いかけていると、やがて自分で自分の首を絞めることになりますよ」・・・と、偉そうなことを警告しておきたいと思います。
なお、MSCBについての解説は下記のホームページが詳しいです。
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